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読みやすくするには〜小説のちょっとしたコツ

小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。

今回は「読みやすくするには」です。


「読みやすい」とはどういうことか

世の中には読みにくい小説と、読みやすい小説があります。

読みにくい小説にも味があり、決して悪いわけではないのですが、あまりにも読みにくいと読者が減るのも確かなことです。

ですので、今回は読みやすくするにはどうすればいいか考えていきましょう。


最初に「読みやすい」とはどういうことか確認しておきます。

ごく単純に言って、「読みやすい」とは

  • ノイズが低い

ことです。


不要なノイズに対して、伝えるべき情報(信号)があります。

小説の場合の情報とは、ストーリーやキャラクターの性質、舞台設定、世界観などのことですね。

情報に対して、可能な限りノイズを低くすることが、「読みやすさ」に繋がります。


では、ノイズを低くするにはどうすればいいでしょうか?

このnoteではよく出す成果物のフレームワークである「アイデア」「ロジック」「表現」の3つで考えると、こんな感じです。

  1. アイデア:設定を最小限にする

  2. ロジック:理屈を通す

  3. 表現  :文章を簡潔にする


説明しなくてもわかると思いますが、それぞれ簡単に見ていきましょう。


1.設定を最小限にする

1つ目は設定の最小化です。

設定とストーリーの関係は、こんな感じに捉えるといいです。↓

ストーリーと設定


設定があればあるほど、ストーリーにたどり着くのに労力が掛かります。

つまり、読みにくくなるのですね。

読者は設定を読みたいのではなく、ストーリーを楽しみたいのです。

そういった読者にとって、設定の多さや複雑さはノイズになってしまいます。


ですので、設定そのものを楽しむような話(たとえばSFはそうかもしれません)でない場合は、できるだけ設定を少なくすることを検討しましょう。

その設定が本当に必要なのか、自分の趣味で入れていないか、複数の設定を一つにまとめられないか、などを考えるといいです。


私がいるジャンルでは、読者は設定に関してとても敏感です。

先輩がよく「設定が増えるごとに読者が減っていく」と言っていました。

設定が1つ増えると、読者が1割減るくらいに考えて、もっと慎重になった方がいいかもしれませんね。


何度も同じことを言いますが、読者は設定を読みたいのではありません。

ストーリーを楽しむために必要な設定は、できるだけ少なくすることが、読者に対する思いやりだと言えるでしょう。


2.理屈を通す

2つ目は理屈を通すことです。

理屈とは何かというと、こういうことです。↓

理屈を通すとは


「理屈を通す」=「考えること」のように思っている人もいるかもしれませんが、理屈を通すとは考えることではありません。

考えない(考えさせない)ために、理屈を通すのです。


理屈とは、AならばB→BならばC→CならばD……と、自動的に進むものであり、誰でもAからZまで行き着けるように階段を作るようなものです。

誰でも自動的に最後までたどり着けるプロセスを、「考える」とは言いませんよね。

むしろ、それは無思考(考えないこと)でしょう。

つまり、論理とは、あれこれ考えない(考えさせない)ための自動手順なのです。


ですから、適切に理屈を通せば、読者は必ず最後までたどり着いてくれます。

逆に言えば、理屈が通っていないものを辿ってもらおうというのは、かなりの無茶なのです。


その無茶ぶりをノイズだと考えるとわかりやすいでしょう。

論理の飛躍、破綻、矛盾といったものがノイズであり、読者の理解を妨げる原因です。

ですので、可能な限りロジックを通し、むやみに読者に考えさせないことが、読みやすさを上げるうえでとても重要なのです。


3.文章を簡潔にする

3つ目は文章のシンプルさです。

誰にでもわかる文章を書くことが、表現におけるノイズを減らすことになります。

文章におけるノイズとは、このようなものです。

難しい単語、難読漢字、妙な句読点、大量の漢字、奇妙な言い回し、奇をてらった比喩、多すぎる体言止め、語順の入れ替え、一文が長すぎる、段落が長すぎる、言い回しが複雑すぎる……

こういったノイズを、文章から極力取り除きましょう。


もちろん、ノイズが味になることもあります。

それは否定しませんが、そういった味やフレーバーの方向に進むのは、読みやすい文章が書けてからのことでしょう。

まずはプレーンな文章を書くことを念頭に置くのがいいと思います。


簡単なノイズの確認方法は、ページの見た目をチェックすることです。

ページが黒ければ、ノイズが多い可能性があります。

もちろん内容との兼ね合いもありますので、一概には言えませんが、ページが白ければ白いほど、基本的には読みやすくなります。

ページの色の濃さと情報量の多さは関係していますので、必要な情報量と見た目のバランスを取ることが重要です。


今回のまとめ

小説のちょっとしたコツ「読みやすくするには」でした。

  1. 読みやすい = ノイズが低い

  2. 設定を最小限にする
    設定が多ければ多いほど読者が減る

  3. 理屈を通す
    理屈を通さずにわかってもらうのは無茶
    理屈を通し、可能な限り読者に考えさせない

  4. 文章を簡潔にする
    誰にでもわかるプレーンな文章を心がける
    ページが黒ければ、ノイズが多い可能性がある

もちろん読者層やジャンルによって、ノイズのしきい値(どこからがノイズになるかの基準)も変わってくるでしょう。

そこは調整が必要ですね。

それではまたべあー。

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