「恋みくじ。」/ショートストーリー

私にはふたりの親友がいて。

ひとりは私が恋しているひとで。
もうひとりは本当に心から大好きだと思っているひと。

3人ともみんな、お互いを親友だと思っている。と私は信じている。
それでも、やはり友情に恋がはいると関係が変わってしまうのは避けられないのもしれない。

だから私の恋は秘密にしなくては。なんだかドラマか小説のよう。
溢れる想いはどうしようもない。

最近。とても苦しくて。やっぱり無理があるのかな。
それでも。
お正月に3人で旅行するのは楽しみにしていた。
この閉塞した感じから逃げ出したくもあって。
気晴らしになるはずだ。

旅行は、どうしてもこの神社に行きたいという希望があって関西になった。
そこは布忍神社という。とても有名な御神籤があるらしい。
恋みくじというその御神籤を私は知らなかった。
とても御神籤とは思えない内容らしい。

検索したら面白いと言えば面白いけれど怖いことも書いてあるみたい。
「その女と別れろ。」などと書いてある御神籤は引きたくない。

それで2泊3日の3日目。帰る間際に神社にお参りすることになった。
3人とも神妙な面持ちで御神籤を引く。
御神籤を引く前に約束したことがあって。
帰ってから御神籤を見ようねって。
なんでだろうね。そんな約束したのかな。

私は帰ってきて旅行バックをそのままに御神籤をあけてみた。
私の恋みくじには。
「どうにもならないことがある。」
私はなんだか涙が出てきて座り込んでしまった。
そう。私の恋はどうにもならない。
私の恋しいひとである芽衣は、私のこの恋心を多分受け止められない。
それに芽衣が好きなひとはもうひとりの親友の陽斗はるとの方。

この恋はやはり封印しよう。すべきなのだ。

その頃。
芽衣と陽斗はるとも恋みくじをあけていた。
芽衣の方には。
「その愛でいいのか。」と書かれていた。
そして陽斗はるとの方は。
「許してくれてもいい頃なのでは。」

芽衣は陽斗はるとが好きだった。
でも。大事な親友の梨花もきっと陽斗はるとが好き。
そう思い込んでいた。

陽斗はるとが好きなのは梨花の方だった。
陽斗はるとは3人の関係が変わっても自分の恋を実らせたかった。
いつかは許して欲しいと願っていた。ただ。
その想いを御神籤として見たときにひどく自分が身勝手だと感じた。

3人が会って恋みくじの話しになったとき、みんな笑いながら
「人は見かけ。」だったと話した。3人とも検索したところから一番無難なものを選んだのだ。

やっぱり面白い御神籤ね。関西だからかなと言って終わりになった。

そして3人の恋も終わりとなった。



この作品は千世さんの投稿記事からヒントいただきました。
ありがとうございます。



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