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倭人は暢草を献じる34(小説)(エッセイ・とんぼ)

エッセイ・とんぼ < 年の夜の光 >

年の夜、皆様いかがお過ごしですか。
外の風が強い気がして気になり窓を開け様子を伺っていました。
お昼間、山茶花が光にあたって綺麗でしたので
ふと思い出しそちらの方にも目を向けて冬のお花見をしていました。
するとやっぱり美しくそこだけ光ってみえました。
そのまま空の方へ目をやると、月は雲に隠れているみたいですが
オリオン座がちょうど南のほうへ向かっている様子で山茶花と重なると一層光が明るくなり、今年一年が年の矢のように巡り巡っていきました。
しばらくその山茶花とオリオン座を交互に眺めた後窓を閉め程よく頭がすっきりとしたところ今年残りの時間をどう過ごそうか考えております。
おそらく、Netflixで気になっている映画かドラマをみながら年を越すのだろうなと考えています。
玄関には鏡餅も飾り終えました。
とても形の良い鏡餅です。寒さ乾燥ですでにお餅にひびがピキッと入っていたので濡れた布巾でこまめに拭いています。
例年よりひびが入るのが早いです。今年は乾燥が激しいのかもしれません。
どうりで喉が痛みます。

それにしても今日のお昼間に見た山茶花はとっても美しかったです。
山茶花自体が発光していたのではないですが、向こう側から射す太陽の光が輝くような美しさを与えてくれていました。
山茶花を通りあらゆる方へ光が散りばめられ至る所へと落ちていきました。
当然私の方へもその光はやってきてくれました。
そうすると少し元気になったような気持ちにもなりました。

そろそろ辰年です。
雲雨を自在に支配する力を持つといわれている龍。
私の住む地域ではすでに少しの雨がちらちらと降っているようです。
龍の雲を得る如しという言葉のように、子どもたちが様々な場面で自分らしい光の中活躍することが出来ればと願いながら
今年一年を締めくくりたいと思います。



♢ 昆迩(こんじ)は迂闊(うかつ)にも阿津耳(あつみみ)の誘いに乗って
    無旦王子(むたんおうじ)のことを口にした。

 「ほう、越の王子を匿かくまっている者がいるのか。」

🌿秋津先生の著書で、難しい漢字や言葉、興味を持った事などは
 辞書やネットなどで調べながらゆっくり読んでみて下さい。
 きっと新しい気づきがあり、より面白く読み進められると思います。 


 倭人は暢草を献じる 34
    原作 秋津 廣行 
  「 倭人王 」より
 
「蓬莱湊を襲った連中が、最後の越王無彊(むきょう)一族の生き残りで弟の無恬(むてん)であることは、高天原にも聞き及んでいるが、それ以来、詳しい報告は受けていない。」 

 「なんと、無恬(むてん)のことをご存じてありましたか。さすがは、阿積(あつみみ)の親方で御座います。耳が早い。
ならば、無彊王(むきょうおう)の子、無旦(むたん)を秘かに
琅邪(ろうや)から逃した者のいることもご存知ではありますのか。」

昆迩(こんじ)は迂闊(うかつ)にも阿津耳(あつみみ)の誘いに乗って、無旦王子(むたんおうじ)のことを口にした。

 「ほう、越の王子を匿かくまっている者がいるのか。」

 もはや、口に出したものは取り返しがつかない。昆迩こんじは、ここで慌てても栓ないことだと覚悟した。

 「いかにも越の王子とは、第一王子の無旦(むたん)と第二王子の無辰(むしん)のことであります。」

 昆迩は、已む得ず王子の名を出してしまったが、これ以上の話をいささか躊躇(ちゅうちょ)した。
高天原の力が衰えていることは、皆々、周知のことである。
その重臣である阿津耳之命(あつみみのみこと)にどのように話せばよいのか迷ったのである。
ありのままを話せば、高天原を巻き込んで、秋津洲始まって以来の戦いになるかもしれないと、昆迩(こんじ)は心配した。

                                                                                    つづく  八潮男之神の決断




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