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【やまのぼ ブックレビュー No.7】「すぐ死ぬんだから」内館牧子・著<講談社>を読んだ。

「絶対」という言葉があるが、人生における「絶対」は、ただひとつ。この世に生を授かったものは「絶対」に死ぬということだ。人はみな、ひとりで生まれて来て、ひとりで死んでゆく。若かりし頃、死ぬということが猛烈に恐ろしく感じた時期もあった。

古希を過ぎ、友人や親族など身近な人が亡くなることが多くなった昨今、あと何年生きられるかと・・・ふと考え「自分の死」と正面から、冷静に向き合えるようになった。

主人公・ハナは「ならばあと10年を、好きなように生きて何が悪い。犯罪以外は何をやってもいい年齢だろう」と開き直る。

死に方を考えるということは、生き方を考えることだといわれる。「いい人生だった」と逝けるよう「生涯現役の看板」をより高く掲げる<やまのぼ>である。

「事実は小説より奇なり」といわれ、現実には予想もしなかった事件に遭遇したり、まったく想定外の立場に立たされることがあるのは確かだ。ところが、この小説は、その上を行く展開に読者を引っ張って行く。「小説は事実よりもっと奇なり!」の何でもありの世界である。

ネタバレしたくないので、起承転結の「その転」を、これから読む読者に楽しみとして、取って置くことにしよう。

ところで、登場人物のキャラに少々違和感を覚える人も少なくないだろう。『こんな人っているの?』とか『ここまで性格が変化する?』など読後、頭に未消化な残渣が生じる。せっかく前半が面白かったので誠に残念だ。

<やまのぼ>のお薦め度 ★★★☆☆
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<やまのぼ>のお薦め度規準
(独断と偏見です。あしからず)
★★★★★ 蔵書にして読み返したい
★★★★☆ 読みごたえありでお薦め
★★★☆☆ そこそこ読みごたえあり
★★☆☆☆ 時間つぶしにはなります
★☆☆☆☆ 本屋での立ち読みで充分
☆☆☆☆☆ 時間の無駄使いだけです

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