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限界集落とは何か。過疎や消滅といった言葉も含めて解説します。

少子高齢化が本格化したことから日本中の自治体で過疎化が加速しています。

日本の中にある自治体は1718市町村(東京23区を除く)ですが、その内の51.5%にあたる885市町村が2022年(令和4年)度時点で「過疎地域」として指定されます。(2022年4月正式に指定)

過疎対策について(総務省Webサイト)

過疎とは、人口が急激かつ大幅に減少したため、地域社会の機能が低下し住民が一定の生活水準を維持することが困難となった状態を指しますが、単に人口が極度に少ない状態を指すものではないため、混同することには注意が必要です。

急激に人口が減少することに加え、年齢構成が高齢化することによって人の社会的な営みを維持することが困難になる集落のことを限界集落としています。

限界集落とは人口の50%以上が65歳以上で農業用水や森林、道路の維持管理、冠婚葬祭などの集落として共同生活を維持することが限界に近づきつつある集落をいいます。

また、限界集落がさらに進んでしまうと消滅(無人化)してしまうわけですが、それを消滅可能性都市や消滅可能性集落となります。

実は消滅の可能性がある集落は全集落(62,237集落)中、「いずれ消滅する」「10年以内に消滅(無人化)する」可能性がある集落は2019年時点で4.3%の2,744集落とされています。

限界集落の区分

限界集落に至るまでにもいくつかの段階があります。

ここでのポイントは各集落で「共同体機能」が果たせるのかどうかです。共同体としての機能とは何かというと、農作業や生活道路の管理、冠婚葬祭などの担い手が存在する状態で実際に運営されていることです。

そこに注目した状態で以下の区分を見てみると、年齢構成を軸としつつ構成割合から割り出す形になっています。将来世代がいなければ共同体の維持などできるはずがありませんので、当然といえば当然の基準だといえるかもしれません。

図1 限界集落の区分

上で紹介した消滅する可能性のある集落が全集落中の4.3%となっている点を紹介しましたが、この数字は調査ごとに増えているのが現状です。

過疎地域と限界集落の関係

二つの似通った言葉を改めて整理してみたいと思います。

過疎地域
人口が流出し、社会生活の維持が困難になっている地域

限界集落
(過疎地域内の)65歳以上の高齢者が集落人口の50%を越えている場所

これらの定義から見ていくと、限界集落になる前に過疎地域として総務省より指定されます。この冒頭で紹介した通り、その数は全国の自治体中半数を超えてきました。

つまり、少子高齢化によって人口減少が叫ばれる中、全国の半数以上の自治体が限界集落の可能性を抱えているということになるのです。

限界集落といった名称は現地で暮らす人たちの心象を悪くすることを懸念し、総務省や国土交通省の公式文書では「基礎的条件の厳しい集落」や「維持が困難な集落」といった表現が用いられることもありました。

しかし、いまでは各種メディアでも使われるようになったことや、そもそも限界集落といった呼称も一般的となったことから、各省庁の文章内にも限界や危機的といった言葉が並ぶようになるといった変遷を重ねています。

いずれにしても限界集落を迎える前には必ず過疎地域となることが既定路線であることに変わりはありませんが、どのようにして過疎地域になるのでしょうか。

過疎地域になるまでの流れと過疎化による弊害

過疎地域になるまでにはいくつかの段階があります。概ね、日本では東京以外の地方都市は全般的に類似した課題を抱えていると考えられており、それは若者の流出です。

  1. 地方から若者が都市部(特に東京)へ学業や就労を理由に流出

  2. 地方都市による就労人口の減少から自治体の税収減少、そして行政サービスの低下

  3. 地方の人口減少に伴って商業施設の売上が減少することによる雇用条件の悪化

  4. 地方に魅力がなくなったことから、さらに若者は学業と就労を理由に流出

過疎化が進むことにより、生活道路や農業用水などの管理ができなくなり、鉄道やバスなどの交通インフラも衰退します。山林や耕作地の荒廃が進むとクマやイノシシといった野生動物たちの行動範囲が広がることによる被害も増えてくるのです。

結果として、荒廃した土地と手入れするだけの人員が確保できない状態、さらに雇用の維持ができない町からは人がドンドンと離れていきますので、過疎化した自治体は高齢者の比率が高くなり、限界集落化していくのです。

人口減少や少子高齢化といった事柄は報道などで目にしたり耳にする機会が増えました。IターンやUターン、Jターンなどといった移住人口を増やそうとする自治体も増えましたし、移住まで求めずに就労や業務などによってつくる関係人口を増やそうとする動きも活発です。

しかし、それらをいくら取り組んだところで日本全体の人口動態をどうにかできるわけではありませんから、徐々に過疎地域は増え、限界集落とかした集落が生まれていく構造は変えようがないのは事実です。

そんな中、各集落や地域、自治体で独自の魅力をつくりながら必死に関係人口を増やす努力がみられますが、中の人たちが思う理想を実現するには当然人手が足りません。

じゃ、誰がやる必要があるのか。それこそ、私をはじめとした「ふるさとを持つ人たち」です。ぜひ、ご自身のふるさと(地元)でどんな活動が行われているのか目を向け、できることがありそうなら行動しましょう!


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