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180円の悲劇


毎日更新269日目。

昨日の準決勝敗退から一夜明けて今日。

僕は朝6時に起きてバイトに入っている。

しかも今日は夜まで。

何じゃこのスケジュール。

無茶苦茶や。

まあ、シフト出したん自分なんやけども。

一応説明しておくと、先月のシフト提出時には1回戦の追加合格すらまだ分かっていなかったので、まさかこんなスケジュールになるとは思っていなかったのだ。

そして昨日や明日はバイトを休んでいるのだが、さすがに今日までは無理だったのだ。

もう覚悟を決めてやり抜くしかない。

何か昼前にしてすでにクタクタやけども。

ただまあ、物は考えようで、1人での駐車場はこっそりネタの練習が出来る。

家でダラダラするより、こっちの方がむしろいいかもしれない。

うん。

きっといいはず。

何せ、僕は今、敗者復活に向けて相当燃えているのだ。

昨日失ったものを明日取り返したいのだ。

実は昨日、楽屋入りする前にちょっとしたアクシデントがあったのである。

一体何が起こったのか?

僕は何を取り返そうとしているのか?

話は昨日の朝に遡る。


昨日。

僕は朝9時に起きて、ネタの最終調整をした。

細かい所まで色々と確認し、準備は完璧である。

ここまでしっかりとやったのはR-1以来かもしれない。

いつもこんぐらいやらなければいけないのだが、やっぱり今回は気合いの入り方が違うのだ。

練習を終え、昼ご飯を食べて、一息つく。

そしてもう一回ネタの確認をしてから、僕は少しだけ眠る事にした。

格闘家も試合前に仮眠したりしているし、大事な本番前にちょっとだけ寝るのは結構いいはずなのだ。

そして16時。

僕は目を覚ました。

すこぶる体調がいい。

やはり寝て正解である。

シャワーを浴びて、準備をする。

楽屋の入り時間は18時。

今から家を出れば、会場には30分以上前に着く。

早過ぎる気もするが、初めての会場なので余裕をもって着くに越した事はないのだ。

こうして僕は16時半に家を出た。

ここまで完璧である。

かつてないほど順調に進んでいる。

そう思いながら駅に到着した瞬間、、、


「ただ今、、、の影響により、、、見合わせて、、、」


何かアナウンスが聞こえる。

ていうか、もう大体分かる。

「見合わせ」って聞こえたし。

「影響」と「見合わせ」が同時に聞こえたら、もうそういう事やん。

そう思いながら駅のホームに上がると、電光掲示板にはしっかりとこの文字が映し出されていた。

「運転見合わせ」

僕は白目を剥いた。

何でこんな時に限って。

ここまでめちゃくちゃ順調やったのに。

人が数年ぶりに気合い入りまくった準決勝の当日にちょうど電車止まるて、どんな確率やねん。

ツイてないにも程があるやろ。


僕は心の中で嘆いたが、すぐに落ち着きを取り戻した。

こんな事もあろうかと早く家を出ているし、それに西武池袋線以外にも池袋への行き方はあるのだ。

小竹向原を経由して有楽町線に切り替わるルートで行けば普通に池袋に着く事が出来るのだ。

ちなみに会場はJR大塚駅。

池袋の1つ隣である。

何やかんや電車の進みが遅かったとしても、余裕で間に合う。

僕は有楽町線に切り替わるルートの「新木場行き」に乗ろうとした。

しかし、ある事を思い出し、ふと立ち止まった。

この有楽町線ルート「360円」かかるのである。

普段の西武池袋線ルートは「180円」

倍かかるのだ。

何を隠そう私にっしゃん、給料日を前にしてまたもや金欠に陥りかけているのだ。

恥ずかしい話だが、180円でも節約したいのである。

しかし、今日は大事な舞台の日。

そんな事も言ってられない。

そう思い直して新木場行きに乗ろうとした瞬間

あるアナウンスが聞こえた。

「再開は17時10分頃を予定しております」

現在の時刻は16時55分。

15分待てば西武池袋線が再開する。

普通の人なら迷わず新木場行きに乗るだろう。

しかし僕は激烈金欠太っちょ男である。

それに17時10分に再開すれば、余裕で間に合う。

そもそも元が早過ぎたので、むしろちょうどいい時間に着きそうだ。

ここはゆっくり席に座って待っておいて、180円で池袋に行き、いい時間に到着する。

それが良さそうだ。

そう思って僕は止まっている西武池袋線の電車に乗り込んだ。


それから15分後。

17時10分。

電車再開せず。


こうなるのだ。

再開予定時刻はあくまで予定であって、なかなかその通りにはいかないのだ。

再開予定時刻と告白してフラれた後の「いい友達でいて下さい」だけは信じちゃダメなのだ。

いい友達でって言ってるのに、その後めちゃくちゃ気まずい雰囲気出してくるのだ。

全然いい友達じゃないのだ。

あの人達の中のいい友達って何なのかね??


そんな事を思っていると車内に再度アナウンスが流れる。

再開予定時刻が変わり、17時30分になるという。

まずい。

かなりギリギリの時間である。

しかも本当にこの時刻に再開するかは分からない。

焦るにっしゃん。

すると僕の前に座っていた夫婦がケンカを始めた。

旦那「電車止まってるからパチンコ打ちに行けねえじゃねえか!早くパチンコ打ちたいんだよ!お前がゆっくり用意するからこんな事なってるんじゃねえか!」

嫁「知らないわよ!だから私は朝からパチンコ打ちに行こうって昨日言ったじゃない!それがあんたが夜まで軍資金が持たない可能性があるからって断ったんでしょ!」

世界一どうでもいいケンカ。

こんなクソみたいな言い合い、電車ですんなや。

てか、パチンコ打ちたいってケンカすな。

早くパチンコ打ちたいんだよ!やないねん。

こんなやり取りしてる時点でどうせ負けるわ。

大事な舞台の前に俺は一体何を聞かされてるんや。

あかん、不吉な予感しかせえへん。


たまらず僕は有楽町線ルートに変える事にした。

360円かかるが、そうも言ってられない。

こんな事なら最初からこっちに乗っておけば良かった。

そう思いながら、電車に乗り込んだ。


17時30分。

池袋に到着した。

これなら余裕は無いが、普通に間に合う。

そして駅に降りる直前、あるアナウンスが流れた。

「西武池袋線、〜線、〜線の乗り換え輸送のお客様は駅係員のいる改札をお通り下さい」

乗り換え輸送。

すっかり忘れていた。

このルートで行っても180円でいけるのだ。

わしゃさっきから一体何をしてたんや。

無駄に時間潰して、無駄にパチンコ喧嘩聞かされてしまった。

180円ケチろうとした結果がこれである。

僕はトホホと思いながら、急いで改札がある1階へと駆け上がった。

おそらく改札は乗り換え輸送のお客さん達で混み合う。

値段を切り替えたりするはずだからだ。

なので大急ぎで改札まで行って、1番乗りで駅員さんの元に行き、いち早く値段を切り替えてもらうのだ。

そう思い階段を駆け上がる120キロの巨体。

そしてゼエゼエ息を切らしながら改札へと到着した。

すると


駅員さんおらず。


改札間違えた。

絶対こっちの改札じゃなかった。

明らかに小さいもん。

絶対他にメインの改札あるわ。

わしゃさっきから一体何をしてるんや。


僕は迷った。

もう一度ホームに降りて、メインの改札の方に行こうとすると時間がかかる。

そんな時間はない。

そもそも初めて行く場所なので、大塚駅に降りてからも少しだけ余裕が欲しいのだ。

僕はええ〜い!と思ってICカードをタッチした。

360円がピッと引かれた。


大急ぎで山手線に向かっていると、先程僕が行けなかったメインの改札が見えてきた。

乗り換え輸送のお客さん達がどんどん出て行っている。

駅員さんが言っている。

「乗り換え輸送のお客様はICカードをタッチされない様お願いします!次のご利用の際にお声がけ下さい!」

僕は思った。

処理いらんかったんかい、、、

何のために1番乗り目指して階段駆け上がってゼエゼエ息切らして別の改札口出たんや。

ほんまにわしゃ一体何をしてるんや。

結果180円マイナスなってるし。

最悪や。

何パターンかある中で最悪の結末選んでもうた。

あかん、泣きそう。


こうして僕は半泣きでJR大塚駅に到着した。

そして会場に

180円失いパチンコ喧嘩を聞き足パンパンの状態で入り時刻ギリギリに到着した。


何でこんな事になったのか。

家を出た時はあんなに順調だったのに。

やはり分かれ目は180円をケチろうとした瞬間だろう。

180円をケチろうとして結局180円を失う。

何かこんな童話ありそう。

アリとキリギリスみたいな。

「太った男と180円」みたいな。

何じゃそのタイトル。


そしてその後はご存知の通り準決勝敗退である。

ただまあ、これはネタの出来自体はほぼ完璧だったので、全ては実力での敗退である。

なのでそこに今回の事は関係ない。

ただ、僕はリベンジに燃えている。

敗者復活を勝ち上がってそのまま優勝して、賞金50万円を貰って、180円を取り返すのだ。

プラス499820円にするのである。

このままマイナス180円で終わってたまるか。

何としてでも取り返してやる。

はい。

というわけで明日また頑張ります!

応援よろしくお願いします!!!


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