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【第8回】上手くいく分院と失敗する分院の差。スムーズにいく医療法人定款変更認可申請とそうでない申請の差。

最近分院展開をするクリニックが増えてきています。
特に美容系クリニックと歯科医院は分院展開をするところが多いようですが、多くの分院を展開するグループがある一方で、最初の分院で失敗するクリニックが多いように感じられます。
どちらかというと最初の分院で失敗して分院展開を諦めるクリニックの方が多いのではないでしょうか?

最初の分院で失敗する理由ですが、もっとも多いと思われるのは段取りの悪さです。
定款変更認可申請がスムーズに行かなかったり、直前になって保健所から図面の変更を指導されたりと、とにかく分院開設までに長期間を要するケースが多く見受けられます。

医療法人で分院を出す場合には事前に都道府県に定款変更認可申請をしなければなりませんが、定款変更認可申請には分院開設予定地の賃貸借契約書の写しを添付しなければならず、どうしても分院を開設する数ヶ月前から家賃を支払う必要があります。
定款変更認可をもらうまで1年以上かかってしまい、その間ずっと無駄な家賃を支払い続けていたケースもありました。

また、分院開設までに予想以上に時間がかかってしまうと管理者として就任を予定していたドクターが辞めてしまうケースもあり、最悪の場合は定款変更認可申請をやり直さなくてはなりません。
なかには時間がかかりすぎて分院開設をする意欲を失ってしまい、定款変更だけして、分院開設を辞めてしまった医療法人すらあります。
これはこれで大問題です。今度は分院廃止の定款変更認可申請が必要ですが、都道府県はせっかく認可した医療機関を開設しなかったのですから、始末書の提出を求めてくるそうです。

医療法人定款変更認可申請がスムーズに行かなかった理由については後ほど詳しく解説いたします。

医療法人で分院を開設すると時間がかかるし面倒臭いという理由からか、分院を雇われ院長の個人名義で開設するケースも多いようです。
いわゆる名義貸しです。
保健所、地方厚生局、税務署などへの開設届は全て雇われ院長の個人名義で提出します。
個人開設のクリニックであれば定款変更認可や診療所開設許可を受ける必要がないので、確かに短期間で開設できますが、名義貸しをしたことにより分院を乗っ取られてしまったケースもあります。
名義貸しで起こりうる問題について後ほど詳しく解説いたします。

次に分院を開設した後に、期待したように患者が増えず、撤退するケースはかなりあるようですが、私に言わせると分院開設前から分院に失敗する可能性が高い兆候はちゃんとあります。
私は顧問先様から分院開設の相談を受けた時は、分院開設の手続きの前に、分院が上手くいくかどうかを検討し、失敗する可能性が高い場合には迷わず分院の開設に反対します。
しつこく反対することで理事長の機嫌を損ねることもありますが、最終的には反対してくれてよかったと感謝されることが多いです。

しかし、多くの行政書士や税理士は分院開設の相談を受けた時に、分院が上手くかどうかの検討はせずに、分院開設の手続きのみを説明しているようです。
ドクターへの遠慮かどうか知りませんが「先生なら分院は上手くいきますよ!」等と言うだけで、分院が上手くいくかどうかの判断をすべてドクターに押しつけるのは、如何なものかと思います。
分院の開設にはかなりの金額の投資が必要となるので、開設するからには上手くいかなくてはなりません。
ドクターが分院を開設したいと思っていても、失敗する可能性が高いときは反対する、少なくとも失敗するリスクがあることを説明するのが、プロのコンサルタントの在り方ではないでしょうか?
逆にいうと分院開設の相談をした時に、上手くいく分院と失敗する分院の差をちゃんと説明できない者には依頼しない方がいいと思います。

上手くいく分院と失敗する分院の差については後ほど詳しく解説いたします。


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