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2021年2月、双葉町取材②/白山神社〜ふたば幼稚園

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 1年以上前のレポートを今更とも思うが、自分の中だけで抱えていても意味はないので、皆さんと共有したいと思います。写真の一部は「福島のいま」マガジンで公開しています。

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<続き>

白山神社。

 白山神社を横から。正面から社殿の全景を撮るにはスペースがない。

 4.53μSv/h。社殿の裏はこれよりもさらに上がり、5.0μSv/hを超える。この小さな山全体がひどく汚染されている。2021年10月時点で、ここは土が削られた上で、さらに一部履土されている。それでも線量は半分程度にしか下がっていない。

 白山神社から双葉町内を見渡す。更地ばかりが目立つ。最近はここを訪れるメディアも多いようだ。ここから撮影したと思われる画がよく出てくる。

 社殿の中は荒れ果てている。

 住民によるとここからさらに上に上がれるらしいが、あまりに険しいので僕は断念した。

 白山神社入り口の左には、更地が広がる。かつてはそこに家があった。その裏には谷のような場所がある。

 谷のようになった場所には、その前に建っていた家が戦時中に防空壕として使っていた穴がある。戦後は物置として使っていたという。

 防空壕のある場所はひどく汚染されていて、空間線量は5.0μSv/hを超える。ちなみにかつて家屋があった場所も、更地にしたにも関わらず0.8μSv/hだ。

 特急ひたちが高線量地帯を抜けていく。

 家屋が解体されフレコンバッグに詰め込まれ、基礎だけが残る。この基礎もいずれは中間貯蔵施設行きだ。

 ふたば幼稚園方面へ向かう。ここは手前の公園。雑草に覆われ、入ることは出来ない。

 ちなみにこの先は帰還困難区域だ。

 徐々に線量が上がる。これは「風評被害」ではない。

 双葉町立ふたば幼稚園正門。

 ふたば幼稚園入り口付近のモニタリングポスト。ここでも既に1.092μSv/h(震災前の26倍以上)を表示しているが、実際はこのエリアはもっと高い。印象としては常に2.0μSv/h以上あるイメージだ。

 正門は硬く閉ざされており、敷地内に入ることは出来ない。

 「元気な子」と書かれているが…なんとも皮肉だ。

 裏門(通用門)。ここに「預かり保育関係者」が来ることはもうない。

 敷地内をカメラと共に覗き込めば、フレコンバッグが多数。

 中の片付けを行ったのだろう。ここは間もなく解体される。おそらく2022年の今はここは更地になっている。「2021年夏の東京五輪までになかったことにしよう」ここもそういうことだ。

 ここはかつては幼稚園の駐車場だったか。

 この場所の空間線量は見ての通り。福島県内の避難指示解除基準3.8μSv/h(20mSv/y)さえ上回っている。

 ふたば幼稚園が建つこの小山(高台)は、非常に高濃度に汚染されている。おそらく山を削らなければ線量は下がらない。

 そこからもう少し北上すると、帰還困難区域のゲートが見えてきた。

 このゲートの先は2020年6月に行った場所へと繋がる。双葉町長塚の一部エリアが帰還困難区域となって寸断されている。人だけでなく土地も、分断されてしまった。

 周囲には警備員も誰もおらず、このガードレールを飛び越えて先に進んでみたい衝動に駆られるが、じっと我慢。

 2月ということもあり、枯れた草木でこの地域は覆われている。その先には家が数軒見える。あれは全て帰還困難区域であり、誰も住んでおらず、いずれは解体されるだろう。

 グーグルマップで地形を見る限り、ここは山間に水を引いてため池を作り、その周辺に水田があったと思われる。しかし今ではこの有様だ。原発事故は、かつての農家の努力や苦労といった歴史も何もかも奪った。これは「風評」などではない。

<続く>

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