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2021年2月、双葉町取材①/正福寺・まどか保育園

「有料」とありますが、基本的に全て無料で読めます。今後の取材、制作活動のために、カンパできる方はよろしくお願いします。

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 1年以上前のレポートを今更とも思うが、自分の中だけで抱えていても意味はないので、皆さんと共有したいと思います。写真の一部は「福島のいま」マガジンで公開しています。

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 2021年2月20日。いつものようにJR東日本管内、関東と仙台エリアまで普通列車乗り放題の切符を購入し、特急券を買って、朝イチの特急ひたちに乗って福島へ向かう。いわき9:18到着、下車し、余分な荷物をコインロッカーにしまう。この作業をしていると、9:22発の電車には間に合わないので、10:27発の電車を待つ。約1時間ほどいわき駅で待ちぼうけとなるが、実はこの時間に赤裸々な話が聞けることもあるので、何気にこの時間は馬鹿にできない。

「今度、避難者の賠償金が減らされるべ。そうすっとあいつらパチンコしに来なくなっから、今度から設定が甘くなるぞ。よかったよかった」

 歪な話。避難者差別は、福島県内で普通に存在する。

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 木戸駅から見える太陽光パネルと仮置場。今(2022年5月)は中間貯蔵施設に移動されたように記憶している。

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 富岡駅から海を見渡す。目の前に見える風化したフレコンバッグは、僕がここを初めて訪れた2018年5月からずっとある。ただの土嚢なのか。

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 大熊町。熊川のあたり?

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 双葉駅到着。このフレコンバッグはただの土嚢だが、放射性廃棄物が詰まっているように見えて見映えは非常に悪い。

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 この頃は伝承館行きのシャトルバスのターミナルを建築中だった。

 新幹線が止まるような巨大な駅だが、無人駅だし、男性用トイレは小と大が1つずつしかない。富岡〜浪江間で最も古く最も汚いトイレ。

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 双葉駅にはレンタサイクルが整備されたが、この頃はカゴがベコベコの中古自転車をリサイクルしたもので、印象は悪かった(今は新しい自転車になっている)。この写真を右に行ったところにある駐輪場は2020年まで震災当時のままだったが、もしそこにあったものを除染、修理したものだったとすれば最悪だ。

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 東口駅前。こうした家はまだ残っている。いずれは全て解体され、消されてしまう。敷地内に一歩足を踏み入れるだけで、空間線量はあっという間に1.5μSv/hを超える。おそらく私有地は除染されていない。

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 更地。2020年3月に訪問した際はまだ建物があったと思うが、こうなってしまっては何があったか思い出せない。

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 荒れ果てた私道。

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 雑草が伸び放題だ。初夏から秋にかけては、おそらく敷地内に入ることは難しいほどに伸びるだろう。

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 双葉駅の北側では、1.0μSv/hは簡単に超える。1.0と聞くと小さく見えるが、震災前の25倍だ。尤も、この程度の数値には慣れてしまった自分もいる。

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 動物、空き巣などに荒らされて、しかも開けっ放しで町なかに放置された家たち。

 こういう写真を掲載することに最初は躊躇いがあったが、一昨年頃からは割り切ることにした。晒しものにしているのは行政だからだ。

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 2017年の初訪問時からずっと変わらない消防団の詰所。

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 更地。

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 ストアーフタバ。僕の記憶では、2022年の今も解体されてないと思ったが。いずれは消されていくのだろう。

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 ここは、今はもう解体されたように記憶している。

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 長命山正福寺。この年(2021年)2月13日の地震で、さらに傾いたように思う。残念ながら2022年3月末解体。

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 こちら側から見ると、2021年2月13日の地震でさらに傾いたことがよくわかる。倒壊寸前といった印象だ。

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 まどか保育園。双葉駅前で最も空間線量の高い場所であり、来るたびに必ず訪れる場所。2021年10月から解体が始まった。2022年1月末時点では内部の片付け中だった。2022年3月末、更地となった。

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 朝礼台。何度訪れても切ない光景。

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 園庭の中心部。福島県内の避難指示解除基準は3.8μSv/h(年間20mSv)。福島県外では0.23μSv/h(年間1mSv)であり、これこそ「福島差別」と言えるものだが、環境省も復興庁も内閣府もその基準を変えることはない。基準を変えれば再避難をすることになるからだ。つまり、原子力緊急事態宣言は解除出来ない。

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 遊具が切ない。

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 園舎近くにて。この場所は以前はここまで線量は高くなかった。2021年2月13日の震度6弱(浜通り)の地震以降、この地点の空間線量が何らかの理由で突出して高くなった。

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 これは給食の配膳用だろうか。初めて訪れた2017年11月から、ずっとここにある。

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 曲がったままの鉄棒。地震でこうした曲がり方はしないように思うので、猪が体当たりを繰り返したのではないかと考えている。

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 ブランコの下は猪が掘り返した跡だ。

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 正福寺の参道。車が放置されたまま。

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 県道256号。双葉町長塚と浪江町井手とを繋ぐ。「復興シンボルロード」と名付けられた道路が建設中。よくまあ、こんなふざけた名前が浮かぶものだと呆れる。

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 この場所の右側にあった家の脇は、3.0μSv/hを超える高線量地帯だった。家屋が解体されたことで線量が低減された。つまり、町を破壊することでしか線量を下げることが出来なかった。

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 正面に見える家も解体され、今は更地となっている。

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 このダットサンサニーは震災前からこの場所にあった。ここには車の修理工場があったが、解体され更地となり、この車だけが今も残っている。

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 私有地内はどこも高線量。しかし、震災前の約75倍のこの数値も、福島県内の基準では避難指示解除出来てしまう。

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 ここにもかつては家があった。除染とは破壊である。

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 盛り上がったままのマンホール。

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 白山神社到着。ここも、双葉にくるたび毎回訪れている。ここを上がると双葉町を一望出来る。

<続く>

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