見出し画像

物語をうまく終わらせられない人向けのコツ3つ

「勢いで書き始めたけど、オチを思いつかない……」
「小説を書いてみたいけど、どう終わらせればいいか分からないから二の足を踏んでいる」

私の周りにもこういう人はけっこういます。

今回はそんな方向けに物語を終わらせる方法をご紹介します。



「物語を終わらせる」とは

まず、「物語を終わらせる」とはどういうことか、はっきりさせておきましょう。

投げっぱなしの終わり方や支離滅裂な終わり方など、どうでもいい終わり方ならいくらでもできます。

ですが、それでは物語をきちんと終わらせたことにはなりません。
(作者の意図どおりならそれはそれでいいかもしれませんが)


「物語を終わらせる」とは、

  • 読者が「ああ、終わったな」と満足するような終わり方をさせる

ということです。


単純に言うと、読者を満足させるには、読者に「腑に落ちた感覚」を味わってもらう必要があります。

ある種の納得感ですね。

読者は最後に話を分かりたい(納得したい・理解したい)のです。


セリフで言うと、読み終わった読者から、

「ああ、そういうこと!」
「なるほど!」
「うんうん、そうなるよね!」

といった反応が出れば、きちんと終われていると考えていいでしょう。

今回は理屈はさておき、とりあえず読者が腑に落ちるような終わり方をご紹介していきます。


終わらせる方法3つ

手軽な方法としては以下のようなものがありますね。

  1. 間違いを正す

  2. 弱点を克服する

  3. 逆転させる


それぞれ簡単に見ていきましょう。


1.間違いを正す

1つ目は「間違いを正す」です。

流れはこうなります。

  1. 主人公が何かを間違えているので上手くいかない

  2. あるきっかけでその間違いに気づく

  3. 正しい行動を起こして問題を解決する


概念を図にするとこうです。

間違い→気づき→正しい行動


間違い→気づき→正しい行動、で最後の問題を解決すれば、気持ちよく物語を終わらせることができます。


例で理解を深めておきましょう。

たとえばファンタジーっぽい話でいうと、こんな感じになります。

1.ラストバトルで魔王をどうしても倒せない(間違い)
2.魔王の弱点を以前耳にしたことを思い出す(気づき)
3.弱点を突き、魔王を倒す(正しい行動)

あるいはスポーツものだとこんな感じでしょうか。

1.緊張してしまって実力を発揮できない(間違い)
2.スポーツが楽しいことを思い出す(気づき)
3.リラックスした主人公は気づけばライバルに勝っていた(正しい行動)


気づきは偶然起こってもいいですし、何かを思い出したりしてもいいです。

以前戦った敵が何かに気づかせてくれたり、弱いと思っていた誰かの、ひたむき努力を見て本当の強さに気づく、といった展開もアツいですね。

いろいろ工夫すれば、よりドラマティックに終わらせることが出来るでしょう。


2.弱点を克服する

2つ目は「弱点を克服する」です。

これはとても簡単なので、まずは検討してみるといい方法です。

流れはこうです。

  1. 主人公には弱点がある

  2. その弱点を試されるような問題が起こる

  3. なんとか弱点を克服し、問題を解決する


主人公の弱点というのは、簡単に言えば、トラウマです。

やり方は簡単で、主人公にトラウマを設定し、そのトラウマを乗り越えなければ解決できない問題を最後に起こせばいいだけです。


たとえばこんな感じですね。

主人公は水が怖い
 以前溺れたことがある、水難事故で大事な人を亡くしている、など
 水=トラウマ
最後に水中に潜らなければ解決できない問題を起こす
 誰かが溺れているのを助ける、水に潜らなければ大事な人たちが死んでしまうような状況を起こす
 解決=トラウマの克服


これをすると、物語をすっきり終わらせることができるだけでなく、主人公の成長を描くこともできて一石二鳥です。

物語が終わったとき、主人公は、トラウマという重荷を脱ぎ捨て、文字通り一皮むけるのです。


3.逆転させる

3つ目は「逆転させる」です。

これはどちらかというと短編向きですが、長編にも応用できます。


逆転というのは簡単に言うと、何かと何かが入れ替わることです。

たとえば以下のようなものが入れ替わることですね。

  • 「正しい」「間違い」

  • 「良い」「悪い」

  • 「正面」「別の面」

  • 「内側」「外側」

  • 「今」「昔」

  • 「美しい」「醜い」


物語の最初に「正しい」と思っていたことが、最後に「間違い」だと分かる。

始めは「悪い」と思っていたことが、最後に「良い」ことにひっくり返る。

こういった逆転を起こすと、物語を驚きとともに終わらせることができます。


簡単な逆転の作り方を説明しましょう。

  1. 話のテーマや描きたい人物、状況、問題などを考える

  2. 1で出したもののメリット(良い面)とデメリット(悪い面)を出す

  3. グッドエンドかバッドエンドか決める

  4. グッドエンドなら
    対象のデメリットが、最後にメリットに変わる

  5. バッドエンドなら
    対象のメリットが、最後にデメリットに変わる


ちょっとわかりにくいと思うので、順を追って見ていきます。

1.たとえば、「泥棒」の話を書くとしましょう。

2.泥棒の良い面と悪い面を出していきます。

悪い面は簡単ですね。

  • 悪い面

    • そもそも犯罪

    • 被害者が損害をこうむる

良い面も考えてみましょう。

  • 良い面

    • 鍵を開けられる

    • 防犯知識がある


3.グッドエンドかバッドエンドが決めますが、泥棒は基本的に悪いことなので、悪い→良い、に逆転させることになり、最後はグッドエンドになります。

4.つまり、話は泥棒の悪い面から始まり、最後に泥棒の良い面に逆転して終わることになります。


ですから、たとえばこんな感じの話になるでしょう。

・空き巣で捕まった老人がようやく出所する
・真面目に生きようとするが、世間から白い目で見られ、苦しい生活を余儀なくされる
・前科持ちだとバレては何度も引っ越しを繰り返す老人
・見知らぬ土地に移り住み、ようやく平穏な生活を送り始めた
・だが、ある日、初めて慕ってくれた子どもが金庫に閉じ込められる事件が起こる
・老人は決心すると、解錠道具を持ち出し、金庫の鍵を開ける。彼は鍵開けの名人なのだ。
・これで前科がバレると覚悟した老人だったが、家族や街の人からも感謝される
・こうして老人はようやく居場所を見つけることができた


前科持ちではなく、現役の空き巣で指名手配されている、などとしてもいいですね。

金庫を開ければ、通報を受けて駆けつけてきた警察官に見とがめられる。

しかし、子どもは助けたい。

こういったジレンマに陥る状況をつくれば、さらに盛り上げることができるでしょう。


長編に適用できるかどうかは検討が必要ですが、短編の場合はとにかく逆転さえ作り出せればそこそこのオチになり、きちんと終わらせることができます。

終わり方に悩んでいるならぜひ試してみてください。


今回のまとめ

「物語をうまく終わらせられない人向けのコツ」でした。

  1. 物語を終わらせる = 読者が満足する終わり方
    読者は最後に納得したい

  2. 終わらせる手軽な方法

    1. 間違いを正す

    2. 弱点を克服する

    3. 逆転させる

  3. 間違いを正す

    1. 主人公は何かを間違えているので上手くいかない

    2. 何かのきっかけで間違いに気づく

    3. 正しい行動を起こして問題を解決する

  4. 弱点を克服する

    1. 主人公にはトラウマがある

    2. トラウマを乗り越えなければ解決できない問題を起こす

    3. なんとか解決させる

  5. 逆転させる

    1. 逆転 = 何かと何かが入れ替わる

    2. 簡単には、良い面と悪い面を入れ替えればいい

    3. バッドエンドかグッドエンドかで、逆転の方向性が変わる

    4. グッドエンドなら
      始めに対象の悪い面で被害を受けるが、最後に良い面を享受する

    5. バッドエンドなら
      始めに対象の良い面を享受するが、最後に悪い面で被害を受ける

別にオチがなくても終わらせることはできますが、エンタメ作品や短編では、やはりオチがあった方が読者の満足度は高まります。

上手く終われないようなら、今回ご紹介した簡単な方法を試してみるといいでしょう。

それではまたくまー。


(2023.11.13追記)

おお2つ!
(#小説タグで出るの珍しい)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?