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かなしく死ねるように思われた、太宰治の愛した宿

太宰治の「姥捨うばすて」は、小山初代さんとの心中事件が題材となった作品です。谷川温泉が舞台で『旅館たにがわ』の前身である『川久保屋』の老夫婦が登場します。太宰治は、『川久保屋』に療養のため1ヵ月近く滞在し、『創世記』を執筆しました。

2泊3日の登山、トレッキング、ラフティングを楽しんだ際に『旅館 たにかわ』にお世話になりました。

チェックインは、フロントに立ったままでなくきちんと、ロビーのソファに座ってで、食事の時間と夕食の岩魚を塩焼きにするか、唐揚げにするか、朝食の魚は鯖か鮎かの好みを聞いてくださいます。好みの浴衣を選び、部屋に案内していただきました。

谷川岳の南面の麓の部屋からの眺め。部屋からこれが見えます!!

案内していただいた方に、「靴下洗濯します」と言われましたが、靴下でなく登山のときのアームフォーマーとマスクをお願いしました。旅館の専務さん、お会いしてませんがトライアスリートだとか。サイクリストにも優しく、バイクジャージも洗濯します、とHPにありました。

お部屋のテーブルにもお茶菓子がありましたが、冷蔵庫に冷たい水菓子と山菜がありました。買ってきたビールでいただきました。
かき氷のサービスもあります。冬は蒟蒻だそうです。夕食後はフレッシュジュースのサービス。
旅館HPから。 江戸時代から湧き続ける谷川温泉は、無色透明(アルカリ性単純泉)で湧出量が多いため清潔で健康的な温泉です。ゆっくり温まることにより婦人病、皮膚病、神経痛等20種以上の効能が認められており、薬湯としてもご利用いただけます。

登山で疲れた身体にやさしい温泉でした。
夕食は、個室でゆっくりいただきました。

太宰治にちなんだカクテルが数種類ありました。これは「走れメロス」で靴ですね、カシスとスパークリングワイン。
群馬の地酒飲み比べセット
谷川温泉限定発売 純米酒 左大臣
焼き茄子と素麺南瓜のアーリオオーリオ ルッコラ 糸唐辛子 焼き柿 菊菜と舞茸の浸し 揚げ小蕪 ザクロ 胡桃味噌掛け 上州牛のすき焼き鍋 
和風乾酪ロワイヤルオニオンスープ掛け 雷魚の糸造り ギンヒカリ 花造り 季節の芽物いろいろ
岩魚の塩焼き
鶏のつみれ 冬瓜 キノコ つるむらさき 柚子胡椒
たにがわちぎりっこ椀 みなかみ産コシヒカリ 香物 小豆のムース りんごのコンポート(デザートの画像なし)

群馬の食材をふんだんに使った、やさしく懐かしいお料理でした。お米が美味しい!!

朝食前に温泉に入り、ロビーの囲炉裏で舞茸のお味噌汁をいただきました。
朝食はハーフバイキング。小鉢のおかずは、自分でセレクト。
ご飯・お魚・手作り豆腐・煮物・香物はサーブしてくださいます。

お米が美味しくって、おかわりしちゃいました。

リラックスルーム。マッサージ機、ゆりかごチェア、健康グッズや雑誌があり寛げます。
旅館HPより。太宰治ミニギャラリー。太宰治が当時宿泊した川久保屋の部屋を再現したものです。山崎富栄、小山初代さんなどの資料や、太宰治が使用していた定期券などの貴重な品々もあります。
写真展のギャラリーもありました。
足湯
暖炉
バイクラック
旅館の駐車場が、前身の『川久保屋跡』で文学碑がありました。

宿から2kmぐらいのところにも文学碑があります。

上杉謙信さんもこのあたりの井戸の水に救われたようです。
若山牧水も谷川温泉に訪れていました。

マイルがたまっていたので、JALクーポンにしてそれが使える旅館ということでこの旅館にしました。おかげでほとんどクーポンで支払うことができました。

「水上に行こう、ね。」(中略)白い夕立の降りかかる山、川、かなしく死ねるように思われた。水上、と聞いて、かず枝のからだは急に生き生きして来た。

太宰治『姥捨』

嘉七は、水上の美しい自然の中での死を意識し、死を覚悟したはずのかず枝のずぶとさを感じます。

かず枝は、水上の宿のおばさんと気が合っていて。

「真綿だよ。うちで紡いで、こしらえた。何もないのでな。」

太宰治『姥捨』

宿の老婆が、宿を立つ嘉七とかず枝を追いかけてきて、手作りの真綿を手渡してきたようなほっとする気遣い。

それは、靴下を洗ってくださるサービスややさしいお料理につながって、引き継がれていると感じました。

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