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外国語学習/日本語教育

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海外で継承語教育、ドイツ人に日本語教育をしていることから考える外国語学習についてあれこれ。
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#日本語

【日本語】大学の口頭試験で感動した話

昨日、コマを持っている大学の夏ゼメスターの期末試験だった。 (非常勤だから、「勤めている大学」という言い方に齟齬を感じて、いつも歯切れの悪い表現しかできない!) 教え始めた当初に先輩の先生に試験はどんな感じか見せてくれませんかと頼んだところ、断られた! ので、やむなく自分でよいと思うものを作って、都度改良していっている。 私は、同じ大学なのだから同じような試験、それか同じ試験でもいいくらいだと思う! 例えば一番最初のクラスは4つもあって、4人の別々の先生が教えているけど、

「君にカエル」~助詞1つで意味が変わる日本語の面白さ

娘たちの好きなK-popグループの1つに、ほぼ日本人で構成されているグループがある! その「&TAEM」(エンティームと発音するらしい。「アンドチーム」というと、バカにされるw)の曲に「君にカエル(Maybe)」というのがある。 娘たちは車に乗ると、自分の携帯をUSBでつないで、車のスピーカーで聞いているんだけど、ちゃんと車のディスプレイ(オペルくん純正!)は、日本語も表示できるので「君にカエル」と出る。 それが私には面白くて、毎回「ハイ!」と手のひらにのせたカエルをあげ

外国語視点での「~てもいい/~てはいけない」

外国語視点から日本語の文型を考える勉強会、第2回を行いました! 今回は6名参加で、中国語、フランス語、ポルトガル語、ドイツ語の観点から「Vてもいい/Vてはいけない」を確認しました。 ダイジェストでまとめると、今回の言語では英語のように、助動詞に類する言葉と動詞の原形を伴なって、許可を表すことが分かりました。 日本語学習者がこのテーマでひっかかるとすると、「て形」の作り方/覚え方なのではないでしょうか。 ■プラスα■ ★フランス語 「~てもいい」英語のcanに相当する

ハーフは自分の子どもに2つの言葉を教えるか

子どもの成長段階は言語だけに関わらず、おおよそ3つの壁があるらしい。 1つ目は2,3才。 2つ目は7才前後。 そして、最後が10~15才くらいの、いわゆる思春期。 まあ、幼稚園に入る時期、小学校に入る時期、中学校というのは、おおよそその時期と重なっている。 確固とした自我が芽生えたり、強くなっていったり、揺れたりする時期だろう。 言語でいうと、2,3歳までに聞いたことのない言語の発音を聞く力が失われるらしい。 それまではどこに生まれても、どの言語でも聞き取って、学んでいく

外国語学習に文法用語はどの程度必要か

先日の戦略に従って、「日本語教育文法II」から今クールの授業をスタートしている。 既知の事項が多いので、難しくはないけど、専門的な分類、言い回しが多いので閉口中。 例えば今日勉強している「副詞」。 副詞は、変化せずに「用言」を修飾する。 大きく分けて、「様態副詞」「程度副詞」「陳述/誘導副詞」に分かれる。 アカデミックに日本語をやってる人は別にどうとも思わないんだろうけど、一般の人が「様態」とか「陳述副詞」って言われて分からないよね。 用言は体言とかと一緒に学校文法で学習

「バナナでりんご」なドイツ語のund(and)

昨日の大学の授業で、複数の形容詞が重なるとき、1つ目の形容詞は「-て/で」になることを教えた。 い形容詞(学校文法の形容詞)は、「おいしくて、安い」、な形容詞(同形容動詞)は、「きれいで、元気」のように。 名詞もな形容詞と同じく、「-で」でつなぐ。 以前、動詞の重複も「勉強して、寝ます」のように、1つ目が「-て」になることは学習済。 そもそも第1課で助詞「と」が出てくるときから、口を酸っぱくして「と」は「名詞と名詞」にしか使えません!と言っている。 なぜなら、ドイツ語のu

小5「言葉の意味が分かること」

5年生の説明文読解単元「言葉の意味がわかること」(今井むつみ著)は、私の好きな単元の1つ。 改訂前の「生物は円柱形」もよかったなあ! だから、変わってしまって残念だったけど、補習校のように在外にいる子にとっては、「ことば」という切り口での話は面白いだろうと思う。 著者は、「言葉の意味が分かる」というのは、点でなく「面」でとらえるべき事項だとして、いくつか例をあげている。 例えば「コップ」。 どんなものを見せれば、「コップ」の説明にふさわしいか。 取ってのあるものかないものか

「ですます」体とDu(あんた)の矛盾

補習校で教え始めて、しばらくして、子どもたちの日本語のインプット絶対量がかなり少ないと気付いた。 日本にいれば自然に耳に入るような言葉が、外地では意図して親が話さなければ、子どもが覚えることはない。 簡単な例でいえば「ですます」体。 国際家庭の子女であれば、片親だけが日本語母語話者で、その人としか日本語で話をしないのだから、「ですます」体なんて耳にしないのだ。 まあ、もちろん絵本を読み聞かせるなどで、ゼロではないのだけど。 低学年のときは、取り立てて何も思わなかったけど、

外国語視点での「あげます・もらいます」

大学の海外メンバーの会を通じて、お声がけをし、文型の勉強会をしました。 教育実習のご予定が近い方がいたので、教科書「みんなの日本語」7課の「あげます」「もらいます」をとりあげました。 ドイツ語 ・「あげます」と「くれます」が同じなので、「私にあげて」などの誤用 ・「先生にあげます」(渡します)などの誤用 ・ドイツでよく使用する「geben」(give)「bekommen」(get)は一時的な受け渡しで、所有権の譲渡がなくても使えてしまう。 ・「宿題をもらう」などの誤用

ぷさんはBusan? アルファベット、ひらがなの表記の限界

前ゼメスターに引き続き、今年も韓国ルーツの学生さんが初級にいます。 留学生じゃなくて、両親韓国人、ドイツ育ちの学生さんです。 (国籍がどこかは分からない) 冬学期の学生もKimさんで、今学期もKimさん。 韓国は代表的な5つの苗字で人口の半数を占めるそうですが、またKimさんだ!と面白かったです。 あとベトナムはTranさんが多いです!(グエンさんが多いかと思ってた) 冬学期のKimさんは、カタカナ学習で自分の名前を書くとき、「ギム」がいいと言いました。 発音はそちらの方が

最近面白かった日本語/出来事

①文法「あります」「います」の練習 私「動物園に何がいますか。」 生徒「くまと、ライオンと、フェニックスがいます。」 私「えっ!? フェニックス(不死鳥)?! 鳥の???」 生徒「いいえ、犬?猫? 小さい・・・Feneck」 私「ああ! フェネックですね。ファンタジー動物園かと思いました。」 ②文法「Nがほしい/ほしかったです」の練習 私「子どものころ、何がほしかったですか。」 生徒「Stofftierは日本語で何ですか。」 私「ぬいぐるみ、です。」 生徒「ぬいぐるみが

【今日の授業】飲んで、飲んで、飲まれて、飲んで・・・

ドイツは5月とも思えない寒い日が続いています。 ようやくけしの花が見ごろになりました。 車から撮ったので、ブレブレだけど。 昨日が祝日だったので、振り替えが2つあったんだけど、うち一つは朝のうちに体調不良でキャンセルになった。 私も昨日休みモードで、大学のレポートにかまけて(っていうか、そっちも大事なんだけど)いたので、準備が終わってなかったから、正直ありがたかった! 午前1つ目のLさんとは引き続きN5の名詞から、今日はテーマは趣味と乗り物に関したものを説明してもらうとい

【授業報告】N5対策的な応用会話「ドイツはビールがおいしくて、きれいな国です」

対面でプライベート授業をしている9年生女子は日本への留学を希望中。 斡旋団体に登録し、オンラインでテストを今年度中(夏休み終了まで)に受けるように言われている。 私も推薦状を書き、とりあえずここのとろろはそのテスト対策。 テストはN5かN4レベルを選べるということなので、とりあえずN5対策。 語彙はクイズレットで単語帳を作成し、自分で勉強するように伝え、問題文の理解、N5文法を復習し、漢字もジャンルごとに勉強中。 金曜日の授業では、漢字のテーマを「人」にし、人父母子男友

「カラダにピース」の意味とは

日本から持ち帰ったカルピス原液を娘たちが割って飲んでいたところ、ドイツ人の夫が、 「これは何て読むの?」 と話しかけていた。長女が、 「『カラダにピース』だよ。体に平和を、体の調子を整えるという意味だよ。」 と説明するのを聞いて、 「えっ!? 平和???」 と思った。 私はもっと単純に「ピース✌」ってことだと思っていた! だから、体がいぇーい!って言って、喜ぶ、みたいな、簡単なことだと思っていて、そんな深い意味だと思っていなかった。 そう話すと、長女が、 「でも、ピースっ