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読書の旅① ぎょらん/町田そのこ著


人が死ぬ間際に強く願ったことが
小さな赤い珠となってこの世に残る
口で噛み潰せば
死者の最後の願いがわかるのだという


7つの短編で紡がれる身近な人の死と向き合う人々の物語。

7つの物語に共通して出てくる「ぎょらん」
最初は少し不気味さがあったけれど、同時にイクラのようなその赤い珠は空に透かすとキラキラと綺麗に光るイメージもあって、毒々しくも美しいその珠は強い存在感を放っていた。

私はこの作品に出てくる言葉がすとんすとんと心中に落ちていく感じがあり、読み終わった後少し心が軽くなった。

心に残った言葉たち

もう少し、肩の力を抜いてごらんなさい

『ぎょらん』夜明けの果て より

自分の選んだ道が正しかったのか、ましてや赦されるのかなんて、精一杯のことをして死んだあとにしか分からないことだ

『ぎょらん』夜明けの果て より

どれだけ抗っても、ひとは変化して生きていくものなんだ。道しるべのない場所を歩いてるようなものなんだから、それは仕方ない。どこから来たのか分からなくなることもあるし、目指した場所から大きく離れた場所に着くこともある。(中略)ただ、ひとはひとりきりで歩いてるんじゃない。もっといい道筋があるんじゃないか、そっちはよくないんじゃないかとアドバイスしあうこともできる。

『ぎょらん』冬越しのさくら より

特に「冬越しのさくら」は、まだまだ社会人として半人前のままの私にも強く刺さった。

後悔しない生き方の正解はきっとない。
けれど、この人生を終える時、あー頑張ったな楽しかったなと思えるように生きていこうと思う。
そういう死生観を年始から少し思うのでした。


-2024年1月の読書-

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