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【松阪市協力/観光協会公認】地元を再編集するデザインチームが考えた”松阪偏愛モニターツアー”

はじめまして。誰も知らないでご存知、〈vacant〉(バカント)の中瀬理恵と申します。〈vacant〉とは、三重県松阪市在住、明るい5人組の地域特化型デザインチームである。今回、松阪偏愛モニターツアーの企画&現地ガイドを務めさせていただくわけです。早速ですが、見どころの前に、まず松阪がどんな町なのかご紹介します。

縦に長い三重県のちょうど真ん中あたりが松阪。帯状に広がる土地柄、一言で松阪といっても商店や飲み屋街で賑わう駅付近から、キツネや鹿が日常的に出没する山や川に囲まれた自然豊かな田舎まで、さまざまな習慣や文化が混在する町。その歴史は深く濃く、この町を愛した偉人たちも多い。

駅前ロータリー公園の鈴は、国学者・本居宣長ゆかりの遺品「驛鈴(えきれい)」を模したもの。
松坂城裏門跡を出た先にある「御城番屋敷」は、松坂城三ノ丸の中だった場所。現存する武家屋敷では、最大規模!

そう、私たちのパイセンはすごい!

まず外せないのが、蒲生氏郷。「松坂城」を築き、敵から町を守るだけでなく、寺や神社を作り、経済的にも発展するよう町を作り上げた戦国武将。今でも彼の痕跡を町のいたるところで見ることができる。 

続いては、松阪が“豪商の町“と呼ばれる礎を作った三井高利。この町が発展したのは、彼の存在があったから。そんな三井高利が生誕して、今年でちょうど400年。そして、来年は三井越後屋創業350年のアニバーサリー。 “現金掛け値なし“、“店前売り“といった今の商売の当たり前を作った彼から学ぶことは多すぎる。そして、この機会に松阪という町や松阪もめんを、今一度見つめ直したいと思っている。私たち得意の偏愛たっぷりの目線で。

「越後屋」本店があった場所(ポケットパーク)に設置された「来遠(ライオン)像」。三井家と松阪市の歴史と未来をつなぐ象徴として、三越伊勢丹ホールディングスより松阪市に寄贈された。

そして、松阪を代表するもうひとりのレジェンドといえば、本居宣長。人間のどうしようもない情けなさや悲しみ、そして可愛らしさを“もののあわれ”という言葉で表し、たくさんの和歌も詠んだ江戸時代の国学者だ。ところで、彼が描いたまだ見ぬ日本や実在しない世界を描いた地図を見たことがあるだろうか? 国学者の顔のほかに、医者でもあり、文献学者や言語学者でもあり、頭ぶっ飛びまくりの稀代のクリエイター。知性と興味に満ち溢れた彼の人生に会いに行こう。

また、青春時代をこの町で過ごし、名実ともに日本を代表する映画監督となった小津安二郎も松阪を愛したひとり。もしかしたら、『東京物語』や『秋刀魚の味』といった素晴らしい作品も、この町を歩きながら思いついたのかもしれない。「あぁ、これを伝えたかったのかな」なんて感じながら、町歩きを楽しんでもらえたらと思う。

松阪の歓楽街、愛宕町。愛宕町商店街振興組合から通りの命名権をもらった〈vacant〉は、まずこのエリアの愛称を考案。「ドラマチックストリイト」と名付けた。

飛び抜けたものがないというのもアリ。

ところで、どうしてこの町が好きなのかを改めて考えてみた。家族や友人がいるからか? 生まれ育った場所だからなのか? いやちょっと違うな。ほどよい田舎だからいいのかも。買い物にも不便せず、どこへ行くのもそんなに遠くない。人もほどよい多さで混まないし、雪が積もりすぎることも、雨が降りすぎることもない。今まではコンプレックスだったけど、よくよく思えば飛び抜けたものがないというのもアリじゃん。デッカい大仏はないけど、いつも行ってる酒場も、仕事帰りに寄る喫茶店も、昔からあるあの店もこの店もあの人もこの人も。これって、ちょっとした自慢だし観光資源じゃない?

いなばや(びっくりうどん)
朝6時半からやってるところからしてビックリだが、それが名前の由来ではない。びっくりするほど大きいうどんっていうシンプルな理由だ。テーブルにうどんが届いたなら代金を払う。これがスムーズでツウ。泊まりの人は、朝からガッツリ食べてさぁ繰り出そう!そおそお、「びっくり」って付くメニューを頼むとびっくりできるよ。店主の勘定間違いはご愛嬌。

もともと商人の町として発展し、お伊勢参りの人々をもてなす宿場町として栄えたこともある松阪には、今でもチャキチャキの商売人が多い。そして、何より食べ物もおいしい! 海の方へ行けば新鮮な魚、牡蠣、あおさのりetc.……。山の方へ行けば、椎茸栽培が盛んで、肉厚でジューシーだ。そして、やっぱり肉。松阪牛はもちろん、松阪豚や少しずつ注目を集めている鶏焼肉は、われわれの町のソウルフードと言ってもいい。そのほかにも、いいものはいっぱいある。ただ、残念ながら知られていない。よく目にする情報誌では得られない魅力がギューギューなのだ。

合言葉は、偏愛と純愛。
町おこしならぬ、人おこしだ。

この町に「何が必要で、何が必要じゃないのか?」。日々、そんなことを考えながら、松阪を盛り上げるという課題に挑んでいる〈vacant〉。偏愛と純愛を兼ね備えた“地域特化型デザインチーム“である。そんなわれわれが活動拠点として、昨年11月にオープンさせた場所が「MADOI」。本居宣長が夜な夜な仲間と集い、和歌を詠んだり、勉強したりしたというサロン、“円居“(マドイ)からその名を頂戴した。いろんな人が出入りし、学び、遊ぶ。カフェ機能も充実した町の集会所となることを目指して作った場所。今回のツアーも、ここが集合場所。みんなで松阪の名物駅弁「モー太郎弁当」を食べてから、町に繰り出す。 

ちなみに今回のツアーは、私たちの作った『松阪偏愛マップ』の具現化を目指した。私たちの町の自慢や偏愛度を表す、独自基準”バカン度”でスポットを選定。ちなみに、“おばあちゃんが今もある、あの店の思い出話を孫にできる”が、最重要加点ポイントのバカン度だ。

このマップは松阪市長も応援してくれていて、 D&departmentが発刊する『d design travel 』三重号にも挟み込まれている。

きっと町づくりには「珍しいハコ」ではなく、「人と人」をつなぎ、自然とコミュニケーションが生まれるツールが必要なんだと私は思う。例えば、『松阪偏愛マップ』のようなメディア、遊びに来てくれた人と地元の人が喋れる「MADOI」のような場所とか。外の声を聞くことで、私たちは地元の価値を理解する。訪れた人には、歴史や人物を知り、今を生きる町を体験してもらう。飾ることなく、等身大でおもてなしすることで訪れた方に本当の松阪を楽しんでもらう。背伸びをして伝えるつもりもないし、PRが目的でもない。一言でいうなら、町おこしならぬ、人おこしだ。 

日帰りもよし、1泊するもよし。私だったら1泊して、翌日は「伊勢神宮」に初詣に行っちゃうな。「外宮」のある伊勢市駅まで電車で20分、30分ちょっとあれば、お参りに行ける。かつては宿場として栄えた松阪。今回のツアーに参加すれば、現代版のお伊勢参りだって楽しめる。

わたしが好きなほどよい田舎、松阪の魅力。行政の情報誌や観光雑誌では、あまり取り上げられない、いつもの店や当たり前をローカル目線でギュッと濃縮してつくったニッチャートラベル。みなさんにお会いできることを、メンバー一同楽しみにしています!

左から羽根ちゃん、私(理恵)、じゅんこ、よーへー、代表

地域特化型デザインチーム vacant

私は商店街にある小さな食堂の店主/理恵
お店を作るのが好きで最近7軒目の店をはじめたところ。と書くと、なかなかのヤリ手と思われるかもしれないが、決してそうではない。ほとんど辞めている。辞めては始め、また辞める。7軒目にしてやっと気づいたことがある。店づくりとは町づくりかも。いい町にはいい店があり、古くから続く老舗と呼ばれる店も、若い人たちが始めたこれからの店も町の色になっていく。だんだん根付いたそこは生活となり、そこを目指して誰かが訪れれば思い出となる。だから辞められないんだ店づくり、いや町づくりは!
 
“馬鹿“担当/羽根ちゃん
本職はWEBデザイナーとか言って気取ってるけど、ただのオタク。みっちり偏愛でできあがっている。みんながちょっとでもトレンドを追っかけたなら、流行レフリーの笛を吹く。そーだったそーだった、ごめんよ羽根ちゃん。私たちがやるべきなのはコッチ!偏ったあったかい愛って素敵だね。みんなに伝われーって思っている。
 
チャーミー担当/じゅんこ
そんな私たちの偏愛をカタチにしてくれる、グラフィックデザイナーだっ。彼女の作るものがクライアントの人生をどれだけ豊かにしたことだろう。本人がいちばん気づいてないけど、文字ひとつやイラストの隅々に感じるデザインへの純愛。それを『松阪偏愛マップ』に注ぎ込んでくれた。
 
税理士くん/よーへー
採算度外視なメンバーを支える最年少メンバー。やりたいことが頭の95%を占める私たちが、後回しにしてしまう大事なお金マネーの管理人。長く馬鹿やりたいんだったら、ちゃんと計算しなくちゃね。気づきました? そう、彼が〈vacant〉のキーマン。前へ進むためには目をそらしちゃいけない現実をいつも見せてくれる(泣)
 
vacant&松阪偏愛ツアーの首謀者・代表/中瀬
明るい仲間4人を集めたのが、サッカーとジャパニーズラップが好きな社会不適合者。毎日天井を眺めながら過ごすことを喜びとし、マイペースの代名詞として生きる。かと思いきやクリエイターとして売れたいのでややこしい。社会にハマれない彼の繊細な気付きはいつも頭が祭っている我々を鎮座させる。最近“町づくりプランナー“を名乗った彼に期待している。異常なまでの地元愛が際立つ。


【松阪市協力/観光協会公認】地元を再編集する
デザインチームが考えた”松阪偏愛モニターツアー”(現地集合・解散型ツアー)

日程:第1回 1月14日(土)  第2回 2月11日(土)
時間:集合11:45〜20:00解散予定

※集合時間までに各自で集合場所MADOIまでお越しください

定員に達したため、募集を終了しました。

ABOUT TOUR : ツアー詳細

12:00~13:00 アイスブレイク・昼食/MADOI (マドイ)(約60分)

松阪駅から徒歩5分、〈vacant〉が運営するベースキャンプ「MADOI」にて、『松阪偏愛マップ』を片手にツアーガイダンスを行います。また、ランチには、「駅弁のあら竹」の松阪名物駅弁“モー太郎弁当”を食べながら、ぴーちゃんこと新竹浩子社長からお話を伺います。

駅弁のあら竹(モー太郎弁当)
松阪の名物駅弁といえば、「駅弁のあら竹」の“モー太郎弁当“で決まり。黒毛和牛の赤身と脂身が絶妙なバランスで、一度食べればヤミツキのジューシーさ。真っ黒の凛々しい牛さんの蓋を開ければ、唱歌「ふるさと」が流れるという新竹一族のユーモアが全開している。他にも美味しくておかしなお弁当はたくさんあるが、私がオススメしたいのは、スタッフの皆さんだ。とにかく社長のぴーちゃんがやばい。駅弁をきっかけにファンになる人続出だ。松阪駅に降り立ったなら一度暖簾をくぐってみてほしい。運が良ければ会えるかもしれない。

雑誌『POPEYE』(2016年8月号 No. 832)「まだまだ知らない弁当の世界」でも紹介された“モー太郎弁当”。日本のトップオブラッパー 漢a.k.a GAMIもフリースタイルしちゃってます。

↓徒歩

13:30~15:00 施設見学-学芸員ガイド付き-/本居宣長記念館(約90分)

松阪が生んだ国学者、本居宣長の墓地のある「樹敬寺」を通りながら、記念館へ移動。通常とは違う視点で学芸員さんに施設内の展示などをガイドしてもらいます。偏愛ツアーでしか聞けない特別な解説が聞けるかも!

本居宣長記念館
vacant は、19歳の宣長が描いた架空の都市図「端原氏城下絵図(ハシハラシジョウカエズ)」の区画を分譲販売し、「本居宣長記念館」の支援をクラウドファウンディングで募る「NORINAGA RE:VISION」プロジェクトを企画。販売開始3日で55区画が売り切れ、2021年には町内会をリアルイベントで開催した。

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15:15~16:00 施設見学/豪商のまち松阪 観光交流センター・松阪もめん手織りセンター(約45分)

ふたつの施設では、偏愛ではなく純愛を体験。松阪の王道=純愛を知ることで、今ツアーがどれだけニッチかを体感してもらえること間違いなし。松阪市観光交流課の福山桂さんをお招きしトークセッションも実施します。

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16:00~17:00 市街地散策/松阪偏愛マップ記載スポット(約60分)

『松阪偏愛マップ』に掲載したスポットを中心に散策します。〈vacant〉ならではのガイドで、ローカルな体験をお届けします。「本居宣長宅跡地」「三井家発祥地」、「豪商ポケットパーク」「丸中本店」などなど。

丸中本店
この辺りでお肉を買うなら丸中さん。創業70年という昔ながらのザ・町のお肉屋さんだ。ショーケースに並んだ美しいお肉は自社牧場で育った丸中和牛と信頼の畜産農家さんが育てた松阪牛。私は大事な人への贈り物はここのお肉と決めている。揚げ物も売っているので、夕飯のおかずを買いに立ち寄る人も多い。揚げたてサクサクのコロッケを頬張りながら町歩きもいい。全国発送もお手のもの。家に帰って、すき焼きを食べて松阪を思い出してほしい。

17:00~18:00 フリータイム(約60分)

スタート地点の「MADOI」へ戻り、ツアーの振り返りや〈vacant〉メンバーや参加者同士のコミュニケーションを楽しむ時間とします。

18:15~20:00 松阪肉パーティー/一升びん平生町店(約100分)

松阪牛焼肉の有名店「一升びん」にて、市外にはほとんど出ない松阪牛のホルモンや25度の甲類の焼酎をオリジナル梅シロップで割った名物の“梅割り”など、ここでしか味わえない食体験を!※ご夕食:セットメニュー・ドリンクお一人様1杯付き

一升びん 平生町店
もはや松阪にとどまらず、その名を全国に知られる「一升びん」。たくさんある店舗の中でもぜひ訪れてほしいのが、平生町店だ。まず店構えがたまらない。一歩踏み入れば、ノスタルジックな雰囲気に興奮状態。かと思いきや奥へ奥へと増築されたであろう不思議な席も。肉の美味しさはもちろん、ぜひ呑んでほしいのが“梅割り”だ。危険なほど呑みやすい。ほどよく食べて呑んだら夜の歓楽街へ。

20:00~ ナイトツアー/歓楽街 愛宕町(自由参加)

平生町店のすぐ隣は松阪唯一の歓楽街の愛宕町。その昔、赤線地域で遊郭だった松阪の夜の文化がつまった街をご案内します。「ちょろ松ふみ」や「スナック一(はじめ)」など。まだまだお付き合いいただける方、もっともっとディープな松阪を体験したい方はぜひ!

ちょろ松ふみ
焼きそば、焼うどん、お好み焼きとメニューは豊富だけど、やっぱりまずは“ちょろ松”を。薄く伸ばした小さい生地にたっぷりのネギと鰹節と紅生姜。ヘラで返す手際の良さに、お酒を呑む手も止まるほど釘付けになる。1人前5枚なんてペロリの美味しさ。みんなに愛される松阪のソウルフードだ。ちなみにおばちゃんの顔写真はNG。めちゃめちゃ撮りたくなること間違いなしだから、手元だけお願いしてみて。
スナック一(はじめ)
愛宕町のスナックといえば、「一(はじめ)」。オープンしてから長く働くお姉さんも多く、この町のことも、訪れるお客のこともなんでも知っている。そんな明るいお姉さんたちをまとめるママとデュエットしたならもうここの虜。お酒を呑みながらママの美声に酔いしれる。あぁいい夜だなぁ。今日がどんな一日でも大丈夫。愛宕に行けば「一」が待ってくれている。

定員に達したため、募集を終了しました。

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