「世迷い言。」/ショートストーリー

何故。
人間という生き物は不老不死など望むのでしょう。

なんででしょう。
他の生き物からそんな望みはきいたことがないのです。
ところが。
権力や名声とかお金など、多くを持てた人間ほど願う望み。

ひとつの人生とか物語に固執しているような。といつも思ってしまいます。
きっと実際に不老不死になったことがないからなのでしようね。

たくさんの時間を過ごすと言うことは。
もちろん。
メリットはあるのです。
それは。
何度でもやり直すことができるということ。

こういう形や色にしたかったのにと心を痛めても。
何度でもやり直して最終的に自分の思っていた形や色に仕上げられます。
普通の時間ではこうはいかない。

でも。
それもいつか飽きてしまうことになりますが。

それとも。もっと別に。
私のようなものが考えつかない理由があるのでしょうか。
若さとか美貌とか強靭な肉体とか。

それらは儚いものだから美しいというのに。
これは。
私の偏見です。

それで。ほとんどは。
望みは叶わないまま、じたばたと醜く終わってしまうのです。

終わりは終わりでなくて始まりであることに。
気がつかないまま。

たまにおります。不老不死になったものが。
でも、これもおかしなことに本人が望んだことではない。
神のご加護だと言うものがおりましたが。
はっきり言うと神の無慈悲からくる仕打ちです。

永い永い時間を過ごすことの苦痛。

こんな世迷い言を話す私は。

循環という美しいサイクルに乗りたくないという人間に。
詐欺まがいの知恵を授ける人でなしです。

私自身が永い時間を過ごす苦痛からいっとき逃れるために。
思いついたお遊び。