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部活に明け暮れて、お洒落に無頓着だった私が洋服が大好きになるまでの話(後編)

前編はこちら

https://note.com/noba_shi/n/ncf7fd5ecf84c


初めて自分が気に入った服を買う

タイムリミットが刻一刻と迫っている私には、ある衝動が芽生えます。

「雑誌に載ってる洋服を見てみたい」

今までは似ている物を探して回る日々でしたが、次第に雑誌に掲載されている洋服を実際に手に取ってみたいと思う様になりました。

2月中旬、私は電車に揺られていました。目的地は北九州の小倉。友人達と少し遠出をしようという話になり、普通電車で片道1時間半かけて向かったのでした。

駅ビルには雑誌で見た事があるショップがずらり。今まで気にも留めなかったのに、知識を広げるといろんなものが見えてくる事にも驚きました。店員さんも優しくて、会話の中に出てくる「シルエットが〜」とか「このアイテムが〜」とか、なんとなく分かるのがとても楽しかったです。

そんな中、あるお店に出会いました。正確にはそのお店の店長さんとの出会いです。
結果的にこのお店で散財する事になるのですが…笑

そこは雑誌で見てずっと気になっていたブランドを取り扱っている、小さなセレクトショップでした。

誌面で見ていた中では価格も高い部類のブランドで、たしかにかっこいいけれど、その他と何が違うのか、さっぱりわからなかったんです。

店長さんに、春から服飾学生になる事。でも全然洋服に詳しくない事。なんでこのブランドは高いのか分からない事。不安や疑問を投げかけました。

彼は1本のデニムパンツを手に取って、優しく丁寧に教えてくれました。

そもそも、デニムパンツと言うものが誕生した経緯、現代にこれ程普及した訳。デニムと言う生地の特徴から染め方、原材料の綿の話。
その上でブランドの話も。デザイナー自身はどんな人なのか、何が好きでどういった考え方をするのか。デザイナーが何を思ってこのデニムパンツを作ったのか。

何より店長さん自身がとても楽しそうで。

「細身のシルエットがとても綺麗なんだけど、厚手の生地を使ってる所が、このデザイナーさんらしいんだ。でも厚めの生地だからこそ細身にすると窮屈になっちゃう。だからこの部分にゆとりを持たせて、逆にこの辺りを細くして快適に穿けるのに細身のシルエットをキープしてるんだよ。厚めの生地やボタンやリベットが男らしさも損なわないバランスで、ステッチの配色や生地の色落ちからも、このデザイナーさんはあのブランドのデニムが好きなんだろうなぁ。」

こんな呪文のような話を聞けば聞くほど、この1本のデニムパンツに対してどれだけの人が関わり、思いが乗っているのかが伝わってきて、気がつけば高いと思っていた自分はいなくなっていました。


洋服の魅力に気付いた話

結局、そのデニムパンツを買って帰り、実際に足を通すと凄く気分が上がるんです。ただコンビニに向かうだけでも楽しいんです。

受け売りだけど、友達に説明してみたり。笑
何気ない日常をパッと彩ってくれました。知識が増えれば世界が変わります。店長さんから聞いた情報を元にいろんな服を見てみると、なるほど違いがよくわかる。それが面白くって色んなお店に行っては店員さんと話をして、また見て。

そうやって、聞いて、見てを繰り返していくうちに、お気に入りのブランドが見つかったり、自分が好きだと思える洋服がわかってくる。新しい発見もある。

後日、またそのお店を訪れてイメージや予算を伝えて、あの時のデニムに合うコーディネートを組んでもらいました。

無事、専門学校の入学式を乗り越えて、新しい服好きな仲間達と出会い、日々、あーでもないこーでもないと意見交換を経て今の私へと続きます。

住んでる場所は離れてますが、その店長さんとはタイミングが合えば今でも2人で飲みに行く仲です。

こうなるまで私は約半年です。雑誌を相手に東奔西走するのに4ヶ月。1人で道のない荒野を歩いているようでしたが、店長さんと出会ってからは一気に道が開けた気がしました。

今やSNSの時代。気なるものはすぐに調べられるし、売ってる場所や口コミまで出てきます。
敷居の高さなんて全くありません。webで検索するか、洋服屋の店員さんやあなたの周りの服好きに聞いてみるだけ。

もし、それもむづかしいなら私で良ければお話を聞きますので、お気軽にコメントして下さいね。読んで頂いてありがとうございました。

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