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ぷさんはBusan? アルファベット、ひらがなの表記の限界

前ゼメスターに引き続き、今年も韓国ルーツの学生さんが初級にいます。
留学生じゃなくて、両親韓国人、ドイツ育ちの学生さんです。
(国籍がどこかは分からない)
冬学期の学生もKimさんで、今学期もKimさん。
韓国は代表的な5つの苗字で人口の半数を占めるそうですが、またKimさんだ!と面白かったです。
あとベトナムはTranさんが多いです!(グエンさんが多いかと思ってた)

冬学期のKimさんは、カタカナ学習で自分の名前を書くとき、「ギム」がいいと言いました。
発音はそちらの方が近いそうです。
でも、今学期のKimさんは「キム」でいいとのことでした。
こだわりの違い?!

これは今クール、音声学で勉強しました!
日本語や英語のBPと、韓国語や中国語のBPは、文字表記は一見同じに見えるけど、発音の仕方は同じじゃないそうです。
日本語のBは有声音、Pは無声音で、のどに手を当てて発音すると、Pは振動がありません。
でも、韓国語ではPは有気音で、Bが無気音という分け方で、唇を破裂させる前か後に声帯振動しているかどうか分けているそうです。

その中の韓国語中国語の無声(無気)両唇破裂音はBなんだけど、日本語ではPになる、と。
確かに北京ぺきんも、今の中国語(英語)ではBeijingです。
だから、釜山は「ぷさん」だけど、アルファベット表記だとBusanになるように、韓国語のBP、KGなどは日本語のバパやカガとちょっと違うのですね。

キムさんは、ドイツ語がほぼネイティブなので、留学生とは違って、PB、KGなどの発音の区別がちゃんとできるはずのなのに、「ルムシュタット」が「ルムシュタット」になってしまいます。
ドイツ語だとちゃんと「Darmstadt」と言えるんです!
不思議です。

あと、韓国母語話者あるあるの「おはようごじゃいます」。
ドイツ人のアクセント「おっよございまーす!」じゃなく、きれいなんだけど、「ざ」にならない。
ドイツ語では「Salz(ザルツ/塩)」が言えるのに。
(オーストリアのザルツブルクは「塩の城」)
時間がないし、別に困るほどおかしいわけじゃないので、一度指摘しただけで、個別じっくり指導はしないけど、母語の干渉は面白いなと思います。

そして、中国人留学生も、ダルムシュタットの「ダ」の理解も、これ!
斬新! かわいい。
日本語話者が中国語とかを勉強して、ひらがなで書くときはこう書いたらいいです!

日本人がLとRを区別できないのと似たような感じだと思います。
そもそも発音の仕方が違う。
それをアルファベットで表すのは無理ですね。(ラはRAでもLAでもない)

ちなみにドイツ語もBPは混ざります。
例えば、半分はhalbで、「はるぷ」と発音します。
語尾のBは「P」なんです。
でも、「半分の~」と名詞にかかるときは、halber(男性名詞が来るとき) halbe(女性名詞が来るとき)となって、「はるばー」「はるべ」と「B」になります。

同じようなことがKG、TDにも起こるので、Heidelbergはハイデルベルグじゃなくて、ハイデルベルクなのです。

でも、以前Kolbさんという人、自分の名前を書くときに「コルブ」と書いていたので、娘たちにこれ「コルプ」だよね??というと、「Bだから、コルブだ」というのです。
私が「コルプ、コルブ」と言って、どっちが近いか選ばせると「コルプ」が近いというのに、書く段になると、いや「ブ」と書くべきだ、と。
ドイツ人の変なこだわりですw

Jung(ユング)さんも、「ゆん」と書いていて、いや、確かにGは聞こえない(英語のEatingのNGの音)けど、これは日本人的に気持ち悪い。
音でいうと、もちろん「ng」なんです。
キングコングの「ン」の音です。
でも、これを「キンコン」って言われたら、鐘の音かと思っちゃう!
なので、いつも自分の好きなように書いて、というけど、ここは私のこだわりで、「グ」も書いて!とお願いしましたw

何かの説明をしたときに、よく韓国ルーツの学生は「うんうん!」とリアクションしてくれます。
最近だと「ニョロニョロ」(拗音の練習表にあった)も「ああ!」と驚いてました。

あと、丸付けも、「ドイツでは「✓」が正答だけど、日本でそれは誤答なのです。だから、私は日本式に〇をつけます」という説明のときに、「韓国でも〇です」と教えてくれました。

ドイツ育ちの中国人が「中国も!」というと、中国人留学生が「違う、中国も✓です」と返して、ドイツ育ちの学生が「ドイツの中国学校(補習校)では、〇でした」と訂正してました。

こんな風にクラスの中にいろいろなバックグラウンドの人がいると、日本はアジアだなあと思います。
欧州対アジアという対比になるのです。
特に韓国は近い!
お隣なんだから、そりゃ争ったこともある(ドイツがオランダやフランスと仲が悪いように!)だろうけど、世界という中で見たら近いんだから仲良くしようよ、と思うのでした。


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