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N中等部の授業紹介「ウェルビーイングとは」(後編)〜ウェルビーイングマップを作ろう〜

こんにちは、N中等部「ネッ中note」です。
前編に続き、「ウェルビーイング」の授業についてご紹介します。

前編では、ウェルビーイングとは何か、をご紹介しました。この授業では、「自身の良い状態(ウェルビーイング)に、意図的に気づき、育てていく方法」を学びます。授業の最終回では、生徒が自分なりのウェルビーイングマップを作成し、「自分がどんな時に良い状態か」を認識し、言語化できるようになることを目指します。

後編では、授業で使用したワークシートをご紹介しながら、読者の皆様に“生徒”として授業を追体験していただきます。

ぜひ、読者の皆様も、ご自身でワークシートを埋めながら、自分なりのウェルビーイングマップの作成を目指してみてください。

プログラム監修:松隈信一郎(医学博士/公認心理師/ポジティブサイコロジー専門家)

■この記事は以下のような方にオススメです■
・「ウェルビーイングを体感する教育」に興味がある方
・ポジティブな気持ちの育て方を知りたい方


Step1.Positive emotions「ポジティブな感情」

ポジティブな感情には「活発なイメージ」と「静かなイメージ」の2つの種類があります。「興奮」や「愉快」など活発なイメージを持つ方が多いかもしれませんが、「落ち着く」「安心感」といった静かなイメージも同じくポジティブな感情です。

ポジティブな感情を持つことで、行動や思考の幅を広げたり、心身の健康に繋がります。ポジティブな感情を自分の日常の中で見つけていきましょう。


ワークシート
記載例

【ワーク】
1.「最近あったよかった出来事」を書き込んでください。天気がよかった、夕食が好きなものだった、といった些細なことでも構いません。
2.その感情に近い画像を貼ります。(実際の写真でも、WEB上にあるフリー素材等でも構いません)
3.ポジティブ感情になった理由を書きます。


Step2.Engagement「没頭(時間も忘れて夢中になる)」

時間的な感覚がなくなるほどある活動に夢中になっている状態を「フロー状態」や「ゾーン」とも言います。何かに没頭している状態は、パフォーマンスや充実感が高い、と言われています。

没頭状態は、課題のレベル(難易度)と自分のスキルレベルがあっている時に起こります。
どちらかが不足していると、不安、退屈、無気力な状態となります。


ワークシート
ヒント
記載例

【ワーク】
1.子どもの頃から今までを振り返ってみて、自分が没頭した体験をできる限り書き出してみましょう。
話しかけられても気づかないくらい集中したことや、気づけば時間が経っていたときにどんなことをしていましたか?
2.「特に自分が頑張った出来事」を1つ選び、ワークシートの左上に書きます。(記載例では「ゲーム」)
3.そのときの気持ち・課題レベル・スキルレベルを記入して、没頭状態を分析します。


Step3.Relationship「良好な人間関係」

良好な人間関係は、楽しみを共有できるといった良い状態を育てることにつながるとともに、困難な状況を支えてもらうといったネガティブ感情の対処にも繋がります。


ワークシート
記載例

【ワーク】
1.「もっと良い関係性になりたい」と思う身近な人を1人選んでください
2.その人との現在の関係性は10点満点で何点ですか?
3.点数の理由は?
4.+1~2点したときに、どんな関係になっていますか?
5.+1~2点するためにできそうなことは何ですか?


Step4.Meaning「自分の行動や経験に対して、意味を感じている状態」

意味を感じるポイントは3つあります。
「意義」「目的」「一貫性」
そして、このような自分なりの意味を見つけることは、持続的なウェルビーイングに繋がります。


ワークシート1
ワークシート2
記載例

【ワーク】
1.「ワークシート1」の質問の答えを埋めましょう
書きにくいものは飛ばしても構いません。
2.「ワークシート1」の意義/目的/一貫性から1つずつ、自分にとって特に大事だと思うものを選び、「ワークシート2」の上部に転記しましょう。
3.「ワークシート2」の下部に「大事だと思う理由」を書きましょう


Step5.Accomplishment「達成感(目標を達成した時の喜び)」

達成感は、嬉しさや誇りなどのポジティブ感情が起こり、自信に繋がります。自分の達成感の傾向を知ることで達成感を得やすくする土台を作っていきます。


【ワーク】(付箋などをご用意ください)
1.何かを達成して思わず笑顔になった出来事は?(あれば複数)
2.ここ1ヶ月で何かを達成し地味に嬉しかった出来事は?(あれば複数)
3.長い時間をかけて何かを達成した出来事は?(あれば複数)
4.1〜3の中で、特に達成感を感じた出来事を1つ選び、身近な人(家族など)に紹介しましょう。

聞き手の方には、“ヒーローインタビュアー”になりきってもらい、そのときの気持ちやうまくいった理由などを、質問で掘り下げてもらいましょう。


Step6.良い状態の整理「ウェルビーイングマップ」

最後のステップとして、自分の良い状態と良い状態を増やすためのアクションを記したウェルビーイングマップを作っていきます。

質問カード
ワークシート
完成例

【ワーク】(ワークシートの代わりに付箋などで行うのもおすすめです)
1.「ワークシート1」の中から、答えやすい質問カードに記入しましょう。
2.各項目からカードを1つずつ選んで、「ワークシート2」に貼り付けましょう。
選び方は、特に良い状態のものや、直感で選んでも構いません。

ワークは以上です。お疲れ様でした。


終わりに

今回は「ウェルビーイング」全7回の授業を駆け足でご紹介してきました。
ワーク全体を通して、「自分がどんな時に良い状態か」を認識することができたでしょうか?
自分の良い状態に意図的に気づくことが、ウェルビーイングを育てる第一歩となります。

全てのシートが埋まらなくても、いずれかの問いが、「良い状態」への気づきのきっかけになれば幸いです。

実際の授業では、生徒は作成したワークシートをSlack上でシェアし、お互いの違いから発想のヒントを得て、新たな気づきにつながることもあります。
ちなみに、実際に生徒が作成したウェルビーイングマップはこちらです。

読者の皆様も、可能であればご家族やご友人などと一緒に、お話をしながら取り組んでくださると、より良い発見につながるかもしれません。

この記事が読者の皆様のウェルビーイングに繋がることを願っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。

※この記事の引用は可能です。
引用される際は、

学校法人角川ドワンゴ学園 N中等部の「ネッ中」note
https://note.com/njr_netchunote

の記載をお願いします。
教育機関の皆様や、一般企業等の研修等のご参考になれば幸いです。


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