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殺人ラーメン

殺人ラーメン、冗談見たいな名前だが
呪われたラーメンを出すと言われているラーメン店がある。

旨すぎて死んでしまうと言われている、
そのラーメンは、醤油とんこつ味だが
実際に、本当にウマく、リピーターでいつも溢れかえっている人気店だ。

圧倒的なカロリーで、殺すのだとか。
中毒性のある薬品を入れているとか噂が立っていた。
実際の所、この店のラーメンを食べて死んだ人がいる。

おすすめは、激豚ラーメンだ、柔らかく豚の油の甘さを感じさせるほどの厚きりのチャーシューが、麺が見えなくなるまで盛られ、黄金色の油が見え隠れする、特性豚骨スープは背油たっぷりの濃厚だ、しかし、アクセントになる醤油だしが加わると何杯でもいける、極旨スープとへと昇華するのだ。
ともかく高カロリーでありながら、体に良くない物こそ。ウマさの真骨頂、油がともかくウマいと評判で、替え玉100円とリーズナブルに加え、昼時にはライスが無料と来た、
麺の固さも5段階と、高菜のトッピングも、好きなだけ取り放題となれば。
超人気店であるが、何人も死んでいる。
このラーメンのせいで、人が死んだと噂されるようになったのか
それは、死んだ人には、共通点があるからだ。

まず、初めてのお客さんであること、激豚ラーメンを頼み、高菜のトッピングそして、替え玉を3回以上していると言う点、そして問題なのが、食べ終わり。
店を、出た直後に、倒れ込み
物凄い笑顔で絶命してしまうということ。

最初は警察が、保健所が徹底的に調べたが
食中毒でもない、危険な食品が混入したかどうかを、店内の衛生状態確認、カビ、菌、水道水、仕入れ先まで徹底的に調査するも何も出てこなかった。
他には、こんなことも考えられたが、高カロリーによる、血糖値の異常な上昇は見られるが、人を殺すほどではない事も分かった。
心因は、急性心筋梗塞だが、死んだ人は、生前は健康そのもの
ともかく、ラーメンとを結びつける証拠は無く、
そのあと、同じように食べ終わり、店先で死ぬ人が、毎年出ている。
ここを、訪れる人が後を絶たないのは、単純、死ぬほど、旨いからである、
新規さんご遠慮お願いしますの貼り紙も関係なく、ラーメン好きが集まるのだが、亡くなる人は後を絶たない。
最初の死者から、6年間で、14人死亡、警察も手を焼く。
山陰の隠れた名店の名が、「激豚地獄堂」である。
昔は、音戸地ラーメンと言う店名だったらしい。

このラーメン店での不審死による、死者の家族は
このラーメンを食べた被害者の遺族であると、主張している。
しかし、警察、保健所の見解は、証拠が無い、死因との因果関係は認められなかったと地方裁判所も認めている。
しかし、被害者家族は、諦めていなかった。

絶対に、あのラーメンを食べて死んだに違いない、そう思いたいし、あの状況でそれ以外考えられない。
噂では、豚骨ではなく、人骨でスープが作られているとか、チャーシューが人肉とか疑われていた。なぜなら、外国人の従業員が消えると死人が出るからだ。

または、秘密のスパイスを入れるかどうか聞かれるらしい、
白い粉末上の何かをラーメンに振りかけていたという目撃証言もある、白い粉末は、成分純度の高い、致死量の大麻だったとか。
この店自体が、曰くつきの物件で幸せの頂点のお客を恨んで、この店に憑りついてる怨霊が、殺してしまうとか。普段、替え玉なんてしない、若いOLが死んだときは、タヌキやキツネが憑りついた仕業だとか、ともかく色んな噂を流し続けた、被害者の家族は、刑事上、民事上の責任を取らない店主に制裁を加えて、あの店を潰したいと考えていた。

そこで、俺に調査の依頼があったと言うわけだ。
手段は選ばない、あの店主は何か隠している。
それを暴いて欲しいと言うわけだ。
俺は、憑き物専門の呪術師
憑き物とは、動物霊
などが人や家に乗り移ること、または、その霊のことだ。
憑き物になる動物には色々のものがあるが、狐(きつね)、犬、蛇などが多い。全国を通じて、狐憑きがいちばん有名かもしれない。
そんな、憑き物を集めて使役するのが生業だ。
憑き物を取り除いて自分の配下にしたり、
言う事を従わない場合は、そいつより強い憑き物で祓ってしまう。
それに伴う。オカルト関係も一応守備範囲だ。
今回は、あからさまに怪しい、このラーメン店で起きた殺人事件で
警察が、全く手が出ないとなると。
残されたのは、俺の領分でもある。
オカルト、心霊の仕業では無いかと噂が立つものだ。

そこで、本来の業務でもない、探偵屋の真似事をすることになった。
このような、依頼は普段なら、受け付けない
年間に、2,3人店先で死んでしまうのは、明らかに何かある
それよりも、死ぬほど旨いラーメンを、新規でたらふく食べる
そのスリルがこの依頼をうける理由だとは、依頼人には、死んでも言えない。
調査、当日が待ち遠しい。


ついに、あの激うまラーメンを、他の客に紛れて食べる。
カウンター席のみ店内は、横に広かった、
20席ほどで、満員だ。
気になったのは、意外と厨房が広く
店主一人で忙しく、動き回っていた。
客は、黙って、物凄い勢いでラーメンを口に入れ
汗をかき、替え玉が次々注文されていく。
周りを見渡せば、皆同じものを食べている。
激豚ラーメンだ。
まず、スープを一口
ごくり、「う、旨い!!」体染み渡る
脳まで、スープに浸かったような程よい油の甘さ、特製醤油の塩加減が食欲を駆り立てる。
あまりのウマさで体が痺れるとはこのことか。
更に、極太のチャーシューがとろけるほど柔らか、口に運ぶ手が止まらない。
気が付けば、俺は、勘定を終え、店先に暖簾をくぐり出た途端、我に返り肝心な事を思い出す。
待て、あまりのラーメンの上手さに、何も調査していない
もっと、観察し、気配を感じ、裏にいる何者かをと考えているうちに
意識が遠くなって行くではないか、
だが、体のほとんどを、呪物で出来ている、この俺をあの世に送るには
足りなかったようだ。

遠のく意識の中で、ある人物がこちらに何かを言っているようだ
いいだろう、貴様が何を言っているのかどうか
しっかり聞いてやろう!
次第に、辺りは霧に包まれるように視界が悪くなる中、
何やら、黒い人影が浮かび上がってきた。
その影は、次第に姿を変え、2重にも、3重にもぶれながらも
グレーのスーツを着た、初老らしき男性の口元が、しきりに動いている。
顔は口元以外は、ぼんやりとしていて、目の部分は真っ黒な穴が開いていて
両手は、こちらに向けられ、何かを掴むようにしているが
何を伝えようとしているのか、声が届かず
俺は背叫んだ!
「何が、どうしたいんだ、もっと叫べ、!!!!」
その時、俺の中で、自分を守ろうとする、防衛本能が動き出した。
体中の穴と言う、穴から黒煙が噴き出てきた。
俺が体の中で、飼っている、幾つかの憑き物どもが
封じていた、力を解放し始めたのである。
普段は、その力を使って、もっと強力な憑き物を使役している。
今回は、違う、各々が宿主の体から逃げ出そうとしている。
俺はそのおかげで、正気を戻しつつあった。

深見胡堂と憑き物蜥蜴馬


後編に続く。

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