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『サービス』の本質から『競合』を考える

「おたくの競合は?」と聞かれたり、「競合他社のベンチマークをしよう!」など、ビジネスパーソンなら一度は耳にしたことはあるんじゃないでしょうか?

恐らく多くの人は同じ業界の企業を思い浮かべると思います。例えばコンビニで言うとセブンイレブンの競合はローソンやファミリーマート。ITの会社であれば他のITベンダーであったり、コンサルであれば他のコンサル会社。

でも、本当に『競合』ってそれだけでしょうか?

組織はみな『サービス業』

私は元々、不動産会社からコンサル、そして小売業界へと転職し、今はITの総合サービス業にいます(メーカー&サービスプロバイダ)。傍から見ると色んな「業界」を渡り歩いてきたと思われがちですが、私自身はそうは思っていません。むしろ、一貫して同じ「サービス業」と言う業界に身を投じていると思っています。

私にとって、対象相手がいる団体・組織は全てサービス業です。教育機関、行政、企業、NPO、ボランティア団体、などなど。一般的に言われるいろんな「業界」がありますが、本質的に「サービス業」であることには変わりません。それは、組織のアウトプット(商品、製品、サービス、「教育」と言う経験、など)の質と価値は全て受け手が決めるわけで、対象の受け手が満足しなければその組織は継続的に存続することは難しくなるからです。

国民に安心安全な生活環境を整えるのが政治。生きていくために必要な知識と経験のベースを提供するのが教育機関。企業が抱えている課題を可視化し、改善する道筋をクリアにするのがコンサル。ユーザーが欲している機能を適切と思われる価格で提供するのがメーカー。

「とあるニーズに応える」というのが全ての組織のベースにあり、そのニーズに応えられなくなると、組織として存続できなくなる。だからこそ、全ての組織は自分たちがサービス業であることを強く認識し続けなければなりません。

「サービスの良し悪し」の判断基準とは?

皆さんにとって、『いい体験』とは何を基準に考えますか?例えば毎日、いくコンビニがあるとしましょう。毎朝、笑顔で挨拶してくれる店員さんと、ただ機械的に処理してくれる店員さん。どちらがいい体験でしょうか?

では、逆の立場になってみましょう。無愛想にお金をコイントレーに置いてきて、何も言わずに去っていくお客さんと、笑顔で「ありがとうございます」と言ってくれるお客さん。自分がレジの担当であればどっちが気持ちのいいお客さんでしょうか?

会社の中でいつも笑顔で挨拶してくれる同僚。疲れている時に、「大丈夫?疲れてそうだけど」と気にかけてくれる上司。逆に仏頂面でいつも気難しい表情で怖そうな上司。

実は、みなさんが「いいサービス・接客」か「悪いサービス・接客」かを判断する際に、こうした日々の体験が判断のベースになっています。レジでモタモタされるとイライラしたりしますが、テキパキ対応しながら笑顔で会計をしてくれたら嬉しく思います。その基準が心に残り、同僚だったり取引先の人の対応の速さや丁寧さを判断します。

「サービス」という切り口での競合とは?

では、最初の問いに戻ると、組織にとっての競合とは、受け手が感じるサービスレベルを比較する対象となります。簡単にいうと「いい体験」を比べるということなんですが、その「いい体験」の判断基準が日々の体験で築かれていく。だからこそ、「あなたの競合とは?」という問いには、

「日々接する全ての組織や人である」

このことを常に意識の片隅に置いておくことが、ビジネスパーソンとしてだけではなく、人としての在り方にプラスに働くことでしょう。

おまけ

昔、お土産屋さんで働いていた時に、店舗のスタッフ(バイト、社員関係なく)を近隣のアパレルショップとランチ中のマクドナルドに連れて行きました。その当時、部下には「店長、なんでマックとアパレル店を見にいくんですか?」と聞かれましたが、こと「接客」というくくりで行けば同じだからです。

ランチタイム(どピーク)のマックでレジの店員がどのように接客しているのか?ゆっくり服を選んでいるお客様に店員の方はどうやって近づき、声をかけるのか?

働く上で、同じ業界だけに目を向けるのではなく「日々の生活から何を学べるか」を強く意識し続けることで、より豊かなキャリアが築けるのでは。

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