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発達障害の「障害」ってナンだ (1)

コロナのストレスやら、あれやこれやがどんどん積み重なって、息子に吃驚するくらいのチック症状が出るようになったのが2ヶ月余前。

その

吃驚するくらいのチック症状

というのも、経験したことのない方には想像が付かないかと思いますが、ウチの息子の場合は当初


・ 驚くくらい大きな声が、自分の意思とは全く関係なく出てしまう

・ そしてその声の頻度が異様に高い(ひどい時は1秒に2回くらい)

・ 自分の意思とは関係なく身体が動いてしまう

・ そしてその動きはかなりダイナミック

(しゃがんでいる状態から飛び跳ねる、床をバンバン叩き続けるなど)


という症状で、キモは

「自分の意思とは関係なく」

というところ。まあ言うなれば、しゃっくりのようなものです。それも、ものすごく激しいしゃっくり。

で、

当初は声だけで、(当初は当初は、と書いているのは時間の経過とともにどんどん変化していったからなのですが)塾の勉強をしたり、授業に参加したり、要するに、塾に関連することをすると声が出ていました。

しばらくすると、塾のことを考えたりするだけで、大音声の、それも頻度の異様に高い「フン!フン!」と言うようになり・・・

その後は、学校のオンライン授業に参加しようとすると、同様の症状を呈するようになり、息子は学校に行くこと(オンラインでも登校でも)を、止めてしまいました。

私達夫婦は当初、ただただ驚き、困惑しました。軽度のチックというものは知っていましたが、これほどのものは、見たことも、聞いたこともなかったからです。

調べてみると、まず出てくるのが「トゥレット症候群」というものでした。詳しくここには書きませんが、私の読み取った「トゥレット症候群」とは、

ひどくなると、社会生活を送ることが出来ない状態になる。そしてそれがいつ明けるかも分からない。周りからの理解も得にくい。

というものでした。

そのことを読み取った時、私は本当に慌てました。これだけ朗らかで良い面を沢山持った息子が、自分の生きたいように生きることが出来なくなるなんて・・・

何か問題が起こった時、最初にものすごい勢いで、

ワーッ

と慌てて動き回ろうとするのが私の悪い癖なのですが、その時も、

これは、ストレスが原因なのだから、もう都会暮らしは止めてどこかに移住するしかないのでは

と、考え、本格的に移住の計画を立て力技でなんとか・・・しようとしているうちに、ふと気が付きました。

コレは、私が数年前乳がんの宣告を受けた「当初」、他の方の書いたものを見て、そのあまりの壮絶さに、もう私は死んでしまうのかもしれない、でもまだ死ぬ訳にはいかない、小学生の息子を残して・・・と、瞬間風速的にものすごく落ち込んだ状況に酷似している!!(私の病については、もうとっくに手放してしまいましたのでどうかご心配なく)

会ったこともない、それも自分とは違う状況(私はごくごく初期の乳がんでした)の方の書いたものを読んで、私は自分を悪い方へ追い込んで行ったのです(たったひと晩しか続かなかったけれど)。しかも、良くなるか、大したこともなく病を手放された方は、何かを書いて残すことはないので、ネットで目に触れるものは「辛かった体験記」「私はこんなにしんどいです話」ばかりなのでした。

その類似に気が付いたので、私は、しばらく腹を括って、息子の様子をただ静かに見守って(=観察)みることにしました。

症状が出始めて1週間目は、頻度が高く、大声が出るだけでした。また、声が出るのも、塾と学校が関連する場合に限られていました。ちなみに、この状態になる前は、塾ではイケイケドンドン、クラスメートにも恵まれ塾が大好き。言わなくても勝手に勉強はするし結果もバッチリ出してくる。学校でも「ホントのところ、友達と話は全然合わないんだけどねー」などと言いながら、どんなことにでも前のめりで取り組み、とにかく楽しく学校生活を送っていたようです(歴代の先生の話によると)。

息子が家に居るようになって、2週間目に入りました。そこで私は

旅に出てみたらどうだろう

と、ふと思いました。状況が変わらないのであれば、同じ場所に閉じこもって、しんどい状況にずっと目を向け続けていることが何になるだろう?そう思ったのです。

そもそもの話に戻ります。我が家では、夫がハイリスクということもあり、本当に厳しい「自粛生活」を長いこと送ってきました。しかも、8月の感染状況を見て、夏休み後は、塾も学校も、通学は止めてオンライン参加にすることに決めていたところにダメ押しが。

息子がチックの症状を呈するようになる直前の土曜日のことです。夫が突然「体調が悪い。これは念のため、家の中で自分だけ隔離した方がよいかもしれない」と言い出したのです。

結果として、月曜日にPCR検査を受けて夫は陰性でした。けれど、息子にとって、これは相当なストレスだったと思います。長くていつ終わるとも知れない頭を押さえつけられるような生活、そして、ひょっとすると、ハイリスクの父親がコロナに感染してしまったかもしれない・・・パパはどうなってしまうのだろう・・・

今回のチックの原因の全てではないと思いますが、こういったことがトリガーになったのだろう。息子には本当に気の毒なことをしてしまった。

あと、もうひとつ気が付いたのは、子供のエネルギーを甘く見ていた、ということです。

ウチの息子は、幼い頃からわさわさと動き回ってしまうタイプではなく、「傍から見れば」(この傍から見れば、というのがポイントなのですが)、「育てやすい子供」でした。ですので、コロナで自粛していても、家の中でぎゃあぎゃあ騒ぐことなど勿論なく、勝手に本を読んでいたり、何かを作っていたり、勉強をしていたり、植物を育ててみたり、メダカを眺めていたり、だったのですがそりゃそうだろう。子供だもの。エネルギーが有り余って仕方がないよなあ。

ということで、極度な自粛から打って変わって、私達は旅に出たのです。

(つづく)