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#0025 目標設定ワークシート「MOK4」実践のコツ 個と組織がともに勝つ目標管理 -FAR EAST社長対談より-

こんにちは、「人事千壺」編集の島居慶美しまいよしみです。先日、株式会社FAR EASTさま本社へ伺ってきました。同社では、『図解 目標管理入門』の目標設定ワークシート「MOK4」を全社で導入されており、その経緯や実践のポイントなど直接お伺いできる機会をいただきました。今回は、社長との対談や社員の皆さんのお話を通じてわかった組織に血を通わせる取り組み、目標設定ワークシート「MOK4」の導入から実践のコツについて、お伝えいたします。


FAR EAST社との出会い

出会いは、2024年2月のSmartHRさんのイベントでした。イベント登壇の依頼を受けたものの、本イベントでの役割は得意領域ではないと、はじめはお断りしていた坪谷さん。しかし、とても信頼していたSmartHRの担当の方から「絶対FAR EASTさんと会った方がいい!」と、すごい熱量で何度もプッシュをいただき、登壇する運びとなりました。笑

そこでご一緒したのが、FAR EASTの人事である伊井文さんでした。初めて直接お会いした文さんが熱く、とても想いがあるプレゼンをされていて…坪谷さんまで熱量が上がり、登壇後も控え室でしばらく人事談義で盛り上がりました。このとき、FAR EASTさんでOKRをどう考えてきたかや完成間近の仕組みを急遽変更して『図解 目標管理入門』をベースに再構築して導入しようとしているお話を伺います。とても感銘を受け、いつか本社へも!という話が上がり、この秋、訪問が実現しました。

▼SmartHRイベント「パーパスを実践する企業の挑戦」レポート記事はこちら

■FAR EAST(ファーイースト)さんのご紹介
【会社名】株式会社FAR EAST
【ミッション】 「世界各地の多様な文化を掘り起こし、運び、伝え、表わし、繋ぐ」 
【事業】食品の輸出入及び販売、家具、調度品、建築資材の輸出入及び販売、酒類製造及び販売、アイスクリーム製造及び販売 ほか
【代表取締役】佐々木 敏行 / 【従業員】183人

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目標設定ワークシート「MOK4」導入の経緯

お伺いしてまもなく、佐々木社長と1時間ほど対談のお時間をいただきました。大変読書家でいらっしゃり、本は出会いだと考えるという佐々木社長。「八方塞がりのような状態にあった時に、この本が突然目の前に現れた」とお話しくださりました。組織の拡大や外部環境の変化などで暗中模索の状況だったなか「目標管理入門を読んだ時にまさに魂を吹き込まれたような気がした」「どっかから拾い集めたものを図鑑のようにやっているわけでは全然なくて、文脈がばしっと通っている、信念が通っている、本から熱量が伝わってきた」と、すぐに書籍を購入して全社へ配られたとのこと。これまでの制度から、個と組織がともに勝つための目標管理、葛藤克服型の目標管理への方向転換をはかられます。

『図解 目標管理入門』図表032_目標管理の4タイプ
対談の様子(対談はstand.fm「カタリベノカイ」にて配信中)

【ラジオ】stand.fm 「カタリベノカイ」(FAR EAST社)


目標設定ワークシート「MOK4」実践のコツ

具体的に実施されたこととそのポイントについて、対談や座談会を通じて伺った内容の一部をご紹介させていただきます。

■目標設定ワークシート「MOK4」の全社展開で実施したこと
・『図解 目標管理入門』を配布
・目標設定ワークシート「MOK4」を各自で記入
・「MOK4座談会」を継続的に実施
・社内の掲示板(イントラネット)で「MOK4」の内容を公開

2023年にスモールスタートしたのち、2024年より全社へ展開されています。1周目で書けなくても2周目で書けるようになったり、回を重ねるごとにコミュニケーションの積み重ねにより、フィードバックや関係性が濃密になっていってたり、「共通言語化」や「公開」と「集中」の威力を感じられたとお話しいただきました。その中で、血を通わせるためのポイントだと感じる点を伺った内容から2点お伝えさせていただきます。

コツ① 形骸化させないためには経営者のフルコミットが重要!

坪谷さんが繰り返し発信されることの一つに、「「型」と「血」が二つ揃ってはじめて「形」になる」という言葉があります。様々な企業への伴走を通じて、制度導入において形骸化させないためには、経営層のコミットメントが重要であり、また社内の誰かに強い意志がある時が上手くいくパターンだとおっしゃります。

FAR EASTさんでは、まさに佐々木社長が「制度を変えるってね、社運を懸けることなんです」というお言葉にもあるようにフルコミットされたうえで、人事の伊井さんが上司の佐々木さんと一丸となって、全社への展開を実践されています。

お二人の会話の一部をご紹介させていただきます。

坪谷さん:
今日FAR EASTさんにお伺いして、初めに思ったことが、メンバーの方を社長がご紹介いただくときに、「この人はこんな良いところがあって、ここが素晴らしいんですよ」と仰っていて、一人ひとりの本質的な人間観を見ているんだなと思いましたね。

会社が形骸化する時は、人を「機能」で見始めたときに形骸化していくと思うんです。魂がこもらなくなるんで。でも社長は、機能ではなく一人の人間として向き合うことを大切にされていることが伝わってきました。

それで、私の本からも同じことを社長はしてくださってたんですね。「坪谷っていう人が機能として何かを寄せ集めて体系的に良いことを言ってる」じゃなくて、「この人は苦しかった昔の自分に対して贈ろうという想いがあって書いているんだ」というところを根幹で受け取ったから感動したということを聴いて、私自身も感動しています。

佐々木社長:
制度を変えるってね、社運を懸けることなんです。それが単なる乗り物じゃなくて、本当に自分たちの中を突き動かしてくれるものでなくてはいけないんです。目標管理入門にも書かれていた「仏作って魂入れず」な状態が一番残念な結果というか、ものすごくエネルギーをロスしている状態で終わってしまいますよね。

坪谷さん:
そうですね。いろんな会社に関わらせていただいて、上手くいくときと上手くいかないときのパターンがあって。上手くいかない時は、魂が入っていない時で、仕組みだけを入れようとする。良い仕組みは入るけれども側だけ入るので魂が入らない。「型」と「血」が二つ揃ってはじめて「形」になるので。私は、型の方はお助けできることはいっぱいあると思っているんですけど、血を通わせるとか魂を込めるところって、その会社の人たちにしかできないんですよね。なので、どんな形であれ、社内の人が「この組織を本気で良くしたい」という意志がある時がだいたい上手くいくパターンだと思います。


コツ② 二人称で言語化する。素直に曇りなく言う。ただそのまま受け止める

全社への展開として書籍を配った後、書籍の付録である目標設定ワークシート「MOK4」を各自で記入し、数名で「MOK4座談会」を実施。ここでも、FAR EASTさんでは、「MOK4」を効果的に活用いただいています。

座談会を開催することで、シートを書いて終わりではなく、相互フィードバックを通じて相互理解や新たな関係構築に繋げられていました。さらに様々な角度で4象限(夢・強み・使命・業績)がどれぐらい反映できているかを立ち返るプロセスを経ることで、徐々に目標がクリアになり、組織全体でスパイラルアップに繋げる仕組みを継続的に回されています。その中でのコツは、二人称で言語化すること、そして、その際に伝える側は曇りなく伝え、受け手はそのままを受け止めることでした。

佐々木社長:
実践の場ではMOK4シートが役立っています。結構皆さん自己認識が弱いんですよね。自己の置かれてる環境においても自分についても思い込みが強い。そこをMOK4座談会で言語化していく、なおかつ二人称で。自分の強みだとか夢だとか自分ではっきり言うんですけども、話してるうちに全然つじつまが合わなくなってくることが多くてですね。人目に映ってる強みを皆で場に出してみようかってやってみると、意外と表れていることも事実だったりするので。互いに再認識してあって、色んな角度から不足を補って、4象限(夢・強み・使命・業績)がどれぐらい反映できているかなど立ち返るようなプロセスがあって、MOK4は本当に有意義な時間になっています

坪谷さん:
MOK4はこれまで沢山の方を見てきましたが、4象限全て突然書ける人はいなかったんですよ。どこかは書けるけど、どこか書けない。例えば、夢は書けるけど強みは書けないなとか、業績はめちゃくちゃ詳しく書けるけど、自分の夢が全く分からないとか、人によって得意不得意領域がかなりあるぞって思ったんです。元々は夢を日本人は書きにくいんじゃないかなって思ってたんですよ。でも実際MOK4をやってみると、皆さん意外と話しているうちに夢は書けるんですよね。でも一方、強みが書ける人が少ないなっていうことを実感したんです

佐々木社長:
社内でもそうでしたよ、自分の強みは2個ぐらいしか出てこない。しかも、ちょっとズレたものが出てきたりして。周りから言わせると八つ九つ容易に出るんです。それで自分の強みを再認識して、その時に場のエネルギーがパッと変わるような瞬間を度々目の当たりにしています

坪谷さん:
やっぱり二人称ですね。相手から見てという客観視
ですよね。ドラッカーも「自分の強みを自覚できている人はほとんどいない。自覚できていると思っていても、それはほとんど誤りである。」と言い切っているんです。私は初め、そんなことないだろうと思っていたのですが、実際にMOK4シートを使っていろんな人とやり取りしていくと、多くの人が「頑張っていること」を強みと言いたがる傾向があると気づきました。実は頑張ってることは弱みなんですよね。できていないことだから頑張らざるを得ないので、あまりバリュー発揮できていないことが多くて。例えばメンバーとのコミュニケーションが自分はあまり得意ではなくて、1on1をめちゃくちゃ頑張ってるので、「強みは1on1」と書いてしまうのですが、それは強みではない。周囲からすると凄い、素晴らしいと思えるが、本人は当たり前にやれていること、自覚しづらいものが真の強みなので、構造的に二人称でしか分からないんじゃないかなって思いますね。なので、皆で「あなたのここが素晴らしいよっ」て言いまくるのが多分正しいなって思います。

佐々木社長:
そうですね。やってて思いました。別に褒めようとしたり、喜んでもらおうとしたりして強みを言い合うのではなく、「映って見えるものそのまま言っていく」のが大事だと思いますね。

坪谷さん:
確かに。「素直に曇りなく言う、ただそのまま受け止める」がコツかもしれない。よく言ってあげようとかあまり考えずに、「だってお前そこ得意じゃん」っていうのをそのまま出すっていうすごい大事だと思いました。受け止める側も、強みは客観なので周囲からの声を曇りなく、ただ受け止めたら良いんです。

佐々木社長:
4象限を書き込んでいって、言語化されていくと、夢と強みがどう繋がったり、強みと業績の繋がりだったり...だんだんと解像度が上がっていくと、一人ひとりの目の色が変わっていくような事が起こっているんですよ

『図解 目標管理入門』付録 目標設定ワークシート「MOK4」


今回は2点に絞ってお伝えしましたが、お取り組みのポイントや経緯などお伝えしたいことは、この限りではありません。対談の全文にて是非ご確認ください。また、この続き、そして本取り組みにおける人事視点での葛藤や想いなどは、FAR EAST人事の伊井文さんと坪谷さんとの対談をベースに、後日掲載させていただきます。

さいごに

佐々木社長は、さらに『図解 目標管理入門』を地域の盆踊りイベントにも活用されていました。縄文時代からある祖霊信仰の踊りでありながら、今全国で衰退してて消え入りそうな盆踊り。これをどう成功させるか、そのプロセスで本書を活用してKPIを設定し、結果として300人程の会場へ当日は1000人もの人が集まる大盛況で、イベントを成功に導かれています。我々にとっても、新たな可能性や気づきをいただく対談となりました。

お二人の対談の全文は、以下のFAR EASTさんのnoteで書き起こしいただいていますので、よろしければこちらもご覧ください。


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【日時】2024年12月6日(金)19:30-21:00 @オンライン〈無料〉


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