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高2の文化祭で僕は人生を学んだ


毎日note更新10日目。

バイト、練習、ネタ作り、note

いざ全部やってみると最初に思ってたより大変だったがとりあえず何とかやっている。

僕は自分がしんどい時いつも思い出す事がある。

高校2年生の時の文化祭だ。

僕はあの文化祭で苦労した先に何が待っているのかを学んだ。

大げさかもしれないが人生を学んだと言ってもいい。

今日はそんな話を書いていこうと思う。


2001年の秋。


高校2年生の僕はクラスのみんなと文化祭の出し物について考えていた。

話し合いは難航していた。


高校2年生の出し物は結構難しい。

なぜなら劇は基本的に3年生がやる。

教室内の小規模な出し物は1年生。

2年生は言わばその間で一番微妙な立ち位置なのだ。

劇もやりずらいし教室内も違う。

みんな頭を悩ませていた。


僕は思い切って口を開いた。


「エレクトリカルパレードはどうやろ?」


エレクトリカルパレードとは東京ディズニーランドの名物パレードである。

誰が何をどうするのか、一切何も考えずにとりあえず言ってみた。

僕の本気ともウケ狙いともどっちにも取り辛い微妙な提案をみんなは「完全に無視」という分かりやすい形の却下をしてくれた。


次にお調子者のバスケ部が口を開いた。


「ジャッキーチェンはどうやろ?」


どこからともなく「はあ!?」という声が聞こえた。

エレクトリカルパレードに勝るとも劣らないジャッキーチェンという誰が何をどうするのか一切わからない提案は誰かをイラつかせた。


そこからまた重い空気が流れ出した。

次に口を開いたのは学級委員長だった。


「水牛はどうだろう?」


全員が心の中で一斉に思った。


「水牛???」


委員長は委員長のくせにトリッキーだった。

この水牛のせいでこの出し物会議は完全に煮詰まってしまった。

なんせ水牛の次に何を提案したらいいのか分からない。

僕もこの水牛を呼び込むきっかけになってしまったエレクトリカルパレードを反省していた。


しばらく沈黙が続いた後、クラスで一番目立たないメガネの女子が口を開いた。


「・・・・・・ドーム」

ん?何て?

「・・・・ンマンドーム」

え?聞こえへん、もう一回

「アンパンマンドーム」


全員の頭の中にピシッ!!と光が走った。

コナンでよく見かけるあの光景である。

「気付いたか服部。お前もか工藤」

こんな言葉がどこからともなく聞こえてきた。


「これだ、、、!!」

みんな確信した。


全員あまりにも煮詰まり過ぎていた為、アンパンマンドームがなぜか凄い名案に思えてしまったのである。

水牛筆頭に前の3つの案がひどすぎたのもアンパンマンドームをより輝かせてみせた。


僕たち2年1組の出し物は全員一致で「アンパンマンドーム」に決まった。


2週間後。


クラス全員がまた頭を悩ませていた。

みんなこう思っていた。


「アンパンマンドームって何??」


冷静になるとみんな気付いたのである。

アンパンマンドームめっちゃしょおもない、と。


「高2でアンパンマンて」

「てかドームて何や」

「え、これもう変えられへんの?」


申請を出してしまった1組はアンパンマンドームから逃げられなくなった。

そしてそれから文化祭までの2週間、僕達のアンパンマンドームと向き合う戦いが始まった。

まずアンパンマンドームとは何か、それを決める事にした。



大きなアンパンマンの顔を何かで作ってその中に入れるようにする。

以上。



そんだけ!?

と全員思ったがどうしようもないのである。

だってアンパンマンドームなのだから。

アンパンマンの顔の中に入る。

それ以上でもそれ以下でもないのである。


せめて顔の中は何かこだわろうとなった。

みんなで考えた。


全く名案が思い浮かばなかった。

僕達2年1組は発想力に欠ける凡人が集まったクラスだった。


すると委員長が口を開いた。


「中に風船をいっぱい入れるのはどうだろう?」


おいおい委員長、水牛のトリッキーさはどうした?

そう言いたいとこだったが他にいい案もない為、まさかの採用となった。


こうしてアンパンマンドームの全貌が明らかになった。


「ダンボールで大きなアンパンマンを作って中に風船を敷きつめる」



ひでえ。

高校の文化祭の出し物とは思えない。

40人で考えて何故こんな事になったのだろう。


しかし止まるわけにはいかない。

みんな頑張ってダンボールのアンパンマンを作った。


わりと一瞬で出来た。

まあダンボールで作るだけである。

40人いればそら早く出来る。


ダンボールで作った巨大なアンパンマンの顔

見た印象は一言

「ハリボテ」


僕達はもう一度思った。


ひでえ。


巨大なハリボテマンは中庭に設置した。

後は中に風船を詰めるだけ。

特に何の感慨もない僕達は無表情で風船を膨らませていった。

ダンボールの中に風船を詰め、何となく出来たー!て感じを出した。


僕は思った。

これ見に来た人ある意味驚くやろなあ、と。


文化祭当日、事件が起きた。

昨日の夜アンパンマンの中の風船が何者かに全て割られていたのである。


「唯一の売りを!!」


みんな憤った。

そして同時にみんなこうも思った。


「どうせならアンパンマンごと壊してくれたらよかったのに!」


こうして

「ただのデカい穴があいてるアンパンマン」

という僕達の謎の展示物が披露された。


見に来た人達が穴の中に入っていく。

そして首を傾げて出て行く。


滞在時間、平均10秒。


何も見る物がないのである。

そらそうなる。


来客者が全員「無を味わう」という不思議体験をする中

水牛委員長が空を見上げてこうつぶやいた。


「雨だ」


ポツリポツリ降り始めた雨はやがて本降りとなった。


そして僕達のアンパンマンはフニャフニャになった。


"水に濡れると力が出ない"

なぜかこんな所だけリアルだったアンパンマンドームはこうして最後を迎えたのである。



僕はこの時多くの事を学んだ。


「苦労した先には"あれ一体何やったやろう?"が待っている事がある」

「ダメな時は何やってもダメ」

「煮詰まった時に出るアイデアはろくなもんがない」

これはその後の人生にも活かされている。


僕は何かをやっていてしんどい時

この文化祭を思い出して、とりあえず休む事にしている。

流れ悪かったら頑張っても一緒や、と自分に言い聞かせながら。










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