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超初心者さんのための小説講座(6)〜短編のアイデアの考え方

小説を書いたことがない人、または超初心者さん向けの小説講座。

6回目は「短編のアイデアの考え方」です。

前回はこちら。↓


アイデアとは

前回は「とっかかりのアイデアを出す」方法を説明しました。

まずふわっとした話の雰囲気を考えて、そこから少しずつ具体的にしていくと、「なんとなくこんな感じの話」というところまでは出せると思います。

なんとなくの話が決まったら、いよいよ短編のキモであるアイデアを出していきます。
(あるいは、今回出すアイデアから先に考えてもいいです)


オチのつくり方でちらっと説明しましたが、短編のアイデア出しとは

  • 隠されている理屈

を考えることです。

隠しておいた理屈を最後に示すことで、話が上手く終わるのでしたね。


アイデアの出し方は、自分でもまだ言語化できていない部分が多いのですが、いまのところの仮説をご紹介していきます。


アイデア=逆転

アイデア出しとは「隠された理屈」を考え出すことですが、もう少し具体的にいうと、

  • 何らかの逆転(の理屈)を発見すること

だと言えます。


逆転
というのは、たとえばこういうものが入れ替わることです。↓

  • 「正しい」「間違い」

  • 「良い」「悪い」

  • 「正面」「別の面」

  • 「内側」「外側」

  • 「今」「昔」

  • 「美しい」「醜い」

  • など……


ストーリーの最中では「正しい」と思われていたことが、最後に「間違い」だとわかる。

あるいは「悪い」と思われていたことが、「良い」ことにひっくり返る。

その入れ替わりに理屈が通ることで、逆転の驚きとともに納得感が起こるのです。


前々回で出した主婦の例も、逆転を含んでいることがわかると思います。

今回も例を出して見ていきましょう。


逆転の作例

逆転とは、たとえばこんな感じです。↓

1.ある女性に一目惚れした主人公。断られてもめげずに告白を続け、ついにつきあうことになった。
2.ある日、彼女から「実はずっと前からストーカー被害に合っている」と涙ながらに相談される
3.主人公は彼女を守るため、彼女の周囲を見張ることにした
4.数日後、彼は警察に捕まってしまった
5.実は彼女はしつこい彼を排除するため、彼をストーカーとして通報したのだ
6.彼女につきまとっていたストーカーとは主人公本人だったのである

この場合の一番大きな逆転は、

  • 「主人公」が「ストーカー」だった

という点ですが、それに付随して、

  • 「良いこと」が「悪いこと」に変わった

  • 「彼女の頼み」が「彼女のたくらみ」だった

という逆転も起こっているのがわかると思います。


大きめの逆転が起こると、驚きも大きくなります。

ですが、そこまで大きな逆転を考えなくても、ちょっとした逆転、入れ替わり、ひっくり返しがあれば、オチとして十分成立します。


もう1つわかりやすい逆転を考えてみましょう。

1.悪魔の召喚に成功した男は、悪魔に「小石を宝石に変える力をくれ」と願った
2.願いは受理され、男は「これで俺は大金持ちだ!」と喜んだ
3.1年後、男はやはり貧乏暮らしをしていた
4.男は喜びのあまり、世界中の小石のほとんどを宝石に変えてしまった。そのため、小石と宝石の価値がひっくり返り、いまでは小石が高値で取引されるようになってしまったのだ

「多いもの」と「少ないもの」を入れ替えたため、結果的に「小石」と「宝石」の価値がひっくり返りました。

ショートショート(さらに短い短編)にありそうなアイデアですね。


このように、逆転の理屈を考えることがアイデアを出すことであり、その逆転構造があるおかげで、話が上手くオチるのです。


逆転の考え方

では、逆転の考え方を見ていきましょう。

主な方法は次の2つかなと思います。

  1. 最初と最後が逆になるように考える

  2. キーワードなどの性質の逆を考える

それぞれ見ていきます。


1.最初と最後が逆になるように考える

もっとも簡単なのは、

  • 最初が悪いなら、最後を良くする

  • 最初が正しいなら、最後を悪くする

といった風に、最初と最後で逆になるように考えることです。


たとえば、こんな感じです。↓

  • 最初:告白に大失敗する

  • 最後:大失敗したおかげで、いつも側にいて支えてくれていた大事な存在に気づく

最初の失敗が、最後には成功に変わります。

他の例としては、

  • 最初:彼氏の浮気現場を見て落ち込む主人公

  • 最後:実はそれは誤解で、主人公のためにプレゼントを用意していた

などとすれば、最初の落ち込みが最後に喜びに変わります。

こういった小さな逆転でも十分話にできます。


何が起こる話かをだいたい考えておけば、起こったことの逆の結末になるようにすればいいので簡単です。

まずはこの方法で考えてみるといいでしょう。


2.キーワードなどの性質の逆を考える

次の方法は、話にキーワードがある場合などに使える方法です。

キーワードというのは、話に出したい題材やテーマ、何かの名前などのことです。


たとえば「侵略性の宇宙人を出そう」と考えたとします。

まず、侵略性宇宙人のありそうな性質を出しましょう。

  • 侵略性宇宙人

    • 悪い宇宙人

    • 地球を乗っ取ろうとしている

    • 人類を下等生物とみなしている


次にそれらの性質の逆を考えてみます。

  • 侵略性宇宙人の逆方向

    • 実は良い宇宙人?

    • 実は地球を守ろうとしている?

    • 人類に恩義を感じている?


すると、たとえばこんな話を思いつくかもしれません。↓

1.宇宙人が巨大な船で現れ、地球の各地に着陸した
2.宇宙人たちは地殻に穴を空け、資源を採掘しはじめた
3.地球の危機に各国が立ち上がるが、宇宙船には歯が立たない
4.カウントダウンが迫り、地球滅亡まであとわずか
5.ところがカウントダウンが終わると、宇宙船は静かに去っていった
6.宇宙船が着陸したのは環境破壊が著しい土地だったが、見事に回復していた
7.宇宙人たちは地球を修復するために現れたのだ
8.宇宙人の代表は「地球人には恩がある。はるか昔、我らの女王を救ってくれた」と言った
9.その女王の名は地球語で発音するとカグヤと聞こえるという


また、中立的なキーワードより、ある程度イメージが固まっているワードを使った方が上手くいきます。

逆方向を考えやすいからですね。


たとえば「泥棒」には悪いイメージがありますが、良い面を考えると、

  • 手先が器用

  • 防犯知識が豊富

  • 用意周到

  • 素早い

などがあるでしょう。

そこから

  • 金庫開け名人の泥棒が、金庫に閉じ込められた子どもを救う話

  • 泥棒が、豊富な知識で街の防犯アドバイザーになる話

などを思いつくかもしれません。


このように、キーワードの性質の逆の面を考えることでも、わりと簡単にアイデアを出すことができます。

ぜひ試してみてください。


今回のまとめ

超初心者さんのための小説講座「短編のアイデアの考え方」でした。

  1. アイデアを出す = 逆転の理屈を考える

  2. 逆転とは、反対の性質に入れ替わること

  3. 最初と最後で逆になるように考える

  4. キーワードの性質の逆の面を考える

  5. どちらも、ある程度方向性が偏ったものを使った方がいい
    (逆にしやすいから)

短編のアイデア出しは、ひとまずこのくらい知っておけばなんとかなると思います。

180度逆にしなくても、ある程度、逆方向に傾ける感じで考えれば、十分オチになるでしょう。

続きはこちらです。↓

それではまたくまー。

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