『シ』の起承転結
あたいは「庖」という牛の解体人だ
まともな事について胎教されたいません
但し生まれた時より、包丁の持ち天性を持つ
そして年の足しにつく経験により
薔薇(ばら)肉と炙ら(あぶら)の泡、
そして冷たい白い骨に纏わる
シタイの解体幻想の調べについてをよく学んだ
あたいの結論は、それが「起承転結」と言う「予定調和」ではなく
「斬る、斬る、少し黙ってて、そしてまた斬る」
北地の青銅制のゴングたる板の発する愉快な烽火(のろし)声だ
もしくはまるで豚の叫び声みたいに
黒き剛毛で、歯をむく、巨大な、突進してくるときのうめき声と
それを地上に聳え立つ黄銅制な万里の白い雲の大壁の持つ城を
ただ一匹の猪がその大壁に風穴を開けるとき
嗚呼 その美しく、若く、真実の種をまく『シ』の黒風よ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?