シェア
市紗
2020年4月5日 19:29
時計は二時半を指している。きれいに晴れた空と白い石で舗装された道との間を歩いていく。 通りには僕以外には人も猫もいない。さらさら、と緩やかな風に吹かれた葉っぱが、まだらの影を揺らしている。 ずっと歩いていくと、赤いポストのある曲がり角があって、その手前に果物屋がある。お日様の光を浴びているような人が、ベンチに座って機嫌よさげに雑草をくるくると弄んでいた。確かではないが見覚えのありそうな姿に、
2019年8月8日 17:23
どの季節でも夕方というのは一等良い。今は夏。うだるような暑さを孕んだ風も落ち着いてくる。クーラーを一度止めて、扇風機の首をぐるぐる回して、網戸にする。パソコンを開いて、適当にピアノ曲を選んで流す。アンダンテが良い。詩集を机に置く。これも適当に選ぶ。なにせ本棚には好きな詩人のものしかないから、どれを選んでも失敗することはない。電気はまだつけてはいけない。窓からの明かりで十分。いつも