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につき
2023年2月7日 00:03
あなたの美しい声は降りしきる雪のような言葉はもう耳にすることが出来ないあなたのやさしいゆびさきのほっそりとした文字はもう二度と描かれることはないあなたのひそやかな明るい朗らかな足音はもう二度と聞かれることはない全てはこの時に終わってしまおうとしているこのことに耐えきれず抗いの禁呪としてわたしはあなたを氷の中へ繋ぎとめるやがて燃え上がる陽の朝焼けにこの冬が溶けてしま
2023年1月3日 18:35
言葉を発する奥にある何かそれは我らの意思決定より速やかに決断した何か後付けの欺瞞に世が満ちるのは誰もが真実の言葉を持ちえるが故歪み続ける像が陰謀論を引き寄せる爬虫類よりも愚かな説話を頑是ない言葉がある抗うことの出来ない機構によって言葉は既に生まれている仮想である我らは果たして自然言語で書かれているかそれとも意味を呑むことは感覚器で為され言葉としてそれを
2022年12月20日 23:30
今世紀の中葉に遂に我らは遥か太陽を朋にする星々の秘密がほんの少し明かされた守られたこの星の世が特別な一つであることがその徴としてあった空想はもはや現実に追いつかなくなっている高度に発達した化学と科学が自然言語を超えて不思議と神秘について次々に新しく語り続けている未来という現実は眠るものを食い散らすことでなく遍く溢れる熱量を享受することの先にあった激変する
2022年11月18日 22:57
優しい神様はいない傍にいるのはいつも優しい悪魔だけいいえ何処かで護られている何時も知らないうちに危うさから逃れていつも悪魔から少しずつ遠ざけている堕ちてしまわないように見えないように護ってくれることに甘えずに道を進みなさい人は人と釣り合ってしまうから少しの悪が次第に深まるそれゆえに他のために優しくあれば魂は魂と等しく惹かれ合うのだから
2022年11月2日 00:13
そうだったあの月のやけに明るい晩のこと母は只事ではない様子で裸足でわたしを外へ引き摺って行こうとしたわたしが必死で逃げるとそのまま母は走り出て行って鬼のような姿になり去ってしまった最後に何か言ったが覚えていないあれは、冬のとても寒い夜のことだったと思います。眩しいほどに月が輝いていたのです。かつて、様々なことがありました。結局最期の時にやっと、解放されたのです。逃れたかったの
2022年9月24日 10:49
巨大な装置が答えの出ない演算を続けている人類がほぼ滅び文明が崩壊する最後のときに希望または絶望という展開または断絶という答えを等価に演算し続けていた少年が一人その熱で暖をとっている棲みかにしている父も母も帰らないままにそれでも待ち続けている希望の言葉と絶望の言葉を繰り返しながらそれでも夜明けは美しく星空は煌めいた装置の熱で食べ物が生まれていたそこに最後に希望
2022年9月13日 22:56
わたしのはは は さっていった ゆきをんなだそうです ちち は ずっとしずかにうつむいているひとでしたそれは、あの大雪の年にわたしが知った母の本当と、どうやらいとこであるらしい白すぎる手をしたすきとおるような声のひとりの少女との出会いからでした。「ゆきをんなのいのちは、ひとのあたたかさにとけてしまうから」「ほんとうは、いつかくるそのひをしっていたから」ゆきをんなは、わたしをつれ
2022年9月2日 00:10
<<人魚>> ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 1900年
2022年8月31日 20:03
そうして神すら擬人化されてしまう夏の気配に崇拝はあまりに己たちの美しさに酔ってしまった修飾することが貴富であると金の額縁の内へ閉じ込め堕としてしまった中世の宗教画にとっては神こそが虚像堕天は人の手によって成された暗闇がサタンとその朋友を信奉するそのものたちは肉体の苦痛の信奉者である虜囚である我らの映し鏡は蘇る死者恐れよりも憧れである死の超越者である知性理を超えて生を奪うもの
2022年6月12日 23:59
おとぎ話の漁師の網はアザラシの化けた人魚を捉えた人魚は歌うアザラシの歌を美しい人魚のため漁師は少し盗みをした漁師は娘におとぎ話を聞かせる秘密をそっと誇らしげに人魚は歌う許されぬ恋の歌を海岸を魚のように泳ぎながら足の動かない娘は足のある人魚におぶさって毛皮の秘密を尋ねた白い灯台に北の太陽が映え緑の深い海際の山を背に黒いドレスの人魚が歌う惑いの誘いは靡く長