2018年J1第26節 川崎フロンターレ対北海道コンサドーレ札幌 プレビュー「困難にぶつかって分かることもある」

2018年J1第26節、川崎フロンターレの対戦相手はコンサドーレ札幌です。コンサドーレ札幌の特徴は、第16節に対戦したときのプレビューに書きましたので、こちらを参考にしてください。

最新のデータは、football-labのWebサイトから確認することができます。

「相手にどう対応するのか」より「何を、どう改善させようとしているのか」

僕は第25節のガンバ大阪戦のレビューで、こんなことを書きました。

・2017年と2018年の川崎フロンターレを比較して分かったこと
・小林と中村以外の選手たちの得点数が減っている
・2017年シーズンからの上積みが感じられない2018年
・どこか1点に絞って修正できるか、どこを修正するのか
・2018年シーズンは鬼木監督の力量が試されているシーズン

詳しい内容はレビューを読んでいただきたいのですが、僕がこの試合で注目しているのは「相手にどう対応するのか」より「何を、どう改善させようとしているのか」、そのヒントが知りたいと思っています。

2018年シーズン序盤、川崎フロンターレは以下のような問題をかかえていました。

1.DFからMFへのパスが遅い
2.ポジションが重なっている
3.相手の背後を狙わず、ボールを止まった状態で受けている

この問題については、第23節のサガン鳥栖戦を観る限り「解決した」と思っていました。ただ、前節のガンバ大阪戦では「1」の問題はあまり出ていなかったものの、「2」と「3」については、試合中にたびたび見られました。

ボールを受けたいがあまりに、本来の目的を見失っている

僕は「2」と「3」の問題は、「ボールを受けたい」という気持ちが強すぎて、「ボールを受ける本来の目的」を見失ってしまうことによって起こっていると感じています。

2018年シーズンのスターティングメンバーとして出場する選手は、「ボールを受けたい」という意欲が強いのはよいのですが、意欲が強すぎて、ボールに近づきすぎてしまうことがあります。

味方から自分が欲しいタイミングでパスが出てこないとき、ボールを欲しがって動き過ぎてしまったり、自分が担当しているエリアを外れてしまうことがあります。

あと、家長のように、「ただボールが欲しい(としか見えない)」という理由で、左サイドまで動いてボールを受けようとする選手もいます。「ボールを受けたい」という意欲がなければ、川崎フロンターレのサッカーは成り立たないのですが、ボールを受けたいという意欲が強すぎるのも困りものです。本来の目的である「ゴールを奪うためにどう動くのか」改めて伝え、実行してもらう必要があります。

選手を入れ替えるほど、時間が経過するほど、チームのレベルが下がってしまう

そして、もっと問題なのは、「ボールを受けたい」という気持ちを持っているスターティングメンバーと、途中出場するメンバーとの、プレーを通じた意思疎通、タイミングが、あっていないのです。

途中出場する選手は、齋藤学のように「ボールを受けて何かをする」タイプの選手が多いので、どうしても「出して、受ける」プレーを得意とするスターティングメンバーの選手と、連携して動くことができず、どうしてもチーム全体のプレーのレベルが下がってしまうのです。これは、途中出場する選手の問題もありますが、選手が入れ替わるほど、時間が経過するほど、チームのレベルが下がってしまうのは問題です。

鬼木監督は2018年シーズン当初から、チームとして同じレベルでプレーできる選手を増やすため、様々なメンバーを組み合わせて、試合を戦ってきました。ただ、結局2017年シーズン後半のスターティングメンバーから入れ替わったのは守田だけ。その守田もエドゥワルド・ネットの移籍に伴いポジションを獲得したように見えるところもあり、競争を促し、選手を入れ替え、前年を上回るチームを作るという狙いは、実現できていません。

困難にぶつかって分かることもある

この試合を入れて残り9試合。チームに求められているのは、「負けられない」という結果に関することより、選手が入れ替わり、チームがレベルアップしたことを示すことだと思います。

同じことをやっているということは、今の時代では「停滞している」ということと同じです。チームが成長するには、これまで取り組んできたことの中で、継続すること、変えることを見極め、多少失敗しながら、少しずつ取り組んでいくしかありません。

北海道コンサドーレ札幌も強いチームなので、簡単な試合にならないと思いますし、むしろ僕は簡単な試合にならないことを望んでいます。なぜなら、簡単な試合にならなければ、チームの真の実力が試される試合になるし、本当にチームのためにプレーできる選手が誰なのか、明らかになるからです。楽しみです。

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