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ART memo. 2022vol,10

田中 信行
『肉の刃』
豊田市美術館

今回は豊田市美術館に行って参りました。
現在開催されている
『サンセット/サンライズ』
章立ては、
第1章「マジックアワー」
第2章「眠り/目覚め」
第3章「死/生」
第4章「見えない/見える」
第5章「黒/白」
第6章「終わり/始まり」
の6章。

美術館Collectionの
第5章『黒/白』(Black/White)
に展示されていた作品の一つです。

                                                                                                                                                 Photo:NiW第5章『黒/白』(Black/White)

私好みの章になっていて
ほぼ正方形の空間でしたが
この空間心地が良い💗
ワクワクしました💗
気がつけば行ったり来たりしながら作品を観ていきました✨
注意:他の来場者様の邪魔にならない様に注意しましょう。

※『サンセット/サンライズ』展示コンセプトは
前回のblogに掲載しておりますので気になる方はご覧ください。

第5章『黒/白』(Black/White)
最初にこちらの作品。

                                                                                                                                                 Photo:NiW

このフォルム解りますか?
横に行きましょう。

                                                                                                                                                 Photo:NiW
Tanaka Nobuyuki (1959-)
A Flesh Edge [1994年]
Lacqer,hemp,cloth,styrofoam
87.5×19.0×10.0cm

サメだっ!!!
題名は『肉の刃』
壁に埋まっているサメが伺えます✨
白い壁に黒々と光るサメ。
フォルム・シルエット・曲線・色・シンプルさ
単純にCool✨
素材が気になりすぎます👀
より近くから見ても
軽率ながら
プロダクトなどで使用される様な
最新ハイテク素材なのかと思ったら
『発泡スチロール』
『麻布』
『乾漆』
驚きと共に
前触れも無く日本人であることに誇りを持った瞬間でした。

                                                                                                                                                 Photo:NiW田中 信行(1959-)
肉の刃 [1994年]
乾漆、麻布、発泡スチロール
87.5×19.0×10.0cm

※乾漆(かんしつ)は※漆(うるし)と、どう違うんだろう?

※乾漆【かんしつ】:仏製作の技法脱活乾漆木心乾漆の2種がある。前者は土で大体の像形を造り,その上に麻布を幾重にも張り重ねて,乾燥した後に中の土を抜き取り,補強の木わくを組み入れる。細部の造型には木屑漆(こくそうるし)を用い,手指など細い部分には針金を心に入れる。西域・中国で行われ,日本に伝わって奈良時代に盛んに行われた。興福寺八部衆十大弟子像,東大寺不空羂索(ふくうけんさく)観音像,唐招提寺鑑真和上像などが代表例。後者は像の大体の形を木で造り,これに木屑漆を盛り上げて造る。奈良時代に脱活乾漆よりは遅れて用いられるようになった。聖林寺十一面観音像はこの技法によるもの。
① 長期間たくわえておいて、乾き固まった漆(うるし)。漢方薬として、駆虫剤などに用いる。また、印章の材ともする。
② 上代(奈良時代)の彫像の作り方の一つ。土または木の原型に砥粉(とのこ)や木屑(こくそ)入りの漆を厚く塗り、その上に麻布をはり、それを交互に繰り返して作りあげるもの。
脱(だつ)乾漆と木心(もくしん)乾漆の二種がある。乾漆造り。夾紵(きょうちょ)。𡑮(そく)。


※【ウルシ(漆)】:そのまま塗ったのでは光沢が悪く,乾きも早すぎるので,脱塵,脱水,均質化などの精製処理を行ってから,添加物を加えて使う。生漆を干して固めたものを乾漆(かんしつ)という。 日本における漆の生産量は,1877年の約800tから1930年約30t,1995年3tと激減した。
【漆工芸】より:素地(きじ)となる材料には,木,布(乾漆),皮(漆皮),竹(籃胎(らんたい)漆器),紙(一閑張),金属,陶器,プラスチックなどがある。木には板物(指物)としてヒノキ,ケヤキ,アテ(輪島塗),アスナロ(春慶塗),ホオ(会津塗),カツラ(鎌倉彫)などがあり,挽物用としてケヤキ,トチ,ブナなど,曲物用としてヒノキ,カツラなどが用いられる。
コトバンク”乾漆”より
                                          Photo:Tao                                                                                                                                              
※画像クリックすると今回の©︎NiWblog動画に飛びます。 

過去に仕事で漆を塗る機会があったのですが
綺麗に塗れないし、被れるし
ただ『塗る』だけ
が出来ない!!!
それをこんなに素材を重ねては、
繰り返し繰り返し塗る事で
軽率とはいえハイテク素材と間違えるほどの
表現が出来る事に感動しました✨
日本人すごい!!
その素材が発泡スチロール+麻布+漆と知るや否や
一気に馴染みと深みを感じて凛とした佇まいに見えてきました。

何故ハイテク素材と勘違いしたのか?
少し引いてみることでそのフォルムにあるのだと理解しました。
漆+曲線=器 
のイメージですがこちらの作品は
車などの曲線に写ったからです。
無駄を削ぎ落としたそのシルエットが
現代的だと感じました✨

今回実際見た作品は田中信行氏の作品の中では
割と小さいものの様で
調べていくとかなり大きな作品が多く
圧倒される事が予測されます👀✨
漆/伝統工芸+現代アート
2011年に豊田市美術館で田中信行氏の『漆の力』展が
行われていた様でとても悔しい。
行きたかった!


彫刻家紹介

✣ 田中 信行✣
Tanaka Nobuyuki

田中 信行
※クリックでHPに飛びます✨
田中 信行(Tanaka Nobuyuki)1959年:東京生まれ 
東京藝術大学大学院美術研究科修了
2003年 第14回タカシマヤ文化基金タカシマヤ美術賞受賞
2012年 第18回MOA岡田茂吉賞大賞受賞

アジア固有の素材である漆を一貫して表現材料として用いている。
漆の物質感から喚起される皮膜性、皮膚感、触覚性と自己の身体性を通して、生命の根源や生成に関わる原初的な記憶をテーマとして制作している。
芸術祭開催の地である奥能登は漆の産地が身近にあり、漆が塗られた縄文時代の出土品も数多く発見されるなど、長い時間にわたって漆文化が引き継がれている地域である。このような地において、漆を用いて人間の無意識の領域にふみこむような原初性を喚起する場を制作することを試みる。

【主な展覧会】
2005年 「アルス・ノ-ヴァ-現代美術と工芸のはざまに」 東京現代美術館
2007年 「六本木クロッシング2007 未来への脈動」 森美術館/東京
2009年 「漆が喚起するもの」 入善町 下山芸術の森 発電所美術館/富山
2013年 「黒田辰秋・田中信行―漆という力―」豊田市美術館/愛知
2015年 「シンプルなかたち」 森美術館/東京
東京国立近代美術館、金沢21世紀美術館、豊田市美術館、メトロポリタン美術館、フィラデルフィア美術館、ビクトリア&アルバート美術館他、国内外の多数の美術館に作品がコレクションされている。 
ズズ 奥能登国際芸術祭より引用

作品紹介

✣ 触生—原初—✣
石川

触生—原初—

奥能登は、長い時間にわたって漆文化が引き継がれる地域である。珠洲に隣接する輪島は、漆の産地として名高い。一貫して漆と向き合ってきた作家は、漆の物質感から喚起される皮膜性、皮膚感、触覚性を通して、生命の根源や生成に関わる原初的な記憶、無意識の領域に訴える作品を構想する。

NOBUYUKI TANAKA

下記6作品は豊田市美術館蔵です。

1

✣ 流れる水・触れる水3✣
豊田市美術館蔵

流れる水、触れる水 3 [2012年]
乾漆/漆、麻布、発砲スチロール
19.0×247.0×66.0cm

2

✣ THE FLOW✣
豊田市美術館蔵

THE FLOW [2007年]
乾漆/漆、麻布、発砲スチロール
375.0×56.0×50.0cm

3

✣ 触生の記憶✣
豊田市美術館蔵

『The Tactile Memory』(2004年)
乾漆/漆、麻布
110.0×86.0×23.0cm

4

✣ Orga✣
豊田市美術館蔵

Orga [1999年]
乾漆
89.5×72.5×34.5cm

5

✣ 原形1✣
豊田市美術館蔵

原形1 [1994年]
漆、サイザル麻、エキポシ樹脂、発砲スチロール
153.0×112.0×15.0cm

6

✣マスク ✣
豊田市美術館蔵

マスク [1992年]
乾漆/漆、麻紐、麻布
99.5×40.0×16.0cm



✣ lnner side-Outer side✣
金沢21世紀美術館蔵

『lnner side-Outer side』(2005年)

✣Imaginary Skin ✣
上野の森美術館ギャラリー(2016年)

『Imaginary Skin』展示風景
『Imaginary Skin』展示風景
『Imaginary Skin』展示風景

HP紹介

A Lighthouse called Kanata

A Lighthouse called Kanata > NobuyukiTanaka
※クリックでHPに飛びます✨

↑添付HP先で下にスクロールしていくと
田中 信行氏に関する情報が拝見できます。

Artists > 漆/Lacquer > NobuyukiTanaka
※クリックでHPに飛びます✨
Artists > 漆/Lacquer > NobuyukiTanaka
※クリックでHPに飛びます✨


Gallery NOW

GALLERY NOW
※クリックでHPに飛びます✨


YouTube


田中造形が持つスケール感・真実・思想はプラトン的理想
とも言われるその世界観をより知りたいのは勿論、
今回より大きな作品を体感したい♪

最後までご観覧ありがとうございました。
お付き合い感謝いたします✨
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