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ひとりは自由で正直に

noteには旅好きの方々が多く、自分もそこに行った気になれ楽しませていただいてます。夫婦で、ご家族で、ひとりで。

女ひとり旅のお話です。

47都道府県女ひとりで行ってみよう  益田ミリ

日本には47都道府県もあるのに、行ったことがない場所があるというのはもったいないなぁ。というわけで、全部行ってみることにした。33歳の終わりから37歳まで、毎月東京からフラッとひとり旅。名物料理を無理して食べるでもなく、観光スポットを制覇するでもなく。その時の自分にちょうどよいペースで、「ただ行ってみるだけ」の旅の記録。

幻冬舎文庫

おもしろいっ!思ったまま、感じたままの正直な旅の記録になるほど、と肯いたり、そうきたかとびっくりしたり、それでいいのかと安心したり不安になったり、くすっと笑えたり、楽しめました。

歴史も興味なく、豊臣秀次が誰だかわからなくっても気にならず、早く東京に帰りたい、と思ってしまったり。地方の名産物だからと無理して食べず、デパ地下で買ったものをビジネスホテルで食べたり。

初めはきれいだとか、美味しいだとか誰ともわかちあえないのは淋しいものだと思っていたのに、ひとりでも淋しくなくなりつつあるのに、「ひとりで淋しくない?」と声をかけられてしまう。

ひとりが恥ずかしい、ひとりは気の毒と思われているのではないか?

ひとり旅の女が、淋しく見えないようにするにはどうすればいいだろう?もうひとり旅なんてしたくない。こんなことやってなんになるわけ?そんな気分でも山形で足湯で温まりながら川で魚を釣っている子供たちを眺めているうちに、ひとり旅、元気が出たなぁ、となったり。

岐阜の長良川鉄道の車窓の美しい景色と高校生の「キュンとする若者たちの恥ずかしい会話が騒がしかったけど、面白かった」

あの子たちはなんと美しい通学路を利用しているのだろう。お金持ちの学校に行っていたことを自慢する人よりも、通学路が美しい景色だったと言えるほうが、なんか「勝ち」って感じがする。

何かを学ぶわけでもなく、自分探しでもなく、何かを得るためでもない。ただ自然に正直に自分の感性、素のままでいること。いつも堂々としているなんて嘘っぽい。

ひとり旅ができる環境。自由に使えるお金と時間。誰かに気兼ねする必要のない自分。ひとりはさびしいこともあるけど、自由にひとりを楽しむこともできます。

正直でありたい、そう思える本です。

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