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小5「言葉の意味が分かること」

5年生の説明文読解単元「言葉の意味がわかること」(今井むつみ著)は、私の好きな単元の1つ。
改訂前の「生物は円柱形」もよかったなあ!
だから、変わってしまって残念だったけど、補習校のように在外にいる子にとっては、「ことば」という切り口での話は面白いだろうと思う。

著者は、「言葉の意味が分かる」というのは、点でなく「面」でとらえるべき事項だとして、いくつか例をあげている。
例えば「コップ」。
どんなものを見せれば、「コップ」の説明にふさわしいか。
取ってのあるものかないものか、ガラスかプラスチックか、など。

また、いい間違いの例として、幼児の「唇を踏む(噛む)」、外国人の「スープを食べた(飲んだ)」を挙げ、さらに下図のような日中韓の語彙対応表を載せている。

光村図書小5国語「言葉の意味が分かること」より

これが、まさに私が今一番興味のあること!
対照言語学とか比較言語学とでもいうもの。
先日の勉強会で取り上げたものだ。

このときは、文型として挙げたが、言葉でやっても面白いと思う。

ちなみにドイツ語で上図は、「tragen」(Carry)「halten」(Hold, keep)でおおよそまかなえてしまう。
今、大学の日本語クラスにちょうど韓国語ができる人と、中国語ができる人がいるので、今度の授業のときに、この教科書を持っていって、本当かどうか聞いてみたいと思う。

筆者は、「言葉の意味を面としてとらえることは、ふだん使っている言葉やものの味方を見直すことにもつながる」という。
先日の勉強会がまさにそうだった。
ドイツ語と日本語がどこが違うのか、どうして違うのか、考えることがとても勉強になった。

また、文化的な背景を知ることにもつながるだろう。
例えば上図でいえば、「かかえる」という日本語は、中国語でも韓国語でもそのかかえる場所によって、言葉が異なる。
体の正面か脇かで、違う言葉を使うということは、こういう動作を頻繁に行っていたからだろう。

それにしても、中国語の語彙の豊かさには目を見張らされる。
学習するとなると大変だろうけど、それは文化的な成熟の証だと思う。

残念ながら、日本語は将来、語彙を減らしていくだろう。
何もかも「すごい」で済ませてしまう若者世代、そこから学ぶ外国にルーツのある人たちには、楽だろうけど。

「ことば」は生きている。
新しい言葉も生まれるが、死んでいく言葉もある。
また、意味が変わっていく言葉だってある。(「をかし」とかね)
今、この限られた時代ではあるが、日本語とじっくり付き合いたいと改めて思う。

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