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古めの作品箱

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#掌編小説

果物屋の先生

 時計は二時半を指している。きれいに晴れた空と白い石で舗装された道との間を歩いていく。
 通りには僕以外には人も猫もいない。さらさら、と緩やかな風に吹かれた葉っぱが、まだらの影を揺らしている。
 ずっと歩いていくと、赤いポストのある曲がり角があって、その手前に果物屋がある。お日様の光を浴びているような人が、ベンチに座って機嫌よさげに雑草をくるくると弄んでいた。確かではないが見覚えのありそうな姿に、

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夕涼み

夕涼み

どの季節でも夕方というのは一等良い。
今は夏。
うだるような暑さを孕んだ風も落ち着いてくる。
クーラーを一度止めて、扇風機の首をぐるぐる回して、網戸にする。
パソコンを開いて、適当にピアノ曲を選んで流す。
アンダンテが良い。
詩集を机に置く。これも適当に選ぶ。
なにせ本棚には好きな詩人のものしかないから、どれを選んでも失敗することはない。
電気はまだつけてはいけない。窓からの明かりで十分。
いつも

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