八潮男之神の決断35(小説)(エッセイ・燐光。とんぼ)
エッセイ・とんぼ < 燐光 >
この小高い場所にくっきりと立ち並ぶ数本の木の中には
緑色や黄色、青色をした燐光がしっかりと分散し円にもなり、そこら中に上等な生地で誂えた花柄のレースのカーテンのような風にもなり、こちらの方にも降り注ぐのであります。
光線は境目を追う前に次から次へとせまって、どんどん遠くの方にまで進んで、一秒間に地球を7周半するという速さがどのくらいかわからないまま、瞬く間に、私や子どもたちの小さくて分厚い手のひらの中を通り、子どもたちの手や髪やほっぺをもっとふ