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N中等部の授業紹介「ウェルビーイングとは」(前編)

こんにちは、N中等部「ネッ中note」です。
今回は「ウェルビーイング」の授業についてご紹介します。

この授業では、「自身の良い状態(ウェルビーイング)に、意図的に気づき、育てていく方法」を学びます。
授業の最終回では、生徒が自分なりのウェルビーイングマップを作成し、「自分がどんな時に良い状態か」を認識し、言語化できるようになることを目指します。


近年、その充実が社会課題として取り上げられ、SDGsの一つにも掲げられているウェルビーイング(well-being)。
皆さんもどこかで聞いたことがあるかもしれません。
N中等部では、「21世紀型スキル学習」の授業の中で「ウェルビーイング」を学びます。

この記事(前編)では、ウェルビーイングとは何か、なぜ授業で扱うのかについてご紹介します。
後編では、具体的な授業内容やワークシートをご紹介し、読者のみなさまが“生徒”として授業を追体験していただけたらと考えています。

プログラム監修:松隈信一郎(医学博士/公認心理師/ポジティブサイコロジー専門家)


■この記事は以下のような方にオススメです■
・「ウェルビーイングを体感する教育」に興味がある方
・ポジティブな気持ちの育て方を知りたい方

はじめに

いきなりですが、みなさんは「自分のネガティブな点を挙げてください」と聞かれたら、どのくらい思い浮かびますか?

反対に、「自分のポジティブな点を挙げてください」と聞かれたら、どのくらい思い浮かびますか?

ネガティブとポジティブ、どちらの方がすぐに思い浮かんだでしょうか?

実は、ポジティブな点よりネガティブな点の方が浮かびやすいと言われています。人は自然にしていると「ネガティビティバイアス」によりネガティブな点に目がいきがちです。

人間の脳は扁桃体という「危険へのセンサー」によって身を守るため、不完全・欠陥などネガティブな部分に引っ張られてしまう特性があります。ネガティビティバイアスが過剰反応すると、日常の良かった経験を忘れたり気づけないため、ポジティブ感情には意識的に気づく必要があります。

この記事を通して、自身の良い状態(ウェルビーイング)に、意図的に気づき、育てていく方法を見ていきましょう。


「ウェルビーイング」とは

「ウェルビーイング」とは、人の良い状態を表す総合的な概念のことです。

N中等部の授業では、ポジティブ心理学(※)で広く活用されている、「PERMA」という5つの構成要素からなるウェルビーイングの概念を扱い、自分のウェルビーイング(良い状態)に気づき、増やしていくことに取り組みます。

1.Positive emotions「ポジティブな感情」
2.Engagement「没頭(時間も忘れて夢中になる)」
3.Relationship「良好な人間関係」
4.Meaning「自分の行動や経験に対して、意味(価値)を感じている状態」
5.Accomplishment「達成感(目標を達成した時の喜び)」

※ポジティブ心理学とは…1998年当時、米国心理学会会長であったペンシルベニア大学心理学部教授のマーティン・E・P・セリグマン博士によって発議、創設された心理学の一領域。

参考:一般社団法人 日本ポジティブ心理学協会 https://www.jppanetwork.org/

なぜウェルビーイングの授業に取り組むのか?

N中等部の「21世紀型スキル学習」の授業では、以前から、怒りや不安、落ち込みなどへの向き合い方を学ぶ、感情トレーニングに取り組んできました。
これらは「ネガティブな側面に対処するプロセス」と言えますが、「ポジティブな側面を高めるプロセス」とは異なります。

例えるなら、庭の雑草(悪い側面)を抜いたとしても、自然と花(良い状態)が咲いてくるのではない、と言えるかもしれません。

これまで取り組んできた感情トレーニングに加えて、意識的に自分の良い部分に気づき、自分が育てたい方向に育てることを目指し、新たなテーマとしてウェルビーイングの授業を導入しました。

一方で、ネガティブ感情が悪いわけではありません。全ての感情には意味があり、前述の通り、ネガティビティバイアスは「危険へのセンサー」として重要な役割を担っています。
ネガティブ感情とポジティブ感情のバランスが大事であることが大前提となります。

生徒には、ネガティブ感情との向き合い方とともに、ポジティブ感情の育て方を学んで欲しいと考え、ウェルビーイングの授業に取り組んでいます。


授業の最終成果物

この授業は全7回で構成されています。
授業の最終回では、自分なりのウェルビーイングマップを作成します。

生徒のワークシート(抜粋)

授業レポートは後編に続く

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