医療業界や工事現場で勝者になりたい人
多種多様な業種が集まって総合的にプレーしていく医療業界では、
それぞれのスタッフが一つ一つの歯車になっていて(壊れている場合もあります)、
誰が偉いとかはありません。
社会全体にも言えるのではないでしょうか。
病院や医療業界では、無数の業種があり、全体像の把握すら難しいです。
以前、業界雑誌で、岩手医科大学の当時の医学部の教授が「〇〇科が医療の中で勝者となるべき」とか書いていました。
心臓血管外科(心臓を扱う外科)の教授は、「やっぱり臓器というものを目で見て治療したい。内科のように頭の中でやっていてもつまらない」と言っている一方で、
循環器内科(心臓を扱うないか)の教授は、「心臓の動いている原理は、一晩中考えていても飽きない」と言います。
若手医師の中でも、「咄嗟に動いて救命できるのは、救急科だけだから」とかコメントしていたりしました。
医療業界と関係ない人から質問される時、「花形の科、病院はどこですか」とか聞かれます。
現実的にはほとんどそういった華々しさとか、ある部署よりこの部署の方が格が上、なんてことはないと思います。(思い込んでいる人は多いでしょう、自分自身に対しても)
介護職員は今は比較的なりやすく、医師免許や医学科入学は倍率としてはなりにくい職種ではあります。
しかし、介護職員は、介護の必要な方をつきっきりで、バイタルサイン(血圧、脈拍など)を極めて詳細に記録してくる人もいて、そんなの医師にはできないです。
何かあった時の責任は医師が取らされることが多いですが、そういう人(ポジション)が社会として必要だからです。
別に心臓を切り開けるからと言って偉いとか、優れた人間というわけではありません。その技術は習熟していて素人より上手いというにすぎません。
論文をいっぱい書いているから、有名だからとかはなおさらです。
医療機関では、患者を広い領域でケアしなければならないため、大量の職種が必要なんですね。
そういうシステムとして見ると、心臓血管外科の教授であろうと、受付の事務職員であろうと、一つの歯車以上の役割がないと思います。
なので、勘違いして、「放射線科が医療業界で勝つためには」なんてコメントすると、とても痛いのです。
勝者と敗者も存在せず、ただ歯車が回っているだけだと思います。
全てのケアを包括できるわけでもなく、わずか一部分をサポートしているだけだし、それ以上のことは難しいです。
話のスケールは大きくなりますが、社会の各所でもそうかもしれません。
建物を工事するとき、一番最初に目につくのは、歩行者や自転車が付近に通る時鳶職の人たちに声をかける「交通誘導員」という警備員だと思います。
自転車操業のITベンチャー企業が声高に何もかもAI化を叫ぶものの、なかなかAIになっていません。
https://assist-tokyo.com/blog/useful/160578
この人たちがいないと、工事現場の周りを通る人たちは危なかったりして結構困ると思います。
(僕も何回か経験しています)
建物も作っていないし、何か生産しているわけでもないですが、
リスクを減らすという役割があります。
他にも、朝から楽しそうにゴミを回収しているゴミ回収業者の人たちや、
暇そうにしている清掃業者とかがいなくなったら、かなりやばいと思います。
外から見て、誰が偉いとか偉くないとか思わないですよね。
ただ、ここからは僕の意見ですが、必要か必要でないかと言った要素はあると思います。
即日で元通りに直す自転車修理屋や、
どんな部屋でもまともに動くようにするエアコンの取り付け業は必要だと思いますが、
高学歴だけが取り柄の新卒社員がアドバイスをする企業の戦略コンサルタントや、
起業などしたこともないスタッフが壁打ちする大学主催のスタートアップ支援プログラムなどは、何がしたいのかわかりませんし、そういう意味では、
底辺の仕事だと思います。
こういう職種は時間の流れで歴史から進化の原理で消えていき、社会が浄化されることを願うばかりです。
僕はゴミ回収をしている人や、
掃除をしている人に話をしたりすることって結構あります。
意外と、世の中の一側面を見れて面白いです。
ちなみに、掃除のバイトは、ところによっては、実質時給が3000円とかになることもあります。僕の後期研修医の時の時給より上ですね。
一見”花形”でないような職種の人でも自分の見えている世界の秩序があり、
「なるほどこういう職種がいるから、スムーズに回っているんだ」と気づくと思いますよ。必要なものは等しく必要ということがわかります。
学べることは多いと思います。