【読んだ】フリースクールを考えたら最初に読む本
おすすめ度 ★★★★★
知っていることは大事
学校なんて行きたくなければ行かなきゃ良いわ、派である。
私が在宅勤務だからというのもある。
2020年の一斉休校で3ヶ月休んだ経験から、その考えは更に強くなった。
しかし、いざ不登校になったらどうすればいいか、ちゃんと調べたことはない。
そこそこ都会だし、不登校になっても選択肢は色々あると思っていたが、具体的なことはなにも知らなかった。
今のところ我が子が不登校になる気配はないが、すごくタメになる本だった。
特に重要なこと、覚えておきたいことを記録しておく。
不登校の解決は「学校復帰」ではない
2017年の法律改正で、フリースクール等の認識は大きく変わった。
義務教育の対象は、学校教育法で定められた小学校や中学校である。
それが法改正以降、フリースクール等の重要性を認める方向に変わっているのだという。
2019年に文科省が出した通知では、「不登校の子どもにとっての目標は学校復帰よりも社会的自立である」と強調されているという。
これまでは「学校にいけなくなった子を学校に行けるようにする」のは教員の責任だった。
学校復帰を促す電話や家庭訪問が、教員・子ども両方の負担になり、事態の悪化にも繋がっていた。
これに対し、文科省は明確に「学校復帰前提策」を廃止したことになる。
残念ながら、認識はまだ教育現場に浸透しておらず、なんとか学校に復帰させようとする教員も多い。
保護者もそう考えるのが大半ではないかと思う。
意識改革って難しい…早く変わって欲しい!
また、フリースクールや通信教育で学習した生徒は、在籍する校長の裁量で「出席」扱いにすることもできるようになった。
でも、古い考え方の校長だと認めない人もいるらしい。
その場合は、教育委員会に通知することで殆どの場合が改善されるという。
そういう知識、めっちゃ大事。
フリースクールの現状と課題
フリースクールは、全国に500箇所程度ある。
不登校は20万人近くいるが、フリースクールを利用できている子どもは不登校の子の4%程度らしい。
少なすぎる。
なぜそうなるんだろう?
フリースクールは民間のNPO運営でやっていることがほとんどで、行政からの補助金などもない。
資金繰りが厳しく、儲からないので数はなかなか増えない。広報費もかけられないので、認知度を高めるのも難しい。
また、フリースクールは入会金や月謝もそれなりに掛かるので、保護者の金銭的負担がネックになる。
文科省も重要性を認めるならもうちょっとこう…補助とか広報とか、サポートしてくれればいいんだけど。難しいのかな。
心のケアに特化した場所
フリースクールというのは、不登校の子どもが「学校の代わりに勉強をするところ」なのかなと思っていた。
しかし、著者はフリースクールのミッションは「子どもの心のケア」だという。
不登校の原因は千差万別だが、ほとんどの子が不登校になるまでに深い心の傷をおっている。
イジメなどの直接的な原因だけではなく、学校に行かせたい親との衝突や、学校に行けない自責の念・劣等感…
まずはそういった精神的なダメージから回復しないかぎり、勉強や運動などに前向きに取り組むことはできないのだという。
どういうケアをしていくのか、どんなスタッフが居るかも本には詳しく書いてある。
学校は、数十人のクラスを1人の担任が見るので、一人ひとりの心のケアに特化するのは難しい。教員も「学校に来る子ども」の専門家であって不登校の専門家ではない。
※フリースクール自体は設置基準などはなく、品質はピンキリ。
心のケアに特化した場所を選んでほしいというのは著者の想いで、そうでないスクールもある。
本には選び方も詳しく書いてある。
デモクラティック・スクール
フリースクールは、海外では「デモクラティック・スクール」というらしい。
第一次大戦後のヨーロッパで軍国教育に対する反省から生まれた教育で、日本のフリースクール運営もこの姿勢を踏襲している。
多くのフリースクールで取り入れられている「ミーティング」の時間は、その象徴だ。
「今週はどんなことをするか」「どんなルールを決めるか」を全員で話し合って決める時間。
詳しい流れは本を読んでもらいたいが、正直羨ましい!と思った。
まさにデモクラティック。
最近は学校でも話し合いの機会を多く取るなど変化が見られる。
でも、人数や時間の限界があるから、やはり先生→生徒の一方的な管理にならざるを得ないことも多い。
公立に通わせている以上、仕方ないっちゃ仕方ないけど、フリースクール、、、いいなぁ、、、と思う。
生きる力、社会的自立という点ではむしろフリースクールの方が秀でているんじゃないかと思えてくる。
フリースクール探すのめっちゃむずい!
そんなわけで、試しに近所にフリースクールがないか調べてみた。
が、全然良さげな情報がない。
というより、一覧で見られるプラットフォーム的なものが全然ないのだ。
胡散臭気な広告サイトも多い。
「市区町村名 フリースクール」で調べてもイマイチだったので、県名で調べてみたら、やっとまとまった情報が出てきた。
私は神奈川在住なので、それなりにある。。。けどよくみたらほぼ横浜市だ。
しかも名前に「フリースクール」と書いてないものがほとんど。
これでは他の検索で見たときにフリースクールかどうか判断できない。
さらに中身をみてみると、インターナショナルスクール、発達障害向けの放課後デイサービスなど毛色が違うものも含まれている。
これをひとつひとつ見て、連絡とって見学して、というプロセスを踏まなきゃいけないのか。
これは大変だ。。。。。
このハードルを不登校に悩む親御さんは越えなきゃいけないのかと思うと、すごくモヤモヤする。
当事者以外には理解されにくいし、当事者がロビイングするような余裕もないから、なかなか大きな変化が生まれないんだろうな。
待機児童問題みたいだ。
モヤモヤ…でもこういうことも知る人が増えれば変わるかもしれない。
知っておいてよかった。
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