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4-5 ホームルームをはじめます。


先日このnoteを拝見し、数年前大学卒業したてのひよっこだったわたしを”せんせい”にしてくれたこどもたちのことを思い出した。

毎週出す学級通信の名前は「たいよう」

『たいようのように、明るく、みんなが笑い合えるクラスにしたい』という想いで、子どもたちが提案してくれた



―――はい、じゃあ日直さ~ん。お願いします。

「これから、ホームルームをはーじーめーます!」
「しせい! れい!」


「「「はーじーめーまーしょう!」」」

―――はい、はじめましょう。

   しっかりあいさつができたね。さすがです。


このやり取りを何百回しただろう。今でも目を閉じると子どもたちの少し高めの元気な声が脳内に響く。


あのときの教室を思い出しながら、数年越しの最後のホームルームをここでひらいてみようかな。


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今日のホームルームのテーマは「せんせいからみんなへありがとう」です。


みんなが4年前、この小学校に入学したときと同じでせんせいはこの小学校の一員としても、”せんせい”としても1年生でした。


いつもはみんなに、お勉強を教えてきましたが、先生もみんなに負けないように毎日毎日勉強をしていました。


先生も、完璧ではないからです。


みんなと同じように、悲しいときは泣くし、嬉しいことがあると心から幸せな気持ちになります。



この一年間、たくさん叱られた人もいっぱいいるね。



学校生活、友達との関わり方、みんなも悩んだり、傷ついたりすることがあると思います。


みんながとにかく健やかに学校生活を送れるように。今の素直で優しいみんなを守れるように、「どうしたら伝わるかな。」と考えながらみんなと接するようにしていたつもりですが、反省することも沢山あります。


これだけ”言葉”を普段大切にしていても、先生でも、お父さん、お母さんでも、”言葉”で誰かを深く傷つけることがあります。


転んだりぶつけたりしてできた傷はちゃんと治っても、心の傷は目に見えないからこそずっとずっと苦しいです。



だからこそ、これから中学校、高校に進学したり、社会に出てお仕事をするみんなに”言葉”で誰かを傷つけたりしないでほしいなと思っています。


それだけ自分の口からでる言葉には責任を持ってください。



ここだけ言うと、少し不安になったかもしれませんが、”言葉”で誰かを救うこともあります。



この一年、みんながそれを証明してくれました。


このクラスは「ありがとう」という言葉が一日中飛び交っています。


悲しいんでいる友達に優しい言葉をかけてあげたことがあるひと、誰かが困っていると「だいじょうぶ?」という一言が言えるひとばかりです。


せんせいも、モノを運ぶとき「誰かてつだって~!」と言わなくても駆けつけてくれたり、せんせいの知らない学校のことを教えてくれたりしてくれるみんながとても大好きです。



みんなの言葉が、みんなの笑顔が大好きだから、先生は1年間この教室でつらいことも一緒に乗り越えることができました。



みんなとのあたたくてたいせつな思い出は、数年後、数十年後、何かつらいことがあったときにふと思い出し、支えてくれると思います。


先生から、みんなへ。「ありがとう」



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その後、わたしはたった一年で教育現場を離れた


1年間、がむしゃらにしがみついて必死にやってきたつもりだけど子どもたちになにを与えられたのだろう

彼らの心になにか残せたのかな


子どもたちは先生を選べないからこそ、「これでいいのかな?」「あのときの指導は正しかったかな」と自問自答する日々


こんな未熟だったわたしを受け入れてくれた子どもたち


初日から学校を脱出した子を涙目になりながら探したあの日も、昼休みに練習した長縄も、夏休み水泳の特訓をいやいやながらしたことも、少し褒めたら一日中ご機嫌な可愛い笑顔も、何日もかけてわたしのお別れ会を企ててくれたことも、全部全部たからもの。


子どもたちがわたしを”せんせい”にしてくれた



あのときは、虚無感と続けられなかった自分を認められなくてつらい思いをしばらく引きずってしまったが、今ならやっと笑顔で話せる



一時はみんなとばったり会ったり顔を見るだけで不安や後悔が追いかけてくることがあったけれど、遠足で撮った集合写真はずっと部屋に飾っている


教室ではいつも笑っていたし、あんなに強気だったから先生の弱気な姿は想像できないかな?


あ、でも学校でみんなに見せていた笑顔は決して作り笑いではなく、心から笑っていたから安心してね


それもみんながいつもそばにいてくれたからです。




みんなの成長した姿が気になるが、元気でいてくれたらなによりも幸せ。


どうかあの可愛らしくてまぶしい笑顔が、ずっとずっと守られますように。



これで、4-5ホームルームを終わります。


「「「おーわーりーまーしょーう」」」

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