「関係性があれば強く言ってもいい」は過去の話
みなさんは、上司や部下との関係性に悩んだことはないでしょうか?
私は正直たくさんあります。
特に、マネージャーのような立場になってから、チームのリーダーとそのメンバーの関係性を改善することも求められるようになり、コミュニケーションの難しさをより強く感じています。
かつて、リーダーや上司が強い言葉で指示を出すことが効果的だと考えられていた時代がありました。
信頼関係があれば、多少の厳しい言葉や指示でも部下やメンバーはついてきてくれるという考えです。
しかし、現代の社会や職場環境では、このような考え方はもはや通用しないのかもしれません。
今回は、上司と部下の関係性について考えていきたいと思います。
現代のコミュニケーション
1. 多様性と個々の価値観の尊重
現代の職場は、これまでよりも多様化しています。
異なる背景を持つ人々が集まり、それぞれの価値観や働き方が尊重されるべきという考え方も浸透してきていますよね。
こういう状況の中で、上司と部下の関係性は、まだ多くの人が正解の形を模索している大きな問題の一つだと思います。
これまでは当たり前とされていた強い言葉や指示は、一部の人にとってはやる気を損なう原因となり、モチベーションを下げる可能性があります。
2. 心理的安全性の重要性
Googleが行った「プロジェクト・アリストテレス」によると、チームの成功には「心理的安全性」が重要な要素であることが分かりました。
エイミーC. エドモンドソン氏が提唱した心理的安全性とは、メンバーが安心して意見を述べたり、リスクを取ることができる環境のことです。
強い言葉や指示は、この心理的安全性を損ない、チームのパフォーマンスを低下させることがあります。
強い言葉で話す人の周りでは、当然萎縮してしまいますよね。
その人の言葉がその組織の唯一の「正解」と多くの人がとらえるようになります。
そうなると、メンバーが自分で物事を考えることは、ほぼなくなります。
正解はリーダーが持っているから、リーダーに全て確認すれば良いのです。
自らチームを良くするためにアイデアを出したり、リーダーとは別の意見をあえていう必要はありません。
これは、常に正しいリーダーにはむしろ都合が良いのかもしれません。
しかし、まったく間違えることのないリーダーはいないのではないでしょうか?
つまり、成功するチームを作っていくためには、強い指示を与えるのではなく、みんなが自分の意見を自信を持って言えるようなチームを作る必要があります。
そしてそのためには、強い言葉で押さえつけるのではなく、どんな意見も受け入れる柔軟な姿勢がとても大切です。
4. エンゲージメントとモチベーション
現在では、単なる給与や仕事の内容だけでなく、自己実現や仕事に対する貢献度を重視する人が多いです。
自分が仕事にどれだけ貢献できたかを実感することで、仕事の成果もあがります。
リーダーが強い言葉や指示を与えてしまうと、結果として生産性の低下や離職率の増加につながってしまうかもしれません。
リーダーは、メンバーのモチベーションを高めるために、支持的で協力的なアプローチを取るべきです。
5. 長期的な信頼関係の構築
短期的には強い言葉で指示を出すことで成果が出ることもあるかもしれません。
しかし、長期的に見れば、持続的な信頼関係を築くためには、メンバー一人一人を尊重し、理解していく必要があります。
リーダーシップは一時的なものではなく、継続的な対応が必要です。
強い言葉を使ってメンバーを従わせとしても、本当の信頼は得られません。
結局、そのチームの成果や行動のプロセスを全て自分が見守り、管理しなくてはいけなくなります。
「関係性があるから厳しい言い方も受け入れられる」はもはや幻想
私の個人的な体験談をお伝えすると、マネージャーとしてやチームのリーダーとそのメンバーの関係性改善に取り組んだことがありました。
リーダーは「少し厳しい言い方をしているけど、関係性があるからみんな反発していない」と思っていました。
しかし、実際にメンバーに話を聞いてみると、全員そのリーダーの言い方がきついことに不満を持っていました。
この人の例で言うと、関係性があるから厳しい言い方も問題ないと言うのは幻想でした。
そもそも相手にきつい言い方をしたら相手が傷つくのは当たり前のことです。
関係性があるからといって、それが覆るわけではありません。
どんな関係性であっても、相手に配慮して、言い方に気をつけることは絶対に必要です。
まさに「親しき中にも礼儀あり」ですね。
リーダーや上司は、尊重と理解に基づいたコミュニケーションを重視し、心理的安全性を確保しながら、長期的な信頼関係を築くことが求められます。
いまの職場環境においては、強い言葉よりも、共感や対話を重視するアプローチが効果的です。
いかがだったでしょうか。
この記事が、みなさんの会社でのコミュニケーションの手助けとなれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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