Taishi Iijima

音楽家の身体をサポートするセラピスト。 保有資格:理学療法士(保健医療科学修士)、NA…

Taishi Iijima

音楽家の身体をサポートするセラピスト。 保有資格:理学療法士(保健医療科学修士)、NASM-PES 機能解剖に基づいた音楽家の身体の動きをお伝えしていきます。ご要望等ありましたらお気軽にコメント下さい。 Twitterもやってます@no_w_here0903

最近の記事

いわゆるインナーマッスルの話~腹横筋と骨盤底筋~

腹横筋と骨盤底筋は恥骨を挟む形で位置しており、それぞれが骨盤を引っ張る働きを持ちます。 この「引っ張る」というのが大事でして、例えば腹横筋を働かせて体幹を安定させたい・声をしっかり出したいといった場合には腹横筋が働くための土台(錨)としての役割をどこかが担う必要が出てきます。 (腹横筋だけが働いたら骨盤は後ろに回転する動きをしまくる) この時に1つ役立ってくれるのが骨盤底筋なのかなと考えてます。 腹横筋がしっかり働くためには骨盤を安定(必要以上に動かされないようにする)

    • 反り腰と歌声の関係

      反り腰のデメリットには大きく3つあると考えてます。 ①お腹が伸ばされて腹筋の力を上手く使えない ②体重が後ろにかかり、バランスを取るために腹筋や喉の筋肉を使い続けなくてはならない ③股関節がうまく使えない 今回はこの3つについて歌と絡めてお話していきます。 ①について 腰(腰椎)が後ろに反ると前側であるお腹は引き伸ばされる形になります。 この時に腹筋は引き伸ばされ続けているにも関わらず、息を吐いたり声を出す時には収縮(縮む方向に力が入る)しなければならないため 「

      • 肩甲骨周りがほぐれると息がしやすくなるかも

        呼吸をする時に動く体の部位のはあばら骨(肋骨)になりますが、このあばら骨の動きを肩甲骨が邪魔してしまうこともあります。 肩甲骨は鎖骨とほぼ唯一繋がり(関節)を持ち、あばら骨の上に乗っかる形で位置しています。 ただ乗っかるだけではあまりに不安定となるので周りの筋肉が肩甲骨の動きを操作する形となりますが、肩甲骨とあばら骨を繋ぐ筋肉に 「前鋸筋」と呼ばれる筋肉があります。 主な働きとしては ・肩甲骨を前外側(背中から胸の方)へ動かす ・肩甲骨の内側(背骨側)をあばら骨から浮か

        • 下顎の疲れは首から防ぐ!

          歌っていると下顎が疲れたり、筋肉が凝ってくるという人は多く見られますがその原因について話をしている人や文章はあまり見かけません。 あくまで個人的な印象のお話ですが、何かしらの参考にでもなればと思い記事を作ってみました。 まず下顎が疲れるということについて、 ・何が疲れているのか ・どのように疲れているのか ということを考えてみましょう。 下顎にある筋肉は主に舌骨上筋群と呼ばれる筋肉であり、下顎を下げたり喉仏を上に挙げたりする働きをします。 この働きがたくさん必要になる

        いわゆるインナーマッスルの話~腹横筋と骨盤底筋~

          あなたが息を吸う時に動く場所はどこ?(つぶやき記事)

          息を吸う時に大きく動く場所が 肩の辺りな人(すくむ動き)、お腹周りが膨らむ人、腰の辺りが膨らむ人etc それぞれの吸い方によって声の出し方にも色々違いがありそう。 (呼吸時の肋骨の動き方としてはどの場所が動いててもおかしくはありません) 息を吸う時に働く筋肉はみぞおちの辺りにある横隔膜をはじめ、首周りの胸鎖乳突筋といった筋肉も関わります。 息を吸う時に既に首周りの筋肉に力が入っていると発声のコントロールにも何かしらの影響は出そうな気がします。

          あなたが息を吸う時に動く場所はどこ?(つぶやき記事)

          ロングトーンが続かない人への身体の考え方

          ロングトーン発声に必要な要素として呼気量や呼気圧のコントールが挙げられます。 呼気の量に関してはまず大きく息を吸えないことにはたくさんの息を吐けませんので前回の記事を参照ください。 では呼気圧のコントロールを考えていきましょう。 腹式呼吸などの言葉に代表されるようにお腹を使って息を吐くというような動きはイメージしやすいと思いますが、「圧力」を考えるにあたってまず上半身の中に風船が縦に2つ重なっているイメージをしてみてください。  息を吸ったときにまず肺や胸郭が拡がりま

          ロングトーンが続かない人への身体の考え方

          ロングトーンが続かない人への施術方法〜あばら骨の動きを理解する〜

          ロングトーン発声に必要な要素として ①肺やあばら骨の拡がり → たくさん息を吸うため ②呼気のコントロール → 必要以上に呼気を吐かないため が挙げられます。 ①について 呼吸をする時に肺を包む複数のあばら骨(以下:胸郭)は上半分と下半分で動き方が違います。 上半分は上下方向  下半分は横方向  に動き、それぞれを ポンプハンドルモーション、バケツハンドルモーションと呼ばれています。 これらの動きを知ることのメリットとしては、胸郭の動きを制限・促通するために必要な筋

          ロングトーンが続かない人への施術方法〜あばら骨の動きを理解する〜

          音楽分野の方に向けた個別整体承ります!

          場所 東京都杉並区の防音スタジオ、各種レンタルスタジオ 予約完了後に住所をお伝え致します。 杉並区スタジオは防音対応、ピアノのみ常設 (持ち込みができない楽器に関しては要相談)。 ご希望があれば依頼者さま指定のスタジオにもお伺いします(別途出張料を頂きます)。 時間・料金平日 18:30以降 土日祝 終日 要相談 初回のみ 60分 5,000円にて対応(例外有り) 2回目以降 60分 8,000円 または 90分 〜11,000円 (場所によって変動あり。基本

          音楽分野の方に向けた個別整体承ります!

          喉仏を動かしやすくするために必要なこと

          記事をご覧いただき誠にありがとうございます! 今回は発声(歌唱)時の喉仏を動かしやすくするために必要なことを考えてみました。 「声を出している時の喉仏」についてではなくて、声を出す準備段階としての「喉仏を動かしやすくするために必要なこと」ですので悪しからず。 声の作られ方声とは ① 呼気圧 ② 声帯振動 ③ 声道での共鳴・構音 によって作られます。 ① 呼気圧は吸った息を吐き出す際の圧力ですので、いわゆる腹圧や胸腔圧等が関わります。 よく言われるのが腹式呼吸で

          喉仏を動かしやすくするために必要なこと

          腹式の呼吸 弍ノ型 皮膚の動きが大事

          (タイトルは鬼滅の刃を全巻読み終えた余韻からつけました。特に気にしないでください。) 前回の投稿で腹式呼吸において横隔膜の位置を理解することと、腹部の柔軟性を向上することが大事であると述べました。 今回も腹式呼吸をするための身体の事について、掘り下げて考えていきたいと思います。 横隔膜を大きく動かすための呼吸法吸気時に下胸部と上腹部を拡げる呼吸の仕方によって 「下胸部と上腹部が前方に膨らみ呼気では下腹部も凹む。腹部臓器は呼気で上方に持ち上げられ、横隔膜も大きく上方に移

          腹式の呼吸 弍ノ型 皮膚の動きが大事

          いわゆる「腹式呼吸」をするために必要なこと

          発声時の身体の使い方として広く知られているのが「腹式呼吸」という言葉。 しかし個人的に思うのは、言葉そのものが広く使われすぎて「何を目的に」行うかという事や実際に「どのように」行われているのかという事等は解釈にかなりの幅があるように感じます。 というのも腹式呼吸を行っている時に身体の中で実際に起きている事を見る事は出来ず、発せられた声(結果)で判断するしかないため身体の使い方に対する解釈は無限にあると考えています。 その中で最大公約数的に受け入られている考え方が、教科書

          いわゆる「腹式呼吸」をするために必要なこと

          エクササイズ編:立った姿勢で演奏・歌唱する時に考えるべき下半身の影響〜圧力を利用したバランス編〜

           前回の投稿でお話しした床反力は基本的に支持面となる足の裏の範囲で生じますが、実際には目に見える支持面よりも狭い範囲で床反力は生じています。  足の裏を縁取った線の面積が見かけ上の支持面積になりますが、実際にはそれよりも狭い範囲がバランスを取るために利用される面積となります(画像は一例)。  その理由として、私の経験的に ・足の裏にマメができている人はそのマメの部分で踏ん張っていることが多い  ・立っている時に足の指が浮いている人は指先で踏ん張ることができず足指の付け

          エクササイズ編:立った姿勢で演奏・歌唱する時に考えるべき下半身の影響〜圧力を利用したバランス編〜

          立った姿勢で演奏・歌唱する時に考えるべき下半身の影響〜圧力を利用したバランス編〜

           立った姿勢のまま楽器を演奏・持った状態で歌う時に、思い通りの声や息を出し続けるためにはその状態を保つための安定(≠固定)した姿勢が必要となります。  立った状態で安定した姿勢を見つけられたとしても、実際には楽器を持ちながら歌唱したり、歌唱時に表現の1つとして身体を動かしたりと常に身体には姿勢を崩すような刺激が生じます。  そのため自分に合った演奏や歌唱方法が分かったとしても、その通りに身体を動かすための(姿勢に対する)安定性が必要になります。  「安定している」という

          立った姿勢で演奏・歌唱する時に考えるべき下半身の影響〜圧力を利用したバランス編〜

          立った姿勢で演奏・歌唱する時に考えるべき下半身の影響

           立った姿勢で演奏・歌唱すると息や声が上手く出せないことはありませんでしょうか。  また何も持ってなければ上手くできるのに、楽器を持つことで上手くできない場合はその楽器の重さや持ち方によって姿勢(特に上半身や頭頚部)が変わっている可能性があります。  本やトレーナーさんによっては「背筋を伸ばして姿勢を正せば良い声やたくさん息が吐けますよ!」等と言うこともあると思いますが、背筋(上半身)の土台となる下半身からの影響も考える必要があります。  例えば普通に立った姿勢で背筋を

          立った姿勢で演奏・歌唱する時に考えるべき下半身の影響

          スラップ奏法を考える その3〜メリットとデメリット〜

           前回の投稿でスラップ奏法における手首の動きについてお話をしました。  今回は手首を小指側に傾ける動き(以下:尺屈)のメリットとデメリットについてお話をしていきたいと思います。 メリット 尺屈することで親指と人差し指で弦を弾く部分が、弦の走行と平行に位置します。 その結果 ① 同一弦をサム・プルの繰り返しで弾きやすくなる② サムをした後に人差し指を弦の下に入れやすくなる ということが可能となり手数の多い曲でも指の動きが対応しやすくなります。 ↓親指が弦と平行の場合、

          スラップ奏法を考える その3〜メリットとデメリット〜

          スラップ奏法を考える その2

           前回の投稿でスラップ奏法における前腕回転軸についてのお話をしました。  人の体は基本的には軸に沿った関節運動を行いますが、筋肉の疲労や動きを意識しすぎてしまう(今回の場合だとサムで弦を叩く・プルで弦を引く等)ことによって本来の軸に沿わない関節運動が行われる可能性があります。  関節に負担がかかった状態で動かし続けると結果的に怪我をしたり演奏動作を妨げてしまう要因にもなります。  そこで今回、スラップ奏法における前腕回転軸を踏まえた練習方法や一工夫をお伝えします。 手

          スラップ奏法を考える その2