見出し画像

因果応報の種まき

黒田官兵衛が、安楽椅子探偵で荒木村重が刑事?という歴史ミステリーです。

荒木村重には、いいイメージがないです。黒田官兵衛を幽閉し、城を抜け出し妻を見殺しにした人?

NHK大河ドラマ『軍司黒田官兵衛』では、岡田准一さんが官兵衛で、田中哲司さんが荒木村重でした。

黒牢城    米澤穂信

本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の智将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。

因ではじまり、3つの事件があり、果で終わり、なるほどそうきたか、というみごとな伏線回収の中にはせつないその時代の宗教観や死生観が伺われます。

因果応報

悪いことをすれば悪い結果になり、良いことをすると良い結果になる。

村重の蒔いた種(因)は殺さないことでした。

信長なら、殺す、ならば、殺さぬ。信長の逆を為すことを決めいていた。

官兵衛も牢屋の中で種を蒔いてました。

家臣も民も、村重の妻も、それぞれの種があります。

どの種が良い実をつけたのか、死ぬことが良いことなのか、
生きることが良いことなのか。

戦国時代にあっての武士の在りよう、死に対する考えと
民にとってのそれと信じるものは違います。

だけど宗教が南蛮であっても一向宗であっても、宗教を持たなくっても、願いや生きる希望、生きる苦しみは現在でも同じではないでしょうか。

死が身近にあった戦国時代の中での多様性、それぞれの立場によって因果が巡ります。

神の罰より主君の罰おそるべし。主君の罰より臣下百姓の罰おそるべし

後の黒田官兵衛が遺した言葉だそうです。

強いもの(宗教、武士、主君)だけでなく、弱者(家臣、民 妻)へ心配ることを大事にする、ということもやはり現代にも通じることかもしれません。

なにが良い種かわからないけど、自分なりに良い因を考えて日常を大切にしていきたいと思いました。

村重さん 知的で細やかで「聞く力」のある方とイメージが変わりました。



この記事が参加している募集

読書感想文