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ところであなたの小説、面白いですか?

世の中には、多くの人が「面白い!」と思う小説と「なんか面白くないなあ……」と思う小説が存在します。

ところで、あなたの小説は面白いですか?

「面白い……はず」と思った方、その根拠は何でしょう?

今回は「面白さ」の正体を考えていきます。



面白さとは「差」である

「面白さ」とは何でしょうか?

結論から言えば、面白さとは「差(ギャップ)である、というのが私の考えです。


図にするとわかりやすくなります。

下の図は2種類のジェットコースターです。

左は高低差が小さく、右は高低差が大きいとしましょう。

どちらが面白いと思いますか?

差の大きさと面白さ


もちろん、右の高低差のある方ですよね。

単純に言って、どのようなものでも、差があればあるほど面白く、興味深く、魅力的になります。

(一方、差がなければ、退屈で、単調で、停滞した印象を与えます)


これは小説も同じです。

小説における差には以下のようなものがありますね。

  1. 他の作品との差

  2. ストーリー展開の差

  3. キャラクター内部の差


それぞれ簡単に見ていきましょう。


1.他の作品との差がありますか?

1つ目は、他の作品との差があるかどうかです。

他の作品との差を考える場合、ジャンル内の分布を見てみるのが簡単でしょう。

2つの対立軸を導入して、作品を分類するとわかりやすくなります。

あなたの作品のポジション


図は上下に主人公の役割、左右に作品のテイストという軸を取り、ジャンル内の作品分布を見た例です。

それぞれの円が作品で、あなたの作品は右上にあります。

この場合なら、確かに他の作品との差があると言えそうですね。


このように、対立する2軸を導入して分布を見てみれば、あなたの作品が本当に他の作品と差があるかどうかが一目で分かります。

対立軸を考えるのはなかなか難しいのですが、適切な2軸を考えつけば、ジャンル内で手薄なところも分かるので、新しい作品を考えるときにも役立ちます。

新作のアイデア出しに行き詰まったら、試してみるのもいいですね。


2.ストーリー展開に差がありますか?

2つ目は、ストーリー展開に差があるかどうかです。

これは簡単ですね。

ストーリー展開の差とは、ストーリーの盛り下がりと盛り上がりの差のことです。

ストーリー展開の差


盛り下がりとは、主人公が絶望したり、後悔したり、躊躇したりするストーリー上のポイントのことです。

一方、盛り上がりは、主人公が敵と対峙したり、大きな行動を起こしたり、困難に立ち向かうポイントのことです。

ごく単純に言って、この差が大きければ大きいほど、物語は面白くなります。


上で書いたジェットコースターの例と同じですね。

高低差があればあるほど、ジェットコースターは面白く、スリリングになります。


念のため、盛り下がりと盛り上がりを大きくする方法も示しておきましょう。

盛り下がりも盛り上がりも、逆方向の力がぶつかりあったときに起こるものなので、ぶつかり合う力が、

  • 方向が逆であればあるほど

  • サイズが大きければ大きいほど

盛り下がりも盛り上がりも大きくなります。


図で見るとわかりやすいでしょう。

盛り上がりと盛り下がり


ですから盛り上げるには、

  • 主人公と敵対者をぶつける

  • 主人公と仲間が衝突する

  • 軍勢同士が戦う

などすればいいですし、盛り下げるには、

  • 主人公の心の中で「ああすれば良かった」「でもそうできなかった」という思いがぶつかる = 後悔

  • 主人公の心の中で「こうすべきだ」「でもそうできない」という思いがぶつかる = 葛藤

などを起こせばいいことになります。


3.キャラクター内部に差がありますか?

3つ目は、キャラクター内部に差があるかどうかです。

キャラクターに差があると、そのキャラクターは魅力的になります。

魅力も差(ギャップ)なのですね。


キャラクターの差には、主に3種類あると分かっておきましょう。

  1. 普通との差

  2. 内面と外面の差

  3. 時間による差

キャラクターの差


1.普通との差

普通よりカッコイイ、綺麗、かわいい、大きい、小さい……など、普通からの差があればあるほど、キャラクターは魅力的になります。

普通より醜いなど、負の方向への差であっても、書き方によって魅力に変えることができるでしょう。

まずはこの差を考えるのが簡単です。


2.内面と外面の差

次は内面と外面の差です。

たとえば、周りには聖女のように思われているけれど、実は陰湿で腹黒い、などがこの差ですね。

思っていることとやっていることが違う、状況によって性格が変わる、いつもは冷たいが二人きりになるとデレる、などもこの差です。

性格にギャップをつけると、それだけでキャラクターは魅力的になります。

あまり複雑な性格にすると扱いきれなくなるので、内面と外面の2つのレイヤーで十分です。


3.時間による差

時間による差とは、主に成長によって生じる差のことです。

たとえば、

  • 物語の冒頭では最弱だった主人公が、最後には最強になる

  • 最初は卑怯だったキャラクターが、最後には誰かをかばって命を落とす

といったように、最初と最後で大きく差をつけると、魅力が一気に増します。

主人公の成長を描く場合、最初は主人公を弱くしなければなりませんが、その場合でも、読者が嫌がるような弱者っぷりにはしない方がいいでしょう。

少なくとも調整は必要です。

あまりに弱々しかったり、卑怯だったりすると、読者の読む気を削ぐことになりかねません。



さて、以上、さまざまな差について書いてきましたが、あなたの作品にはこれらの差があるでしょうか?

おわかりのとおり、差がなければ、面白くなりようがありません。

もう一度聞きますね。

あなたの小説は面白いですか?


差が足りないなら、簡単なものからでいいので、付け足してみるといいですね。

ちょっと追加するだけで物語が突然面白くなることもあります。

わりと簡単なので、ぜひ試してみてください。


今回のまとめ

「面白さの正体」でした。

  1. 面白さとは差(ギャップ)である

  2. 主な差は3つ

    1. 他の作品との差

    2. ストーリー展開の差

    3. キャラクター内部の差

  3. 他の作品との差

    1. ジャンル内作品の分布を考えるとよい

    2. そのためには対立軸をつくって既存作を分類してみる

  4. ストーリー展開の差

    1. 盛り下がりと盛り上がりの差が大きければ大きいほど面白くなる

    2. 両方とも逆方向の力がぶつかった際に生じる

    3. 方向が逆で、サイズが大きい力(思い)が衝突するほど、盛り上がりも盛り下がりも大きくなる

  5. キャラクター内部の差

    1. キャラクターの魅力 = 差

    2. 差は主に3種類

      1. 普通との差
        普通よりかっこいい、かわいい、大きい、小さい……

      2. 内面と外面の差
        心の中と行動の差

      3. 時間による差
        成長することで生じる物語の最初と最後の差


書いた作品が面白くないなら、差が足りない可能性があります。

どこかに差を付け足してみるといいでしょう。


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気長にお待ちしていますね〜。

それではまたくまー。


(2024.1.4追記)

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