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地域に根付いたおいちゃんの揚げ物屋さん。なぜあんなに惹かれるのだろう。

道を歩いていると、ときに「おいちゃんの揚げもん屋」に出会うことがある。

50代くらいからなかには80代くらいまで。おいちゃんの場合だけでなくおばちゃんの場合ももちろんあるのだが、地域に根付いた揚げ物屋さんのことだ。
そこの名物はコロッケのこともあればメンチカツのこともあり、レバカツの場合もある。

ふだんコンビニのホットスナックなんて見向きもしない僕だが、こうした地域に根付いた揚げ物屋さんには、なぜか惹かれてしまうものがある。
それはきっと、安価だという理由だけではない。

1,部活帰りの50円コロッケ

道端にちょこんと存在する揚げ物屋さん。
一番最初の記憶は、高校時代の帰り道だった。

運動部の練習が終わり、いくらでも腹に入ると思っていたあの頃。
お金に余裕があるわけでもなかったため毎回とは言わなかったが、どうしても食べたくなった時、帰り道による場所があった。

それが「50円のコロッケ屋」。

50円といっても馬鹿にはできない。
ほくほくのジャガイモがたっぷり入ったおばちゃんのコロッケは、疲れた心もお腹も十分に満たしてくれるものだった。

ちょっとお腹がすいた日にはコロッケ2つにしたり。
ちょっと疲れたときには名物の特大チキンカツをほおばったり。
友人との帰り道で、共に語り合いながら食べ歩きをした思い出がある。

ちなみに近くの和菓子屋さんでは、冬の寒い時期限定であんドーナッツが売っていて、そちらも楽しみな一つだった。
注文したらおばちゃんがその場で目の前で揚げてくれて、あんこのほどよい甘みが落ち着く味。コロッケのお店とどちらにしようかと迷ったことも多々あった。

こうした風景はいわゆる「お父さんお母さんの昭和の時代」の古き良き光景と捉えられる場合もあるだろう。
しかし平成の終わりに高校生時代を過ごした僕にもその心地よさは十分に理解できるものであったし、スーパーやコンビニの揚げ物はもちろん、親が作ってくれるものともまた違う味わいがあったものだ。
(ちなみに先日帰省した際にもコロッケが売られていた。若干の値上げはあったようだが、今も高校生が立ち寄っている姿を見てちょっと嬉しかった)

2,店主さんの雰囲気に惹かれて

お肉屋さんとも、定食屋さんともまた違った雰囲気を持つ揚げ物屋さん。

先ほどの50円という価格はなかなかないだろうが、それでも70円~100円前後という安価に設定された揚げ物を売る店は、ちょっと下町感があるまちであれば見かけることも多いように思う。

そして、字体のフォントも店の雰囲気もすべてが昭和から止まっているようなその店は、誰もが学生時代に、もしかすると大人になってからも自分の子供とというように、何年にもわたり愛されてきた店のように思える。

きっと、その揚げ物が好きでなければ、その店は続いていない。

揚げ物ではないが、大学時代にちょこちょこと通っていた大判焼き屋さんは、本当にたこ焼きと大判焼きを愛するおいちゃんだった。

別に単に安いからとか、単に続いてほしいとか、同情して買うわけではない。
その人の「好き」に触れて、その人が自信をもって作ってくれたものを食べる。
本当に一瞬かもしれないが、ある種そのまちの、そのみせの、「一味」になれたような感じがするのだ。

注文してから一本一本揚げてくれる姿。
たった80円のためにそこまでするのは、収益という観点から言えばそう効率の良いものではないだろう。

スーパーを悪くいうわけではないし、なんなら仕事が遅くなった時によくお世話になっているからそう大きな声で言えないのだが、
大量にパック詰めし、売れない分は2割引き、半額にして売るほうが、きっと営業効率としてはよいはずだ。

それでもやめないのは、おいしいものを、おいしいうちに食べてほしいという思いがあるのではないか。

きっとスーパーで揚げてくれているのも地域のおばちゃん、おじちゃんが多いのだろうが、僕らはその人たちの顔も、声も、雰囲気も知らない。
結局は商品もそうだが、その人の雰囲気で買ってしまう部分がある。

今日もまたレバカツを買ってしまった。
レバーの臭みはほとんどなく、思いのこもった味がした。
一期一会かもしれないが、こうした温かい出会い、経験、そして店主さんの思いを大切に、これからも地域の揚げ物屋さんを見つけていきたいし、そうしたお店を周りに知らせていきたい。

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