西田藍

91年生。アイドルとしてデビューし、今は文筆業メインで活動しています。SFマガジンで連…

西田藍

91年生。アイドルとしてデビューし、今は文筆業メインで活動しています。SFマガジンで連載中です。 10/19(土)に渋谷ロフト9にて、私の誕生日イベントを行います。 配信もあります→https://www.loft-prj.co.jp/schedule/loft9/291606

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西田藍のプロフィール@お仕事募集中

はじめまして、西田藍です。 2012年にアイドルとしてデビューし、現在、文筆家として活動しています。 プロフィール現在の連載SFマガジン誌上に、「西田藍のSF再入門 にゅうもん!」を連載しています。 SF作家・フィリップ・K・ディックが好きなアイドルとして、早川書房『SFマガジン』2014年10月号の「PKD特集」にてカバーガールを務め、その後、始まった連載は、2015年1月号から現在まで、おおよそ10年間、本誌に現在41回、cakes版にて全4回寄稿しています。 また、

    • 女子高生じゃない女の子

      もう女の子じゃないのに女の子だったときのことを考えてしまうのはインターネットでいまの若者は相対性理論をどうせ聴いているのだろうという悪口の文脈で放たれた言葉を見てあたしもその若者だったけどいまもそうなのかなと素直に驚いたからだった。 住んでたのはパパの家で、一応街なかだし、あたしのかわいい部屋もある。中学生の時から働いて貯めたお金で買ったダークブラウンで統一された家具とピンクのカーテンとピンクのベッドリネンは自慢だよ。17歳のあたしは、でも女子高生じゃない。 人生詰んでる

      • 高等学校卒業程度認定試験のすすめ

        とにかく手っ取り早く高卒資格を得るには高卒認定試験が1番! しかし、良くも悪くも手っ取り早い上に、どんな人にも「試験のみ」の選択肢がおすすめというわけではありません。 というのも、10代後半の未成年の間に、学校に所属し教育を受ける、ということは非常に貴重な時間かつ、後から得られないものだからです。 また、満16歳以上なら何度でも受けられる上に、高校に所属しながら受けられるのが高卒認定試験のいいところ。 また、高校で単位をとっていたら、あとは足りない単位だけ受ければいい、という

        • おいしい♡たべもの

          私のnoteは全体的に暗い。そこで、Xのスペースにてテーマを募集してみた。 ハッピーなテーマとして好きな食べ物の話をすることにする。 この時期、なによりも好きなのは、フレッシュな無花果。 そのまま食べてももちろん最高なのだが、サラダにするのもいい。 モッツァレラチーズと、無花果を合わせたサラダが大好物だ。 生ハムを加えてもいい。 また、無花果とクリームチーズとはちみつを、トーストに乗せてもいい。仕上げに黒胡椒を振る。 粒の大きさを変えられるミルを愛用してるので、気分によって

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        西田藍のプロフィール@お仕事募集中

          第3回 アイザック・アシモフ『われはロボット』

          自己紹介  私、西田藍は、SF作家・フィリップ・K・ディックが好きなアイドルとして、早川書房『SFマガジン』2014年10月号の「PKD特集」にてカバーガールを務めました。そして、2015年1月号から現在まで「西田藍のSF再入門 にゅうもん!」を連載しています。(最新号の2024年12月号ではバラード『ハイ・ライズ』を取り上げています!読んでね!)そしてcakes版にも、全4回寄稿しています。  「にゅうもん!」のコンセプトは、とにかく赤裸々に正直に「再入門」すること。ハー

          第3回 アイザック・アシモフ『われはロボット』

          第2回 ロバート・A・ハインライン『夏への扉』

          自己紹介  私、西田藍は、SF作家・フィリップ・K・ディックが好きなアイドルとして、早川書房『SFマガジン』2014年10月号の「PKD特集」にてカバーガールを務めました。そして、2015年1月号から現在まで「西田藍のSF再入門 にゅうもん!」を連載しています。(最新号の2024年12月号ではバラード『ハイ・ライズ』を取り上げています!読んでね!)そしてcakes版にも、全4回寄稿しています。  「にゅうもん!」のコンセプトは、とにかく赤裸々に正直に「再入門」すること。ハー

          第2回 ロバート・A・ハインライン『夏への扉』

          第1回 ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』

          自己紹介  私、西田藍は、SF作家・フィリップ・K・ディックが好きなアイドルとして、早川書房『SFマガジン』2014年10月号の「PKD特集」にてカバーガールを務めました。そして、2015年1月号から現在まで「西田藍のSF再入門 にゅうもん!」を連載しています。(最新号の2024年12月号ではバラード『ハイ・ライズ』を取り上げています!読んでね!)そしてcakes版にも、全4回寄稿しています。  「にゅうもん!」のコンセプトは、とにかく赤裸々に正直に「再入門」すること。ハー

          第1回 ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』

          ぐるぐる、廻る

          私の人生は、「生活保護世帯から東大で博士号を取るまで」という記事の、ちょうど反転しているように、勝手ながら思っている。 早熟な方だった私は、小さい頃から「頭が良い」と言われてきたので、「勉強の楽しさに目覚めた」という経験もない。成績がぐんと上がった、と周りが驚くこともない。むしろ、私は期待よりもずいぶんレベルの低い高校に進学したのだ。ただ、大人の期待から、当たり前に大学進学ができるであろうという漠然とした確信があったと言える。高校の教師ですら、その学力ならと、東京の有名大学

          ぐるぐる、廻る

          大学に行くのに必要なのは、偏差値ではなくお金と健康

          このnoteに記してきたが、私は高学力層ではない。 高学力層になれるかもしれないという夢は見てきたが、なれていない。 この「現実」を記すために、赤裸々に明かす。途中で勉強をしなくなったとはいえ、高校受験の偏差値は65程度であったし、入学した高校の偏差値は63(当時は60がボーダーだった)で、所詮「中の上」である。 勉強できる環境があったのは、高校受験期だけであり、それですら、行く高校を決められ、もう無意味だと勉強しなくなった、つまり、勉強という努力をしていない。そんな私が大学

          大学に行くのに必要なのは、偏差値ではなくお金と健康

          ノンノモデルになりたかった話

          20歳。ミスiDという変わり種のオーディションに合格し、初代ミスiDになったものの、私は焦っていた。ミスiDに関わる撮影などあっても、ギャランティはなく、きちんと仕事として存在するのは、たまにいただく文芸誌からの寄稿依頼だけだった。 当時、父のいる熊本に住んでいたので、東京在住者のようにフットワークは軽くない。 ミスiDになったはいいが、それからどうなるのだろうと不安だった。 そこで、中学生から愛読していたノンノというファッション雑誌のモデルオーディションに応募することにし

          ノンノモデルになりたかった話

          上海ハニーは自由の象徴

          小6の夏、私はとてつもない開放感を得ていた。 DVと虐待を繰り返す母親の再婚相手から、逃げ出したからだ。作戦を立て、別々に移動し、合流して、高速バスで長距離移動。 そうして、祖母の家で、いとこたちと自由に過ごす夏が始まった。母と弟は母子保護施設で生活することになったので、私一人の時間も多い。母親がいないのは寂しくもあったが、親の目がないという開放感もあった。 宙ぶらりんの夏休み。その宙ぶらりんさが未来を輝かしく見せていた。 とはいえ、充実しているとばかりは言えない。 だって

          上海ハニーは自由の象徴

          島本理生『ファースト・ラヴ』に記されたとある被害者の姿

          もう、何年前だろうか。書評依頼が来たのをきっかけに、島本理生『ファースト・ラヴ』を読んだ。本当に驚いた。驚きと戸惑いがあった。 そこに私がいたからだ。 その書評を加筆・修正しながら、またここでも紹介したい。 就活中の女子大生が父親を刺殺した。臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材にしたノンフィクションの執筆を依頼され、彼女や、彼女の周囲の人々と面会を重ねる―という帯のあらすじに目をやった上、カバーを読む。 そこには、こんなせりふが記されていた。「正直に言えば、私、噓つきなんで

          島本理生『ファースト・ラヴ』に記されたとある被害者の姿

          福音館古典童話シリーズ

          福音館古典童話シリーズをご存知だろうか。 小学校高学年からの児童向けの名作シリーズである。他の児童向けよりもしっかりした分量があり、読み応えも十分だ。 私は小学校低学年のときに、この福音館古典童話シリーズの『あしながおじさん』を持っていた。誰が買ってくれたのかもわからなかったが、とにかく本の装丁が渋いことが気に入り、また内容も楽しかった。私は孤児ではないが、家庭内に問題を抱えていたため、ジュディの自由な大学生活が本当に憧れだった。 だが、初めて読んだときは、幼なすぎて恋愛

          福音館古典童話シリーズ

          それは引っ越しではなく、

          私がよく見る夢がある。 どこかに軟禁されていて、逃げようと頑張る夢。外に出ても「彼ら」は追いかけてくるから、私はあらゆる手段を使って必死に逃げる。見ない日はない、は言いすぎだが、少なくとも見ない月はない。 実際に私は、2回、「逃げた」ことがある。 どこかに軟禁されていたわけではないけれど、子供には大人のような移動の自由はないので、似たようなものかもしれない。子供は、保護者の保護の元で生活する。それが当たり前のことだからだ。勝手に他所の家に行ってはいけない。 そういえば、学校

          それは引っ越しではなく、

          いちばん長く住んだ家

          私は、たぶん、たくさんの家に住んできたほうだ。 自分の家と呼べるものもあれば、そうでないものもある。住まわせてもらっていた、期間もある。私にとって、家、は不思議なもので、安定してそこにあるものではなかった。 産まれてから6歳まで住んでいた家が、人生で一番長い時間を過ごした家だ。といっても、その期間の半分ほどは、記憶のない年齢だが。 そこは、熊本市内の、開発中の住宅街だった。 古い区画にある、小さな古い一軒家。 猫の額ほどの庭には薔薇があって、私はそこでよくお姫様ごっこをした

          いちばん長く住んだ家

          私は”それ”を知っている

          ノーベル賞受賞者アリス・マンローの娘が、家族の虐待の秘密を明かした。 こちらはそれを報道したものだが、彼女自身の告白全文も別サイトにある。しかし、私は全て読む勇気がなかった。できなかった。凍りついてしまった。読める人は、ぜひ読んでほしいと思う。 端的に言えば私が直接的”それ”を受けたのは、たぶん数ヶ月、記憶は曖昧だが、長期間ではないだろう。私は壊れそうになる度にあんなわずかな期間で終わった、逃げられた自分は幸運なのだと言い聞かせた。 (誰かの被害をジャッジすることに繋がる

          私は”それ”を知っている