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金木犀の散り際に、私は生を感じる¦日記 #14

夕焼けに包まれながら最寄り駅を出たら、金木犀の香りがした。
爽やかで甘くて、上品な秋の香り。私はこの匂いが小さい頃から大好き。小学校の校庭の隅に植えられていて、私はたしか、そこで初めてキンモクセイを知った。

日に日に輪郭がハッキリしてくる金木犀の香り。多分最寄り駅の傍に木があるんだろうけど、私は未だに発見できていない。
思えばいつもそう。毎年どこからともなく漂ってきて、私に秋を教えてくれる。瞬きする間に過ぎてゆくような日々の中で、時間の流れを認識できる貴重な瞬間だった。
もう秋かあなんて、のんびり思っていたのは10月の話。

今日、久しく金木犀の匂いに包まれていないことに気づいた。最後におかえりと、優しく癒してもらったのはいつだったか。全く思い出せない。
私は検索した「 金木犀  いつ 」
こんな雑な問でも、私の知りたかったことをすぐさま教えてくれる世界って凄い。開花時期は9月中旬から10月下旬らしい。もう11月に入って1週間。匂いがしなくなって当たり前だった。

匂いで秋を知らせて回って、散り際には冬の気配を遠くに教えてくれる金木犀。こういうカレンダーよりもよっぽどカレンダーなものを見つけたとき、私は自分がちゃんと生きているなと感じる。

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