見出し画像

グローバル化(1):ASEAN

海外渡航の話だけでなく、諸外国の経済発展や歴史、理解に役立った書籍、実際に見聞きして考えたことについて「グローバル化」というテーマで地域ごとにまとめてみることにしました。第一弾の今回はASEAN諸国についてです。

ASEAN諸国

ASEAN諸国への渡航では、90年代に始めて訪れたシンガポールが6回と最も多いのですが、その後、マレーシアタイインドネシア、今は大変な事態になっていますがミャンマーにも1~2回ずつ訪れています。

シンガポールではマーライオンマリーナベイサンズがお決まりのスポットですが、コロナ禍前にシンガポールを訪れて立ち寄った空港併設のモール「ジュエル」には圧倒されました。

画像5

画像1

マレーシアではクアラルンプールにあるペトロナスツインタワーが有名ですね。実際に訪れてみると、いずれの国も日本や中国の中核都市に劣らない、むしろ、より先進的で豪華な建築物や街並みが整備されてきているのが、肌感覚として実感できると思います。

画像2

ASEAN各国で日本の存在感が薄くなっている。というのはある面、中国企業・韓国企業、また自国・ASEAN企業の勃興・進出により、過去との相対比較においては正しい見方だと思います。
一方で、街中のショッピングモールに行ってみると、欧米ブランドや韓国ブランドと並んで、日本料理や日本ブランドもファッション(憧れ?)の一つになっていて、少し一安心する面もあります。

下の写真はタイ バンコクのモールでのJapan Tasteな小物売り場の階にあるオブジェ。その下はインドネシア BSDシティにあるイオンモール内のラーメンビレッジです。

画像5

画像3


ASEANの歴史を知る

ASEAN各国は言葉も政治形態もさまざまなので、地域として一括りに語ることはできないという説がある一方で、EU同様に歴史的・地理的なつながりもあり、過去においても現在でも緩やかな地域経済連合を形成していることは間違いないと思います。

自然発生的な域内交流とは別に、それを決定的に結びつけたのは17世紀初頭に欧米の列強が設立した東インド会社にあると思います。始めはイギリス、次にオランダ、のちにフランスやデンマークも設立していったようです。

特にこの中でオランダ東インド会社が最も有力だったようで、V.O.C.:Vereenighde Oost Indische Compagnie (連合東インド会社)と呼ばれ、ジャワ島のバタヴィア(現在のジャカルタ)を東インド総督の拠点として、スリランカからタイ、フィリピン、台湾と幅広く活動していたようです。

また、V.O.Cは世界最初の株式会社の形態をもった組織でもあり、アジアを中心とした彼らの貿易ネットワークの広さから、世界初のグローバル・カンパニーでもありました。

詳しくお知りになりたい方はぜひ、講談社学術文庫の「東インド会社とアジアの海」を読んでみてください。

また、V.O.Cは長崎の出島に商館を置いて鎖国下の日本とヨーロッパとの貿易を独占し、生糸や銀を中心に莫大な利益を上げていました。
実際に長崎に行って出島内の資料館に行くと、江戸時代の日本から見えていたヨーロッパ(オランダ)とともに、オランダから見たアジア交易ネットワークにおける日本の位置づけ(Far East)が分かりやすく解説されていますので、ぜひ一度、訪れてみてください。

ASEANの現在

さて、戦後高度成長期においては、日本企業の多くがASEAN各国に生産工場を持ち、家電や自動車など製品購買と相まって、ASEANと日本は経済面で最も結びつきが強いと考えられてきました。
事実、マレーシアのマハティール首相は1980年代にLook East政策を掲げ、欧米ではなく、日本の経済発展に見習おうとしてきました。

しかし、いまでは様相がまったく異なっています。欧米・日本に替わって、アセアン経済にいま、最も深く入り込んでいるのは中国です。
しかも、それは中国人民共和国という国家との結びつきだけでなく省や都市レベルでの結びつき、さらに華僑華人と言った各国に在住する中華系ネットワークと結びついて、より深く確かなものになっています。
 (華僑:中国国籍を保持したまま海外に長期的に暮らす中国人
  華人:祖先や自身は中国出身だが、現地国籍のみを有する者)

最近、出版された「チャイナ・アセアンの衝撃」はこのあたりの最新状況を詳細に記載していますのでお薦めです。読んでみると、まさに衝撃と危機感を覚えると思います。

シンガポールにおける中華系ネットワークの凄まじさ、また、華人と華僑の壁を描いた小説として「クレイジー・リッチ・アジアンズ」がベストセラーになり、すでに映画化されています。こちらをご覧になると、また別の意味で衝撃を受けることでしょう。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?