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人って正論だけでは動かないよね

生活を送る中で、絶対に人と関わらないって事はない。
つまり、何かしらの形でコミュニケーションは取るはず。

私は、職業柄的に絶対に誰かと話す。
ましてや運動を強要するような仕事をしている。

約9年ぐらい臨床現場にたっていて
つくづく思うのが「正論でも人は動かない」ってこと・・・


リハビリあるある?

入院する理由は、人それぞれだけど
病院に入院している患者は70〜80代の高齢患者が多い。

そんな彼らに運動の重要性を伝え、
日々のリハビリに励んでもらうことが理学療法士の仕事です。

しかし実際は、いくら理論的に運動のメリットを説明しても、
彼らがすぐに動き出すわけではないんです。

むしろ、その正論が逆効果になってしまうことも少なくありませんでした。


理想と現実のギャップ

運動をすることが健康に良いというのは、
誰もが理解できるはずの事実。

例えば、
「この運動を続けることで、体力が回復し、日常生活が楽になりますよ」
と説明しても、一部の高齢患者は首を縦に振らないんです。

私が経験した断られる理由は
・こんな年にもなって、運動なんかしても意味ない。
・もう頑張りたくないから、ゆっくりしてたい。
・運動したら、身体が痛くなったり、しんどくなるから嫌。
・家に帰ったら、動けるようになるから大丈夫。

全く根拠のない謎理論を展開して断られる事もしばしば(笑)


彼らは、過去に多くの経験を積んでおり、
無理をしないことや、運動に対する先入観があると思います。

新人の頃は、このギャップに大いに悩まされました。


心に訴えるリハビリの方法

どんなに文献や資料を読んで勉強しても
このギャップを埋めるのには時間がかかりましたし、
今も完全に埋めれているとは思っていません。

でも、今はありがたい世の中で
その気になれば全国の同業者と繋がれるんです。

色んな同業者や当事者と関わっていく中で
私なりに新しいアプローチを模索し始めました。

理論的な説明ではなく、患者の興味や好きなことを引き出し、
それをリハビリに結びつける方法。

つまり、「正論は振り翳さない!」という方法。

そんなもん、学生時代に
「患者に寄り添う」という意識をもつよう指導を受けただろうが!

多分、こう言われると分かってるけど
正直、この言葉の捉え方が最初は違ってたと思う。

例えば、園芸が好きな患者には、
実際に植物を育てる動作を取り入れたリハビリを提案。

DIYのような日曜大工が趣味だった人には
何かしらの制作物を一緒に作る。

人によって違うけども
その人の人生に関わっていた出来事をリハビリに繋げるというもの。

この方法は、患者の積極的な参加を引き出すだけでなく、
リハビリへの意欲を高める効果もありました。

・今日はリハビリは控えめにするんで、
 一緒に大きなテレビで野球中継見ませんか?
・料理好きって聞いたんですけど、
 自分一人暮らしなんで、おすすめのレシピ教えてもらえませんか?
・今、看護師さんが手離せないので
 トイレまでお連れしましょうか?
・孫さんとは普段、何して遊ぶんですか?
 その遊び、教えてください!

「リハビリ」「運動」というワードを
最近は、ほとんど使わなくなった気がする。

「やりましょう」ではなく
「〇〇しませんか?手伝いますよ」というスタンス。

そこから、直接的ではなくても
間接的に「目的のある運動」に繋がっていればOKという感覚。


価値観への配慮

この考え方は同僚とのコミュニケーションでも
有効であることに気付きました。

業務の進め方や提案を行う際、
相手の価値観や仕事への考え方を尊重して話をすることで、
スムーズに協力を得ることができる場面が増えました。

合理的な正論を振りかざすだけでは、
必ずしも人は動かないという事実を、改めて実感しました。

普段の態度もあると思うけど
合理主義の人は煙たがられる印象・・・。


人を動かす鍵は、心へのアプローチ

人を動かすには、論理的な説明だけでは不十分。
相手の心に寄り添い、感情に訴えかけるアプローチが重要。

人と関わる仕事をしてこなければ気づけなかった領域。

今は、理学療法士として働いているけども
将来、別の仕事をすることになっても
一人一人の価値観を尊重した生き方を意識しようと思います。

常に時代の変化はあるので
自分と違う考えが生まれるのは当たり前。

私はこれからも、理論と感情のバランスを取りながら、
患者や同僚と柔軟な思考で向き合っていきたいと考えています。

#仕事での気づき

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