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あの大賞作品どうやって書いたか全部見せ!レッツ脳みそ開帳note
もうすぐ今年も終わりますが、もうちょっと受賞のよろこびをしがんでおこうと思い。
だいたい人生において「受賞」することってそんなにないのでスルメイカぐらいしがんでいます。どうもどうも。
本当は授賞式とかでみなさんに「どうやって書いたんですか」を聞きたかったけど、夜も遅かったしオンラインやしで聞けず。なので代わりに(?)自分がどうやってショートショートnote杯で大賞をいただいた「君に贈る火星の」を
1分間クリスマス ショートショート
もう会社に住んでしまおうか。
会社と家を往復するうちに季節がいくつか通りすぎ、あながち冗談とも言えない。
自分がこれほどまでに勤勉な日本人だとは思いもよらなかった。
朝はコンビニ、昼は早さをパートのおばちゃんの口の悪さで帳消しにした定食屋、夜は牛丼チェーン店でお世話になる毎日。その繰り返し。
かしこいスマートフォンはもはや会社を自宅として認識して久しい。
なんのために働いてるんだっけ。
表彰式最高やから毎日したい、あとショートショート
今日は楽しかったー。
先日発表されたショートショートnote杯のオンライン表彰式でした。
私のはこちら。
受賞した方のお顔も声もわかるので「この人があの作品を!」という驚きやら納得感やら。
作風と本人の醸す雰囲気はなんとなく似てるなあと思う。それは顔だけじゃなく、しゃべり方とか、間の取り方とか。
表彰式のあとの、提示されたカードからタイトルを決めて、5分でショートショートを書くゲームがあっ
金持ちジュリエット【ショートショートnote杯】
金で役を買ったくせに。
無言の視線が雄弁に語る。
父が経営者、母が大女優。
そんな家庭に生まれたのは、神様。
私の罪なのでしょうか。
血の滲むような努力を重ね、
悲劇のヒロイン、ジュリエットの役を
両親の名を伏せ実力だけで勝ち取ったところで、
陰では「金持ちジュリエット」と噂されている。
舞台の上に仲間はいない。
ファンもいない。
SNSは敵意と悪意の掃き溜めだ。
いいじゃないの。
もっ
空飛ぶストレート【ショートショートnote杯】
あちらのお客様からです。
バーカウンターで飲んでいると、
自分の前にサッとウイスキーグラスが滑ってくる。
あれだ。
誰もが憧れるあのシチュエーションこそ、
彼女へのプロポーズにふさわしい。
彼女は何より普通を嫌う人だ。
60年代って渋いよねと語り、撮った写真はモノクロ加工、ハイボールなんてダサいと居酒屋でストレートウイスキーを流し込む。
そのどれもが本や雑誌の受け売りなのだけれど、毎夜本や
数学ギョウザ【ショートショートnote杯】
「デジタル産業が劇的に発展したここ数十年は、一部の専門家からこう揶揄されているそうです」
作業の手を止めることもなく、その人は続ける。
「数学ギョウザ時代、と」
「数学ギョウザ…?」
「苛烈なデジタル革新によって文化や芸術は無価値とされ、理数分野のスキルのみが重視されました。義務教育では数学だけを教えるようになったのです」
「それで数学ですか。ではギョウザは?」
「数字が重視される時代
株式会社リストラ【ショートショートnote杯】
AIコンサルタント。御社の基本情報を入力するだけで最適な経営戦略をご提案。初回無料!
毎日数百と届く営業DMの中で、
偶然目にとまったのがAIコンサルだった。
「また変なモン始まったな」
と思いつつ、興味はある。
一流の社長ってのは、なんでも面白がるもんなんだ。
話のネタにやってみるか。
年商や社員数をPC画面に打ち込み、
診断ボタンをクリックする。
「この度はご利用ありがとうございま
しゃべるピアノ【ショートショートnote杯】
少女は車椅子に乗っていた。
足は治っていたけれど、こわくて1歩踏み出すことができずにいた。
いいの。歩けなくても。友だちなんていなくても。こうしてお部屋でピアノを弾いているのが好きだもの。
大人たちにはそう言っても、もうずっとピアノなんて弾いていない。本当は歩きたい。広い世界に出てみたい。
ピアノは、少女の強がりや、一人ぼっちの悲しみを知っていた。
少女が2階の部屋に閉じこもるようになったある
コロコロ変わる名探偵【ショートショートnote杯】
名探偵「間違いを認める、というのは大変な勇気がいる行為です。なぜなら、それは過去の間違った発言への責任を意味するのだから。事実、多くの人は自分の間違いを認めることができず、自らを正当化してしまいます。その方が自分が傷つかず楽天だから、とは、まあ賢明な諸君に説明するまでもないことでしょう。私は勇気という得難い才を授けてくれた両親に感謝しなければならない。つまり、私が推理の第一段階としてAさん、あなた
もっとみる君に贈る火星の【ショートショートnote杯】
お父さんは火星にいるの。
それは、君の母さんが咄嗟についた嘘だった。
彼女の嘘に乗じて、僕は君に手紙を出した。窓に鉄格子のついたこの部屋を、宇宙船に見立てて。
君が「かせいあて」に返事をくれたときは、涙が出るほどうれしかった。
片手で抱き上げられた君が、もう平仮名を覚えたんだ、と思えば、次の手紙では逆上がりができるようになっていた。
学校のこと。母さんに内緒のいたずら。初めての恋。空で言え
アナログバイリンガル【ショートショートnote杯】
「おはようございます、お母さん」
「おはよう、しっかりチャージできた?」
「ええ。やはり最新型は違いますね。これで100時間稼働できるそうです」
「私があなたくらいの頃は、全身をケーブルに繋がれて一苦労だったわ」
「考えられないや。そうだ、今日はアナログバイリンガルが要るんだ」
「環境保護地区に行くんですってね」
「そうなんです。猫以外の野生動物は、もうあそこでしか見られないから」
1億円の低カロリー【ショートショートnote杯】
2XXX年。
「とにかく美味いものを頼む。金はいくらでもあるんだ。ただし、脂っこいものは困るよ。医者から止められているんでね」
「でしたらお客様。こちらはいかがでしょうか」
「見たことのない瓶だな」
「特別な方にしかお出ししていないのです。なにしろ希少でございまして」
「なに、糸目はつけん。言ってみたまえ」
「1億円でございます」
「この瓶1本で?さぞ高級な食材なのだろう。中身がよく
違法の冷蔵庫【ショートショートnote杯】
一人暮らしは初期費用がかさむ。
インテリアにこだわりたかったので、家電はフリマアプリに頼ることにして、1日中スマホを睨んでいた。
「あとは冷蔵庫だけ…ん?最新モデル未使用、送料込みで500円!?」
こんな掘り出し物があるから、フリマアプリは侮れない。誰かに先を越される前に、急いで購入手続きを済ませる。
1週間して、500円ポッキリとは思えない新品の冷蔵庫が届いた。キッチンの横に置き、電源を入