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医師と僧侶のカケコミ相談室 第8回 死をどう受け止め、どう生きる?

脳神経外科医の道下将太郎と、京都「両足院」副住職の伊藤東凌が、みなさんからのお悩み・質問・疑問へ回答する「医師と僧侶のカケコミ相談室」。
カケコミをはじめた経緯、無料公開のQ&Aはこちらです!

あなたは、死をどう受け止めていますか?
冒頭からずっしりとした問いで始まった第8回カケコミです。今週のQ&Aは死に関する内容が2つあり、将太郎さんが死の受けとめ方について、東凌さんが命を救うことについてお話しています。

お2人が日頃から発信しているのが、「死を見つめることで生が輝きだす」ということ。死を恐ろしいものやタブーのように捉えて目を逸らしてしまうと、生もおろそかになってしまう。それに、死を避けることが人生の最優先課題になると、過剰にリスクを恐れて行動できなくなってしまいます。

アプリ「InTrip」7月16日(火)配信の「リスクは避けず、犯さず、取りに行く!」という記事で、不確実性の時代のリスクとの向き合い方をお伝えし
ていますので、ぜひチェックしてみてください。

アプリ「InTrip」へはInstagramプロフィールページのリンクから

私は、死は「卒業」もしくは「帰宅」のようなものなのかな、と捉えています。人生でいろいろな経験をして、自分がやりたかった、学びたかったことを終えたら卒業する。もしくは元いた場所に帰る。元いた場所がどこなのかは覚えていませんが(笑)、「あ~楽しかった!やりたいこと全部やったぞ~!」とニコニコ笑って死にたいです。そのためには、今に意識を集中して行動し、この瞬間を輝かせていくことですね。

今を思い切り楽しんでいると、今は見えていないワクワクする未来が拓けてくるということを、ラン友Hさんに教えてもらいました。Hさんは、週に4~5日走り、マラソン大会、トレラン大会、走力アップのイベントなどにも精力的に参加し、手帳は走る予定でぎっしりなアクティブでキュートな女性。先日はじめて彼女が69歳ということを知ったのですが、その年齢の重ね方、未来の捉え方が本当にステキで、私もこんなふうに生きたら、後悔なく笑って死ねそうだと感じました。

ラン友Hさんのお話の続きは、Q&Aの後で!まずは、今週も4つの回答をお楽しみください。現代人の6割が悩んでいる睡眠についても、睡眠の質を上げる方法を将太郎さんが分かりやすく解説しています。


Q1 医療従事者は死をどのように学び、どのように受け止めているのでしょうか?

Q2 健康には睡眠の質が大切だと思いますが、どう気持ちを整えたら睡眠の質が良くなるのでしょうか。
 
Q3 小児外科医です。少子化が進み、病院の採算を上げるため小児外科の拠点が統合されていきますが、処置できる場所が減ると救えない命が出てきます。命に関わることも効率化と経済合理性が優先されることに心がざわつきます。勤務医の自分にはどうにもできないジレンマについて、視点や考え方を変えるヒントを頂きたいです。

Q4 30代後半独身、子どもが欲しくて焦っています。仕事も趣味も充実しており結婚願望はありませんが、子どもは好きでシングルでも生みたいです。海外の精子バンクを利用してシングルで出産する女性もいるようですが、日本では一般的ではなく苦労も多いと思うと踏み切れません。何を基準に判断したらよいか、後悔しない決断をしたいです。


Q1
医療従事者は死をどのように学び、どのように受け止めているのでしょうか?

A1
「死の捉え方は人それぞれ。私は、楽しみながら死を迎えるための伴走者になりたいです」将太郎

医療従事者が大学などの教育機関で学ぶのは、病気やケガで苦しむ人を生かすための方法で、死そのものや、死との向きあい方を学ぶ機会はありません。医療従事者だから死について深く学んでいるとか、特別な向き合い方があるという訳ではなく、医師や看護師になり、現場に出てはじめて死に直面します。そのため、死の捉え方、受け止め方は人それぞれで、一般の人と変わらないでしょう。

1つ言えるのは、医療従事者として、死んでいく患者さん一人ひとりに感情を込めて向き合おうとすると、人を生かすための仕事に支障が出てしまうということ。担当していた患者さんが亡くなった後すぐに、10時間かかる大手術の予定が入っていることもありますが、気持ちが落ち着くまで手術を延期したり、タスクを中断することはできません。そのため、医療従事者の多くは、死に真っ向から向き合うというより、仕事上発生する1つの出来事として受け止めています。それは、自分のメンタルを守り、人の命を守る仕事の精度を下げないために、防御本能が働いているからです。

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