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日本文化が「古くて・新しい」のはなぜか?<極私的考察>

文化って言葉からは、歴史の重みや由緒正しき伝統のような、重くて堅苦しいイメージが同時に浮かんできます。

しかし実際、私が日本画を通して触れた日本文化って、そうじゃないんですよね。

斬新で新鮮で本質的な印象があるし、ぱっと視界が開ける感じがある。
これはどこから来るのかな?って思っていたのです。

目次
1. 「Reframe」というきっかけ
2. 日本文化の感性は、多角的で多面的
3. 体験があるから、成長・変化を促す
4. 日本文化が「古くて・新しい」秘密

1. 「Reframe」というきっかけ

最近、「リフレーム」という言葉にご縁があります。
私がスタッフである、不登校児のための居場所づくりの団体名も「Reframe」。

そして、先日参加したワークショップも「日本の美意識でリフレームする」と言うタイトル。
日本の美意識とリフレーム…?
ピンと来ないと思いつつも、「日本文化」と「美意識」という、私の興味どんぴしゃキーワードだったので申し込み。

リフレーム(英語:reframe)とは・・・
再び形作る、再形成する、計画や枠組みを組み立て直す、などの意味の表現。「作る」「計画を立てる」といった意味のある英語「frame」に「再度」の意味の接頭辞「re」を付けた言い方。(weblio辞書より)

武蔵野美術大学の主催するそのワークショップは、長年プロダクトデザインに従事してきた山崎和彦教授と、「日本の発想研究会」メンバーが主催でした。

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ワークショップは、5名のパネリストからの「日本文化とは?」というプレゼンからスタート。
その中で、私が印象に残ったのは、日本文化の感性の特徴として「両極もしくは異なるイメージを同時に内包する」というポイントを数名が挙げていた事でした。

具体的な例では、
・和歌において、上の句で過去の華やかな春山を述べることで、下の句での今の侘しい夕暮れの荒屋暮らしを際立たせる。

・贅沢に技巧を凝らした建築だからこそ、シンプルで装飾を省いた造りにする。

・春の咲き誇る桜、その散っていく姿も日本の人々は愛する。

などなど。


2. 日本文化の感性は、多角的で多面的

冒頭で書いたように「日本文化って、不思議だなあ。古いものなのに新鮮で新しいんだよな…」と謎に思っていた私。

その不思議の秘密が、このポイントにあるように感じます。

「両極もしくは異なるイメージを同時に内包する」ということは、
複数の視点や価値観が含まれていることになる。

つまり触れる人に複数の視点をもたらす、多角的で多面的な感性。

この辺りの特徴を踏まえて、主催の山崎和彦教授は、日本文化は「リフレーム=新しい視点をもたらす」とおっしゃっていました。

なるほど、だからこのワークショップタイトルだったんですね。


3. 体験があるから、成長・変化を促す

そうした「リフレーム」=今までと異なる景色が見えてくる、物事の新しい側面を知ることができる。
…だけじゃない。と私はワークショップを通じて感じました。

日本文化に触れた時、自動的にその内包されるいくつかの視点から刺激を受け、自分なりに試してみることができる。
つまり、疑似体験できるってことですよね。

複数の視点や価値観を、イメージの中で「体験してみることができる」点も、日本文化の特徴と言えるのでは?と私は思いました。

日本文化を通して、脳内で、華やかな世界と寂れた世界を行き来してみたりする訳です。
すると、快不快も生まれるし、感情も味わいます。
リアルに心が動くので、自分の体験として味わうことができる。

そういえば、主催の山崎和彦教授は、今の時代はオンラインで様々なことが行われるようになっているが、重要なのはそこに「体験」があるかどうかだ、とも述べられていました。

つまり。

日本文化に触れると、多角的な思考が身につき、応用力や理解力の幅が広がる。
しかも「体験」が伴うから、自分ごととして習得できる。
めちゃくちゃ人間的な成長・変化を促すちからがある文化!!ってことではないでしょうか。


4. 日本文化が「古くて・新しい」秘密

過去にないくらい、日本文化に目を向け、その価値を残していこうとする若い世代が増えている体感があります。

それは「古いから、伝統があるから、大事にしなきゃいけない」みたいな道徳ではなくて、感覚的に「ここには自分たちを成長させてくれる何かがある」とキャッチしているからかもしれません。

私は、冒頭で、日本画を通して触れた日本文化についてこう書きました。
「斬新で新鮮で本質的な印象があるし、ぱっと視界が開ける感じがある。」
これもまさに、日本文化に触れた結果、新しい自分や成長に対して感じていた感想だったのだと思います。


伝統や文化って、歴史があるから残るんじゃない。

成長や変化を促す文化だからこそ、
「発展していくために必要な知恵」として、残されていくんだ。

つまり、伝統の中に、未来がある。
それが日本文化が「古くて・新しい」秘密。

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以上、ワークショップに参加しての気づきfeat.極私的考察でした。
自分としてはすごく腑に落ちて、参加してよかったな〜と思う時間でした。
超個人的な備忘録なので、主催者側の方達の意図と違う受け取り方をしている可能性もあるかもしれません。もし…そうだったら…すみません。


ありがとうございます。サポートは、日本画の心理的効果の研究に使わせていただきます。自然物由来の日本画材と、精神道の性質を備える日本画法。これらが融合した日本画はアートセラピーとなり得る、と言う仮説検証の為の研究です(まじめ)。