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「ですます」体とDu(あんた)の矛盾

補習校で教え始めて、しばらくして、子どもたちの日本語のインプット絶対量がかなり少ないと気付いた。
日本にいれば自然に耳に入るような言葉が、外地では意図して親が話さなければ、子どもが覚えることはない。

簡単な例でいえば「ですます」体。
国際家庭の子女であれば、片親だけが日本語母語話者で、その人としか日本語で話をしないのだから、「ですます」体なんて耳にしないのだ。
まあ、もちろん絵本を読み聞かせるなどで、ゼロではないのだけど。

低学年のときは、取り立てて何も思わなかったけど、高学年を持って、「これはヤバイレベルでは?」と思った。
5年生になっても、発言のときに「わからない」、指示の答えが「どこやればいいの」など、常体のままだったからだ。

これはせめて私がインプットしなければ!と、そこから授業中は私も敬体(ですます体)で話すようになった。
中学生年代は今度は敬語を使おうとしたけど、私がうまくできず、今の高校生年代は辛うじて、敬語を使えている。
特にメールだとたやすい。

日本語を教えるときも、それにならって「ですます」を教える。
教科書を使っていても、最初は敬体からスタートだ。
私が使っているGenkiでは8課でようやく常体が出てくる。
大学でいうと、学習開始から2つゼメスターを取って、その終わりくらい!

ドイツ語には「敬語」というものはないけれど、英語のYouに相当する語が2つある。
大学の授業では敬称Sieを用いて授業しているので、いわば敬体で授業しているようなもの。
ここに矛盾はない。

しかし、個人授業ではどの生徒にも親称Duを使って授業をしていているのにも関わらず、日本語で「ですます」を使う。
Duは家族や友だちの間で使う言葉。
しいて訳すなら「あんた」とか男の子同士なら「お前」とか?
まあ、最初のレベルの方で日本人と話す機会があったとしても、「ですます」で話している場合に違和感はないと思う。

でも、問題は常体が出てきたあと。
普段、親称Duで話しているもんだから、日本語でも常体を使おうとするようになる。
「元気ですか」の問いに、「うん、元気だよ」と。

これじゃ、補習校の子どもたちでやばい!と思った状態と一緒だ!
かといって、小学生、中学生に敬称Sieで話すのはものすごくおかしい・・・

先生には「ですます」だよ、と教えることもできるけど、普段丁寧形をリスペクト形という言い方もしてしまっているので、自分を敬え!と言っているようで、口幅ったい。

ゼロから勉強し始めて、ここまで来た子たちが何人もいて、どこも困っているので、うれしい悩みではあるんだけど、はてさて、どうしたもんか。

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