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「ファミリア」全23話

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ケイト・クーパーは左頬に火傷痕のある十二歳の少女だ。母のジェシカ、飼い犬のチク・タクと共にフィラデルフィアのアパートで暮らしている。ある日見かけた車の衝突事故で、お気に入りのスト…
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#肉体

「ファミリア」第一話

「ファミリア」第一話

プロローグ 澄み切った十月の青空の下、わたしたちはサウスフィラデルフィアにあるとある教会の墓地に立っている。

 墓石に彫られた名前はジェシカ・クーパー。
 大好きなお母さんの名前だ。

 教会の鐘の音が晴れやかに響くと、それに驚いた鳥たちが一斉に青空の中へと飛び立っていく。
「ワン! ワン!」
 威嚇めいた鳴き声を上げて一匹の小さな犬が飛び出すと、わたしの隣で車椅子に座るマギーおばさんが笑いなが

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「ファミリア」第十八話

「ファミリア」第十八話

Jim
(6)

「ロベルト!!」
 すっかり変わり果てた息子をきつくその腕に抱きしめる父親の姿を私は直視することができず、目を背けたままその場に立っていた。
 ルカの魂を冥界に送ったアニーが戻ってくると、「ジム! まだ此処にいたの?」とすっかり呆れた様子で言った。
「すまない、彼をなかなか説得できなくて……」
「ジム。説得など無用よ。一体どうしたと言うの? あなたらしくもない」
 アニーの反応は

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「ファミリア」第二十二話

「ファミリア」第二十二話

Jim
(10)

「チク・タク! こっちよ!!」
 ケイトは叫び、チク・タクを迎えるため大通りへ飛び出した。
「あれほど言ったのに!」私は慌てて道路を引き返し、叫んだ。「ケイト! 今すぐに戻れ! チク・タクは安全だ! 彼にその予定はないんだ!」
 大通りを進む車が、大きなラッパを鳴らしながらケイトへと迫っている。正面に捉えた弟を死なせないために、ケイトは全神経をチク・タクに集中させていた。
 私

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